表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
2.転生
27/223

23.地下部屋の本格的な作成1


南門を抜けると、いつもの外の風景が見えてくる。

門を出てすぐに西に向かって街道は曲がり川の向こうまで続いている。

南には広く平原が広がっている。

平原と言え、背の高い雑草が俺の身長よりも高く生えており、各所に背の高い樹木がまとまってたっている。

森まで直線で行けば30分程度で行けるのだが、俺達は昨日と同じように街道を通り橋のかかっている所まで向かう。

アリスと2人手を繋いで、歩いて行く。


橋までたどり着いたら、川べりに降り川沿いに南に向かって行く。

川べりと言っても、川も真っ直ぐと言う訳でもないし、大きな石があったり楽な道じゃないけど、アリスも手こずりながら進んで行く。

大きな岩を回り込んで、流れも緩くなっている場所にたどり着いた。

昨日と同じ水浴び場所だ。


今朝着替えたばかりだけど、服ごと水浴びをする。

今まであんな生活をしていた事もあるが、アリスがトイレ失敗してしまっているので洗ってしまう。

でも子供と言う事関係なく、通りを歩いていると大人でもトイレを漏らしてしまっている人や、その辺でやっている人も結構見る。

この世界と言うか、たぶん貧民街の近い東通りではそういうのが普通っぽい。誰も気にしてなさそうだった。


川の中でアリスと2人、服を脱いで水で体を洗う。

「体を綺麗に洗ったら、服をいっぱい手に入れたからこれもあらってしまうからね。」

「うん。わかった。でもこんなにいっぱい服洗うの?」

実際奪った服は男性用とか女性用とかは無く、大人用のトップスが8着と、ボトムスが4着だった。

トップスは、袖が無いTシャツでベストとかの方が近い形だ。

ボトムスは、短パン型だがそれなりにゆったり出来ている。

あとベッドのシーツやその替え、他にもタオルケットサイズやバスタオルサイズ、ハンドタオルなど大きさの違うタオルなど各種がある。


布製品は全部植物を編んだだけの安物だが、俺達が前に着ていた服よりも網目が多い。

前に着ていた服がザル程度の密度で編まれていたが、これは麻袋程度には編まれている。

植物を編んだだけなので、ごしごし洗うともちろん簡単に千切れるし、水につけすぎても切れやすくなる。

たぶん麦のような植物を叩いて柔らかくしたやつを交互に重ねて編むかんじじゃないかな。

なので、繕いは俺でもなんとかなると思う。


アリスが川に布製品をさらして、大体汚れが落ちたら、俺が確認して乾燥の魔法をかけて収納していく。

一通り洗い終わったら、次は家具だ。

ベッドを川の中に出して、その辺りの雑草を束ねてごしごしと汚れを落とす。

ベッドは木製だが、ただのそこの抜けた箱だ。

木枠だけと言うのか、これを地面において中に乾燥させた雑草を敷き詰め、その上にシーツをかけてベッドにすると言う使い方のようだ。

棚もいくつかあり、これらも同じく木枠の間に板を渡しただけの普通の棚だ。

チェストと言う箱もいくつかありこれらも合わせて洗っていく。これはタンスみたいな服を入れて置くための箱だが、ただの箱なのでなんとでも使いようはある。

4人掛けくらいのテーブルと、椅子が2脚も川の中に出しておく。


服はともかく、家具を洗うのは俺達では厳しいな。しかも結構汚れてるし‥‥。

魔法でなんとかならないかな。

家具を水で洗うなら‥‥高圧洗浄機か!

