2.思わぬ獲物
お昼ご飯は、昨日の残りのスープに、しょうがで味付けをし直た物を食べる。
後は、パンを薄く切ってあぶった物と、デザートにナシの半分を二人で分けて食べた。
片付けをしたら町に戻る。
今日は、手ぶらで門をくぐり倉庫まで戻って来る。
これで、今後は町の中にいる状態のままで、倉庫から外に出る事が出来るようになる。
2人で倉庫まで戻って来て、亜空間から地下部屋に移動する。
「アリスは、ヘビの解体の続きしててもらっていいかな?」
「判った~。早く帰って来てね。」
「いろいろ行く所があるから、少し遅くなるかも。でも、夕飯までには戻るね。」
「うん。待ってるね。」
まずは、今日アリスに解体してもらったヘビの皮を売りに行こう。
皮屋さんに行って、ヘビ皮を買って貰う。
数に驚かれたが、購入はしてもらえた。
5匹分だったんだが、2匹はアリスが覚える時に皮を破いてしまい、
大銅貨1枚になってしまった。
それでも、銀貨1枚と大銅貨1枚になった。
手持ち
銅貨 : 25枚
大銅貨 : 45枚
銀貨 : 3枚
銅貨100円換算で、7万7,500円になった。
「ありがとうございます。」
「いやぁ。昨日の今日で5匹とは・・・傷なしで狩れる技と言い・・・本当にすごいな。」
「いえ。いろいろ内緒のやり方があって・・・。
それはそれとして、これからもきっとヘビの皮をそれなりに納品出来ると思います。
そこでちょっと聞きたいんですが、このヘビ皮ってどんな物に使われてるんですか?」
「ヘビ皮は、装飾品なんかの柄として、木の製品なんかに張り付けて使う事が多いな。
ただの、飾り付けなので、そんなに需要はないんだ。」
「なるほど・・・。一つ提案してもいいですか?
ヘビの皮の使い方なんですが、財布っていかがでしょうか?」
「財布?金を入れる為の袋か?
大貨があるから結構な大きさの袋になるし、普段は袋のまま渡すから、
その袋に装飾したりはせんが・・・。」
「小貨用の財布です。大貨は、今まで通りに袋に入れてやり取りでいいと思うんですが、
小貨は結構細かいので、財布的な物があれば便利じゃないですか?」
「まあ、そういう使い方なら出来なくもないか。」
「あと・・・。知ってますか?
ヘビの皮で出来た財布を持っていると、お金が溜まるんです!」
「なに!それは本当なのか!聞いた事ないぞ。」
「本当かどうかは、使ってみれば分かります。」
「なるほど!そんな話があるなら使ってみようか。」
「って、宣伝文句にしたら、売れると思いませんか?」
「へ?・・・なるほど!それは売れるぞ!」
この世界に来て思ったんだ。
この世界の人って迷信大好きだし、すっごい素直なんだよな。
教育が無いし、TVなんかのメディアも無い、なのでそんな感じになるんだろうな。
この話が、定着すればヘビ皮の需要も上がるし、
日本でも結構信じられてて、ヘビ皮が売れる理由になってたんだし、
思い込んだら結果が付いて来るって事も良くあるし。
まあ悪意のある話でもないので、この世界でもそういう迷信が増えてもいいだろう。
「ヘビ皮、いっぱい手に入れてきますので、
小貨用の財布を作ってガンガン売っちゃってください。」
「おお!任せとけ!そうとなったら、忙しいぞ!」
思いのほか乗り気になってくれた。
これで、アリスには解体に集中してもらっても良さそうかも。
しばらくは、ヘビ肉生活になりそうな気もするが、
まあヘビ肉もそれなりに美味しいし十分だろう。
次は、ケニーさんの所だ。
ケニー商会に行き、ケニーさんを呼んでもらったら、店の奥にある応接間に通された。
ヘビの頭5つを買い取ってもらって、銀貨2枚と大銅貨5枚を貰う。
「ケニーさん聞きたい事があるんですが、いいですか?」
「はい。結構ですよ。」
「黒マダラヘビじゃなくて、白いヘビがいたんですが。」
「それを狩ったって事ですか?!」
「はい。頭持ってきてます。」
「なんと!白背ヘビを見つけたんですね!素晴らしい!」
「あれって、そんなに珍しいヘビなんですか?」
「もちろんですとも!
冒険者ギルドでも、1年に1回納品されるかどうかってくらい珍しいヘビです。
皮は、模様が綺麗なので、貴族の方に非常に人気で、
宝石用の箱の装飾に使われる事が多いです。
そして、何より毒が素晴らしい。
黒マダラの毒は、麻痺毒なんですが、この白背ヘビの毒は血液毒なんです。
これを魔法薬にする事で、麻痺させるんじゃなくて毒死させる事が可能です。
しかも非常に強力で、かすっただけでも急速に体の力が抜けて死んでしまうのです。
その為、肉を目的としてない時の、魔獣狩りなんかで良く使用されます。
ただあまりに数が少ないので毒の購入費で、赤字になってしまう場合もあるくらいです。」
「結構危険そうな毒なんですね。暗殺とかでも使えそうだったりするやつですか?」
「そうですね。そういう用途で購入される場合もあるんでしょうね。
でも、この毒は特徴的なので、この毒で死んだ事がすぐに判明するらしく、
使い勝手は悪いそうです。」
「そうなんですね。」
まあ、あんまり知りたい情報ではないな。
「それの頭持ってきたんですが、買い取って貰えますか?」
「もちろんです。白背ヘビの値段は、去年取れたという時には大銀貨5枚でした。」
「おお。すごい金額ですね。」
予想外に高いぞ。
「じゃあ、確認してください。」
白背ヘビの頭を渡す。
「確かに。白背ヘビですね。ちょっと震えますね。毒腺も問題ありません。」
ケニーさんは、奥のチェストの中から、大銀貨5枚を取り出し渡してくれた。
「これは・・・あなたと契約したのは、間違いではなかったという事ですね。
素晴らしい成果です。」
「でも、契約は黒マダラヘビだけって書いてましたけどね。
まあ俺としては買ってくれるんであれば、持ってきますけど。」
「確かに・・・そうでしたね。」
これは、ほんとにお金にはもう、困らないのかもしれない。
手持ち
銅貨 : 25枚
大銅貨 : 45枚
銀貨 : 3枚
大銀貨 : 5枚
銅貨100円換算で、57万7,500円になった。




