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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
2.転生
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24.地下部屋の本格的な作成2


「アリス。こっち終わったよ。」

「うん。アリスも終わってるよ。」

アリスは、洗った物を石の上に並べて乾かしていた。


アリスの洗ってくれた、調理器具や食器、桶などを乾燥魔法で乾燥させて、亜空間に収納していく。

たまに洗い残しはあるけど、水だけなので仕方ない所だろう。それらは温水にして軽く洗い乾燥させて収納する。


アリスはまだ裸のままだったので、木にかけて乾かしていた服を渡しながら着るのを手伝ってあげる。

「これは?」

「それ靴だよ。」


言い切ったけど、靴と同じ用途の革と言うのが正確かも。

パン屋から手に入れた靴には2種類あった。

1つは動物の皮そのままに近い物に、革の紐が付けられており、足全体を包んで紐で結ぶような使い方をするようだ。

大人用なので、俺が付けると太ももくらいまで包み込めてしまいそうなので、使う時には切って使う事になるかもだ。

ただ季節的に温かいいま着けるのは余りよろしくない温かい靴だ。


もう1つは1枚の皮に革の紐が数本付けられただけの物だ。

皮を踏んで、紐で括りつけるスリッパのような物っぽい。

これももちろん大人用だけど、紐で調整出来るので多少不格好にはなるけど、ちゃんと履けそうだ。


スリッパの方を、アリスに履かせて、俺も汚れてしまった足を洗い直し、俺もスリッパを履く。

余りいい履き心地ではないけど、地面で足を怪我しなくなるし、足も綺麗に保てるので、とりあえずはこれで満足しておこう。


「じゃあ、部屋に行こ~。」

「行こ~。」


アリスと2人で、手を繋いで地下部屋に降りて行く。

魔法で明かりを付けているので、地下とは思えないほど明るい。


「あれ?昨日と違う?」

「うん。結構改装したからね。ここで靴を脱いで中に入って。」

「さっき履いたばっかりなのに‥‥。」

「部屋から出る時に履いて、入る時に脱ぐようにしてほしいんだよ。」

「うん。ハルトが言うならそうする。」

「靴脱いで生活する事で、外の土が部屋の中に入らないから、部屋が汚れにくくなるんだよ。」

「そっか。わかった。」


アリスの靴を脱ぐのを手伝って、リビングへと移動する。

「わぁ~。お家だ。」


確かに、部屋の真中に木のテーブルと椅子があると家の雰囲気だよな。

「あっちの部屋にベッドがあって、こっちの部屋が料理作るキッチンだよ。」

「料理!アリス料理する。」

昨日も、アリスは料理したがってたな。


「そうだね。材料もあるから料理しようか。」

「うん!」

アリスを連れて、キッチンに行ってスープ作りだ。


まずは野菜とかの材料の確認だ。

パン屋から奪った物だ。

タマネギ・ニンジン・ジャガイモと俺の知っている食材と、何となくわかるけど知らない野菜もある。

なんかカラフルなホウレンソウっぽい葉物や、色付きのカブっぽい根菜などもあるけど、まあ食べ方は想像出来る。と言うか、基本スープに突っ込めば大体食えるだろう。

後は、塩はあるけど他の調味料は探してもなにも無かった。

でもピクルスが漬けられている壺があったので、これも調味料として使えそうだ。

ピクルスではなく、それを漬けていたお酢を調味料として使えそうだ。


今日はスープだけでいいので結構食材は揃っているが、一番欲しい食材で迷っているのだ。

たんぱく質が食べたい。ウサギの肉は、熟成させないとダメだから‥‥ヘビって食べられるんだろうかって事だ。

爬虫類も熟成させないとダメなのかな?毒持ちだったけど肉には関係ないはずなのでそこは気にしなくてもいいはずなんだけど‥‥。

とりえあず、解体して食べてみて考えよう。


かなり巨大なヘビだが、言うてみれば大きいウナギと同じはず。

頭はもう飛ばしているので、まずは内臓を取り出す所からだ。

ヘビの背中側は黒に濃いマダラになっているが、腹は真っ白なのでわかりやすい。

腹側にナイフを入れて内臓に傷を付けないように慎重に裂いて行く。

「さすがに内臓は辞めておこうか‥‥。」

「内臓って?」

「ああ。お腹の中にある‥‥肉以外の部分って言ったらいいのかな。」

「肉じゃない部分があるの?」


子供に内臓ってどうやって説明したらいいんだろうか‥‥。

「肉と別に、口からお尻迄食べ物が通る道があるんだよ。他にもあるけど細かい部分はいいか‥‥。」

「それって肉とは違って食べられないの?」

「食べられるんだけど、食べ方があったり、食べられない動物もいて難しいので今回は辞めとく感じかな。」

「わかった。」


内臓を傷つけないようにヘビから出し、亜空間に入れ水で綺麗に洗い流す。

内臓が潰れている部分があり、血が溜まっていたので臭みが出てしまっているかもしれない。


次は顔側から皮を剥がして行く。

俺の力だけでは難しいので、魔法で皮と肉の間に風を吹き込みながら剥がして行く。

これが一番力のいる作業かもしれない。


皮が剥がれたらとりあえず、味見の為に一切れ切り出して直火で焼いて味見だ。

「あ~!ハルトつまみ食いしてる!」

「味見だよ。」

「アリスも!」

アリスが、口を開けて俺の方に迫ってくる。

「ダメ。このままだと美味しくないし、食べられるかどうか見てるだけだから。」

「う~!ハルトいじわる言う。」

「いじわるじゃないんだけどな‥‥。じゃあちょっと待ってねもう一切れ焼くから。」

口の中のヘビ肉は、臭みは無いが味はささみの様な淡白な感じで、肉質はミノとかそれくらい硬い。

変な味はしないし、毒的な物も無さそうだし、まあ小さめの物なら大丈夫だろう。

ヘビ肉を小さめにもう一切れ切って、直火でしっかりと火を通し、少しだけ塩を振って皿においてあげる。

「アリス。これ味見してもいいよ。硬いから気を付けてね。ダメそうだったら吐き出してもいいからね。」


これはそのままではスープに入れても噛み切れないくらいのはつらいな。臭みも無いし硬い以外には問題はなさそうだ。

ミンチにして、団子にすればどうだろう?