川の水を使って強めに、高圧洗浄機のように当てながら少しず強めながら丁度良さそうな強さを探り、汚れを落として行く。

次々に家具を洗い、これも乾燥の魔法で乾かせて亜空間に収納していく。


後は小物だな。

木で出来た食器や、小物入れ、調理器具など細かい洗い物がまだ結構残っている。

「アリス。地下の部屋を少し作っているから、これ洗っておいてもらってもいいかな?」

「うん!アリス洗えるよ。」

「川にはこれ以上深い所には入らないようにね。」

「わかった。」


川沿いに少し南に下り、目印の大岩を東に折れ川から少し離れた所の少し雑草が無くなり開けた場所に移動する。

このなんの変哲もない開けた場所の中央付近の地面に魔法で穴を開けると、そこに階段が現れ昨日作った地下部屋が現れる。

階段を降りる前に、魔法の触手の先を光らせ明かりを付けながら降りて行く。

‥‥空気が籠っているな。

魔法で風を中に送り込み換気を先にやってしまう。

トイレの浄化槽の奥に空気穴を開けてるから、入り口から風を送り込めばそっちから空気は抜けるはず。


一通り換気も出来た事だし、地下に入って考えていた改装をやって行こう。

大まかな改装を一通りして、それから細かい所をやって行こう。

前回は大きな部屋を1つと、トイレを作っただけだったので


まずは廊下からそのまま入っていたのでここで靴を脱ぐ感じかな。

まだ俺も裸足だけど、さっき靴を洗ったからこれからは靴生活になるしな。

さっき洗って収納した靴を出して置こう。


さてこの部屋だな。

中央にテーブルと椅子をセットしている、昨日食事をした唯一の部屋だ。

トイレもこの部屋から行けるようになっている。

まずは間取りを変えてしまおう。必要なのは、キッチン・寝室って感じかな。


玄関のあるこの部屋じゃなくて奥にリビングを作って、そこから生活空間にしたらいいか。

まあ好みの問題だけど、玄関がリビングにあるのはちょっと苦手なんだ。

借りの部屋なら問題ないが、せっかく作るなら好みの間取りがいいからね。


この部屋は、玄関と荷物をおける倉庫代わりな感じにする感じかな。

となると玄関を大きく広げて、土間のように、土で汚れた物なんかをおいて置けるようにしよう。

段差を作らないのもバリアフリーっぽくていいかと思ったけど、土埃が上がって来ると嫌なので、5cm程度土間との段差を付けて置いた。

昨日食事に使った地面を変化させた机と椅子は、もう使わないので壊して地面にもどしておく。


次は奥にリビングを作る。

玄関部屋と同じ大きさで部屋を作る。

この部屋が、全部の中心になる部屋になり、それぞれの方向にいろんな部屋を設置する事になる。

一応、中心にパン屋から奪った木の机と椅子2脚を設置する。


次に奥に向かって右側に寝室を作成する。

作った部屋の一番奥に、亜空間からベッドを出して設置する。

ベッドは1つしか持ってないので、アリスと一緒に寝る感じかな。

その手前には、チェストを置いて中にシーツを入れて置く。


今度は、寝室と逆側にキッチン用の部屋を作る。

キッチンはリビングの半分くらいの、かなり広めに作った。


まずは、かまどを作ろう。と言っても、かまどの作り方とか知らないので適当なんだけど。

たしかかまどってこんな感じの形だよな‥‥。壁にくっつけるように丸っこいかまどの感じに土を盛って、中身をくり抜く。

上は鍋を置くので、亜空間から鍋を出してほぼ同様の大きさの穴を開けはめ込む。

下側は、薪で火を焚くと直火が当たりかまどとして使えそうだ。


‥‥あれ?これって煙てどこに出るんだろ?

