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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
1.始まり
3/223

3.亜空間魔法


「他にも、自分の体を強化したり直したり、亜空間を作ったり、空を飛んだりできるのよ。」

「空も飛べるのか‥‥って、亜空間ってなに?」

「自分で作った、見えない空間の事。荷物置いたり、その中に入って身を隠す事とかできたりするの。ちょっと作ってみよっか」

とあるネコ型ロボットのポケットのような物か?


「どうやったらいいの?」

「まずは何もない空間に入り口を作る感じでイメージしてみて。その後、亜空間の向こう側に自分の部屋くらいの大きさの領域をイメージするの。」


「入り口ってどうやってイメージしたらいいんだろ?」

「そっか‥‥。じゃあ順番を逆の方が分かりやすいかな?

多分、一度作ればそっちの方が作りやすいと思うんだけど‥‥。

じゃあ見えないけど、自分の部屋くらいの大きさの領域があるってイメージしてみて。」

「イメージした。」

「じゃあ、そこに入る為の入り口を作ってみて。」

「了解。」


俺の目の前に、濃い青紫色で半径1メートルくらいの亜空間の入り口っぽい物が現れる。

「もうちょっと広げないと入れないな。」

と言いながら、魔法の触手みたいなので入り口を広げてみると、簡単に扉くらいの大きさまで広げられた。


「亜空間は少し危険があるので注意してね。亜空間の中は自分の想像した空間になるの。

空気がない空間にしたり、巨大な空間にしたり、小さい空間にしたり、重力のない空間や、気圧の高い空間も作れるの。

意識しなかったら、自分の慣れた環境の部屋になっているはずよ。入ってみて。」


俺は、そのまま青紫色の亜空間の入り口に、頭を突っ込んでみる。

「おお!できてる~。」

ほんとに何にもないけど、空間ができてた。

床も天井も壁も、白くてなんの飾りもないけど部屋ができている。

俺はそのまま亜空間に入っていく。

入り口が青紫色に光っているので、全体は何となく見渡せるが暗い。


ふと思いついて、俺は蛍光灯をイメージしてみる。

「おお!光った。」

魔法で伸ばした触手の先が蛍光灯のように昼白色で光っている。

おかげで部屋全体が見渡せるようになった。


広さは俺がイメージした通りの俺の部屋くらいで、荷物がないからガランとしか感じだがただの普通の部屋だ。

「亜空間に入ったら、入り口は閉じないようにしないと、出られなくなるから注意してね。」

「それは、怖いな。注意するよ。」


「なあ、リーザさん。この魔法って、俺これからもず~っと使えるの?」

「もう、肉体改造しちゃったから、ず~っと使えるよ。

元に戻す事も‥‥多分できるけど‥‥。」

「いや。戻さなくていい。」

これは‥‥すごいな‥‥。

ワクワクが止まらない‥‥。会社辞めよう‥‥。


とりあえず、誰にも言わずに内緒にするよな。

犯罪はしないつもりだけど、ずるはしたい。


住む所はこの亜空間でいけそうだけど、食事も服も娯楽も、お金が必要だから、とりあえずこれでお金を稼ぐ方法としては‥‥。

なんだろ?

火出せても、水出せても、お金にならないかもしれない‥‥。

あれ?‥‥思ったよりも、お得感ない?


いや‥‥亜空間に荷物を入れられるなら、関税がかからない。

って、密輸って犯罪だし‥‥。

競馬とか競輪に行って、レース中に本命の子に水とか逆風とかして邪魔するとか。

って、これも犯罪臭いし、なによりもかわいそうだ。


いっその事、魔法使えると公言してTVに出まくると言うのもありかもしれない。

と言っても、多分TVに出られる寿命は2~3年だよな。派手な演出とか、おもしろい事言えないとすぐに飽きられるだろうしな。

一時流行ったら、その後は営業周りしないと食べていけないとかになって、一発屋の芸人みたいな生活になりそうだ。

今の会社で働いているよりも、良い生活とは思えない。

魔法覚えても、会社は辞められそうにないかも‥‥。


実は、魔法よりも超能力の方が便利っぽい?