ミンチにしても粘り気で無さそうなので、繋ぎに卵があればいいんだけど無い物は仕方がない。

多少煮崩れするかもだけど、繋ぎ無しでいくか。


「アリス、食べれた!」

「でも、あんまり美味しく無かったんじゃない?」

小さめに切ったからそのまま飲み込んだのかな。

「ううん。美味しかったよ。」


「これからもっと食べやすく、美味しく料理するから待っててね。」

「ダメ!アリスも料理するの!」

「ああ、そうだね。じゃあそうだね、じゃあ野菜を洗って貰おうかな。」

「うん。」


アリスに野菜を洗って貰っている間に、ヘビの調理を済ませてしまおう。

ヘビの肉の調理経験なんてもちろんないんだけど、まずは輪切りにする。

胴回りが俺の一抱えもあるニシキヘビ的なヘビなので、輪切りと言っても結構な大きさだ

ヘビの骨は、背骨と肋骨があるのだが肉とはかなり密着していて外し難い。と言ってもこれを残すと食べにくそうなので、手間はかかるけど1本ずつ丁寧に外して行く。

骨を取ったら、肉部分をナイフで叩いてミンチにする。


「ハルト。洗い終わったよ。」

「じゃあ、お湯を沸かしてスープ作ろっか。」


鍋をかまどに設置し直し、魔法で井戸から水を汲んで不純物を抜いた水を鍋に入れお湯を沸かす。

思いのほかかまどは快調だ。

木炭なので煙も出てないけど、ある程度の熱は外に出ているはずなので空気穴を直視されると、熱が出ているのがわかるかも知れない。


野菜を、アリスと切って鍋に入れ込み塩で下味を付け煮込んで行く。

食用の油があればもうひと手間かけれたんだけど、今回は仕方がないな。

ひと煮立ちした所でつみれ団子にした、ヘビを入れ塩で味を整える。

塩だけだとシンプル過ぎるので、ビネガーを少量入れておく。

「できた~。」

「出来たね。」


パンを薄く切り軽く火であぶってから、かごに盛り付ける。

出来上がったスープを木の食器にとりわけ、アリスにパンと一緒にリビングに運んでもらう。

「さあ、食べよう!」

「うん!」


もうちょっと味が足りないが、温かいスープと言うのは中々悪くない。やっとこの世界でまともに料理した物を食べれた。

今回のパンは、パン屋から奪って来たものだが、思いのほか柔らかく美味しい。

昨日買ったパンより格段に美味しい。


「ハルト!美味しいよ!」

「つみれ団子にしたんで、柔らかくて旨いね。」

ヘビ肉を団子にする事で、柔らかく食べやすくなった。

ヘビの肉は熟成しなくても、食べれそうだ。

味が淡白なので魚のつみれに近い。スープに入れるだけでなく、他にも美味しい食べ方が出来そうな気がする。


アリスにとってもハルトにとっても、温かい料理と言うのは孤児院で炊き出しで出されるスープだけだ。

3日に1回程度の割合で行われている、孤児院の炊き出しは孤児しか貰えないのだが、それでも量は少ないし場合によっては孤児以外の大人が待ち構えて奪って行く事もある。


お昼ご飯が終わったら、食器をかたずけてシンクで洗い物をする。アリスも洗い物を手伝ってくれて、食器も片づける。

スープは残ってるので、鍋に木の蓋をして、また明日食べよう。

朝食は、こっちに来てから食べた方がいいかもな。


これから俺は狩りに行って、あのケニーって商人に売る為のヘビ頭をもう少し確保してこよう。

皮屋はハーリさんに紹介して貰えるからきっと売れるとは思うけど確実でもないから、確実なヘビ頭の確保が優先だな。

俺だけ出かけるなら明かりを点けておかないといけないので、そっちも先にやっておかないといけないか。

そして火を点けっぱなしにするなら、1酸化炭素中毒にならないように、大きく空気穴も開けとかないといけない。


早速手を付けて行こう。

パン屋でオイルランプに使われていた器が3つあったので、まずはこれを配置して行こう。

寝室・トイレ・リビングがいいかな。

壁際に俺の腰くらいの高さの台を作り、そこにオイルランプをセットする。


あとキッチンと玄関ホールにもランプ欲しいので、土からオイルランプを生成する。

元々手に入れたオイルランプは、深めの皿の1か所がへこんでいる、深めの灰皿っぽい感じの作りだ。

その皿にオイルを入れて、へこんだ部分に縄のようにねじって編んだ植物の茎を置いて芯にしている。


同じ物を作るのも芸が無いというか、どうせなら一工夫してみよう。

まずはオイルをもっと入れておけるように、壺型にする。

さらに芯が中に落ちてしまわないように、芯を押さえるような作りにする。

芯も元の雑な感じの縄ではなく、もっと固くしっかり草を編んで作ってみた。


オイルランプが出来たので、俺の魔法の光をやめてオイルランプの光だけにして、部屋を見回す。

「結構暗くなるな~。」

オイルランプって、ロウソクと変わらない程度の明かりなんだな。

ああ、ガラスの囲いみたいなのが無いからなのかな。

と言っても、ガラスはすぐには手に入りそうにないし、今は仕方ないか‥‥。


とりあえずの対策として、床と同じく壁も天井も乾燥させ固めて白いツルツルの偽大理石にしていく。

白の天井と壁で、オイルランプの炎の明かりが反射して、少し明るくなったような気がする。

それでも、小さな炎の明かりではやっぱり薄暗いな。

まあ真っ暗でもないし、これで俺がいなくてもなんとかここで生活出来そうだな。


次は空気穴を作りたい。

理想は中庭みたいなの作って、天井全面を開けて日が入るくらいまですれば快適なんだろうけど、そこまでやったらさすがに地下部屋の存在が見つかる可能性があるので、もう少し見つかり難そうなやり方にしよう。

下手に排気口を作ると、浄化槽から吸気してしまい、浄化槽の空気が全部部屋の中に入ってしまう。なので作るとしたら吸気口となるのだが、換気扇を付けるわけにも行かないので吸排気の制御は難しそうだ。

吸気口だけ各部屋の天井に開けて置くだけにしておこう。

キッチン、寝室、リビング、玄関のそれぞれの部屋の天井から外に向かう空気穴を作る。

もちろん外から地下部屋の存在がわからないように偽装してるし、雨水が入らないように対策済みだ。

虫対策に、奪った誘拐犯のあまり使いたくない服を切ってフィルター代わりに空気穴に張っておいた。


亜空間に収納してた荷物を一通り、各部屋に収納していく。

キッチンに、木炭や食器の残り、調理器具、桶、壺などを収納していく。

寝室のチェストに、着替えに使えそうな衣服、リビングの棚にはオイルランプの油など、トイレに葉っぱとトイレ掃除用の桶、土間には履いてなかった靴など取り出しておく。


「俺は狩りに行って来るから、ベッドを準備してほしいんだけどいいかな?」

「ベッド?なにするの?」

「ベッドの下に敷く物は用意したから、シーツ張って寝られるようにしておいてほしいんだ。」

「うん。アリスそれ出来る!」

孤児院に居た時には、ベッドの用意は孤児たちの仕事だったので、みんな出来るようになっている。


寝室に行って、ベッドの中にさっき取って来た破砕した雑草を敷き詰める。

洗ったシーツを取り出して、アリスに渡して俺は仮に出発する。

「いってきます。」

「いってらっしゃい。」


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