テレポートとか、透視とか、予知能力とか、催眠術とかならお金と欲望が満たされそうだ。

‥‥俺の発想が貧困なだけなのかもしれない‥‥。


海外の紛争地域なんかに行けば役に立ちそうだけど、そんな危ない所に行きたくないし。

世界中に貧乏旅行に行くとかなら、少し役に立つかもしれないけど、それも予定にない。

まあお金儲けにならなくても、魔法が使えるというのは、楽しみがいっぱいだ。


あれ?でも、これって‥‥ちょっと気になるので確認を‥‥。

「弊害はないのか?寿命が短くなるとか、使い続けたら脳が障害を受けるとか。」

「う~ん。本来魔力を使いすぎて魔力が無くなると、気絶するように寝ちゃうの。

魔力が復活すると、起きるので一時的な話なんだけどね。

ただ‥‥あなたの魔力量が‥‥分からないの。」

「分からない?」


「いえ、なんと言うか‥‥。さっきね、あなたに魔力貯められるよう改造したんだけど、

それだけだと、魔力切れになってすぐに寝ちゃうの。なので周りから魔力を補充させたのよ。

でもかなり周りから魔力を吸ったのに、いっぱいにならなかったのよ‥‥。」

「それって、どういう事?」

「今の所、魔力切れにはならないって事かな。それに自然に回復する魔力もあるから、とんでもない魔力を使っても切れないんじゃないかな。」


おう‥‥なんかすごい感じだな。

まさに俺TUEEできる感じだね。

「で、弊害の部分は?」

「それは、ないはずよ。」


それはいいな。

後は、体を貸すって言う交換条件か‥‥。


俺は亜空間から出て河原に腰掛ける。

体を貸すとか言うのも、なんだかやばそうな気はするけど、

この魔法使える状態で、今後の人生を歩んでいくというのは楽しそう。


「ねえ。そういえばあなたの名前聞いてない。」

「そういえば、言ってなかったな。加藤雄介。」

「カトーね。」

「あ‥‥一応ファーストネームは、後ろに付くので、雄介が名前で、加藤はファミリーネーム。」

「そうなんだ‥‥。じゃあユースケね。」


「さて、ここまででいいかな?魔法使えるようになったの信じてもらえたかな?」

「そだね‥‥。これは夢でも見てるんじゃなければ魔法だね‥‥。」

「じゃあ、ちょっとだけ体貸してほしいの。大体鐘2つ分くらいでいいんだけど‥‥。」

「鐘2つ分?っていうのがどれくらいの長さなんだかわかんないんだけど‥‥。日が暮れるまでとかそういう事?」


「そうね‥‥。それまでには返せるよ。」

「で、体貸してなにするの?」

「え~っとね。私は別の世界からこの世界に干渉してるの。なので今は非常に不安定な状態なんだよ。それを、私の魔法で無理やり安定させて存在している。

それを定着させる為に、こっちの世界にある体にいったん憑依して、私がこっちの世界の存在として認められる必要があるの。その為の儀式ってとこかしらね。」


なんか、悪魔召喚とか、宗教的な受肉って感じの事なのか?

「それって、甘い言葉につられてそのまま乗っ取られたりする感じ!?」

「ないない!大丈夫!いったん意思のある人に許可をもらってこっちの世界に入って、こっちの世界の体を使って、意思のない物に入る必要があるの。

直接意思のない物に入るには、意思がないので許可が貰えない。なので、ちょっと面倒な感じになるのよ。

それに、これでも私は女の子なので、男に入りっぱなしはヤダ。」


「どこかの意思のない物って?死体とか、動物とかって事?」

「そうだね~。人間の死体があれば一番なんだけど、見つからなかったら動物とかもいいかな~って思ってる。」


「人間の死体は、見つからないと思うけどね。あと俺が貸した後、君が動物とかに入ったら、俺は俺の体に戻ってこれるって事でいいのかな?」


「人間の死体は見つからないの?」

「ああ、そうだね。日本では人間の死体は、数日以内にほとんど焼かれると思う。もしあったとしても誰にも見つかってない遭難死体とか、解剖とか研修で使われる死体くらいなので非常にレアです。」

「なるほど‥‥。そこはいったん動物でもいいので何とかするよ。あと私が離れれば、あなたは体に戻るよ。」


ちょっと怪しい気もするが、魔法使えるようになったのは本当っぽいし、話してる感じでは、普通の女の子っぽいし、騙したりって事もなさそうな気がする。というか、きっと本当に騙す気でここまでできるやつなら、こんな面倒な事をしなくても、もっといろいろ出来そうな気もするし。拒否して魔法使えなるなるのも大分惜しい気もするし‥‥。


と言うことで、

「体返す時にはこの場所に戻ってきておいてほしいな。どこか訳の分からない所に連れていかれて放置とか困るんで‥‥。」

「じゃあ、動物の死体を捕まえてここに連れてきてから、入れ替わる事にするね。

まあ、私か入っている最中でも、あなたの意識が無くなる訳じゃないから、訳分からない所って言うことはないとは思うけどね。」

「あ‥‥そうなんだ。それならちょっと安心かも。じゃあ、体貸すよ。」


その瞬間俺の体の自由が無くなった。感覚はあるのに体が動かせない感じで、体が麻痺してしまったような感覚におちいった。

俺は焦って、

「なに!?どうなったの!?」

「いま、入れ替わったのよ。私の方で体が動かせるようになった。う~ん。ちょっといろいろ勝手が違うな~。生命活動には問題なさそうだけど、動くのに少し練習が必要かも。」


俺の意識と別に、勝手に視線も手も足も動いているのは、非常に気持ち悪い。

キョロキョロと周りを見ましたあと、手を伸ばしたり、握ったり開いたり、座った体制のまま足を延ばしたり、

「うん!大体大丈夫かな。じゃあ、動物を見つけに行こう!」


そう言って、立ち上がった瞬間、

急に視界が動いて空が見えて、そして何も見えなくなった‥‥。


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