煙の出口がないって事は‥‥上の鍋の所はきっちり作ったから、こっちからは漏れないとしたら、火を焚く所から漏れてくるのか。

まずそうだ。別に煙が出る出口を作った方が良さそうな気がする。

出るとしたら、奥から出して外に排気するような感じがいいだろうから、かまどの奥に穴を開けて行く感じかな。

かまどの中に潜り込み、穴を進めて斜めに地上に向かう。

そのままただ上がってしまうと、雨が漏れて入ってきてしまうので、途中で下向けに分岐させてそこに水が流れるようにする。

軽い空気は、上に向かって流れるので外に出て、外から入って来た水分は、分岐させた下への穴を通って地面に流れ浸み込んで地下水として流れて行く。


これなら、煙は外に出るかもだけど、料理の匂いとかは外に出ない‥‥。

でも火をつけてない時には、虫が入って来そうなので、かまどの火を焚く所用の蓋も必要かもしれないな。

後は、煙が出ないように薪ではなく炭にした方がいいのかもしれない。

そっちは後からだな。


次は水だ。

キッチンの端の方に井戸を掘ってそこから水を汲めるようにする。

今の位置よりも下に地下水が流れている所を探して、そこまで穴を開ける。

これを井戸として、汲みやすいように修正していく。

本当はポンプが出来ればいいんだろうけど、構造とか知らないので普通に汲むしかないな。

俺も前に水汲んだ時に大変な目にあったので、アリスだと普通の桶を放り込んで紐で引っ張るだけでは難しいだろう。

‥‥諦めるか。俺が組んで水甕に水を溜めておいて、これをアリスに使って貰おう。

時間が出来たら、何かいい案を考える方向でいいか。


水こぼしたら汚れてしまいそうなので、床をもっと床らしく加工してしまおう。

今の床は土を踏み固めた感じでしかないがさらに乾燥させながら圧縮していく。

土間のような状態だったのが、圧縮されて石のように固まり、さらに整形しながら圧縮を続けるると大理石のように白く、ツルツルの床になった。

「思ったよりも良さそうだな‥‥。全部これにしてしまうか。」

床面全体を、この偽大理石に加工した。

‥‥この床水を吸収しないと言う事は、大量に水をこぼした時に今度はどこにも流れなくなってしまうという事か‥‥。

排水溝を掘るのが良さそうかな‥‥それを想定して部屋全体にも多少傾斜をつけておく。

後は‥‥とりあえず溝だけ掘って、細かいのは後だな。


水が汲めるようになったら、次は食器を洗ったりするシンクだな。

システムキッチン風に作ってしまうか。

俺も、アリスも背が低いからそれに合わせたくらいの高さのシステムキッチンを地面から生成する。

素材はさっきの床と同じ偽大理石素材だ。

水道は無いので、蛇口はなくただのシンクだけだけど、そこからの排水は排水溝に流れるようにする。

‥‥どのみちこれを使うなら、排水溝から水を浄化槽まで流す道は作らないといけないか。

排水溝の一番低くなっている部分から、魔法で穴を開けてトイレの浄化槽まで穴を通す。

配管は途中でS字管にして臭いが戻ってこないように工夫し、素材は先ほどの偽大理石状にした物で作った。


キッチンからリビングへ窓を開けて、カウンターキッチン風に作るのも考えたが、かまどのある部屋とリビングは分けた方がいい気がする。

熱が籠って部屋が暑くなるかもなのでやめておいた。

アリスが洗ってくれてる、食器や調理器具が収納できるように、いくつか収納スペースを作って置く。

棚を亜空間から出して、作業台を地面から作り出す。


最後に、トイレの場所を移設しよう。

今は玄関部屋にトイレがあるが、リビングに無いと不便なので玄関のトイレをまるっと移設した。


全体で言うと、寝室と入り口部屋の2LDKって感じかな。

アリスと2人で暮らすには十分だろう。と言うか、子供2人だと広すぎる感じかな。


水回りの改善、換気、扉、壁や天井などまだ改善点は多いけど、とりあえず後は細かい所になるのでアリスを呼んでくる事にしよう。


「アリス。どう?」

「あ!ハルト。あともうちょっと。」

「うん。もうちょっとやらないといけない事があるから、そっち終わったら手伝うね。」

「うん。でもアリスの方が先に終わるよ。」

「先に終わったら待っててね。」

「うん。わかった。」


いろいろこの辺りで手に入る物を取ってこようと思っている。

まずはトイレの紙代わりの葉っぱ。

これは雑草の中に結構な頻度であるので、単純に集めるだけで済む。

サーチして見つけて、千切って亜空間に収納していく。

100枚程度集まったのでとりあえずいいかな。


パン屋で手に入れた薪ではなく木炭が必要だ。

薪でもかまどは使えるけど、木炭でやらないと煙がかまどから出て、地上に出てしまう。

木炭は木を酸素の無い所で燃焼させる事で作る事が出来る。

木から水分を抜いて、酸欠と熱の魔法なら面倒な手順を踏まずにすぐに出来る。

薪を木炭に変えるのではなく、新たに木材を手に入れて木炭にしておきたい。

その辺りの細い若木をナイフで切って、乾燥させ、無酸素燃焼させ、そのまま木炭用の亜空間に放り込む。


森の中の大きな木を切って木炭作った方が効率的ではあるが、木なんて切り倒したら目立つので辞めにした。

木が切れれば遠目にも倒れるのが見えるし、すごい音もしそうなので南門からでも気が付かれる。


あと必要なのは、ベッドのマットレスで使う為の雑草狩りだ。

パン屋はマットレスにたぶん麦の茎を使っていた。

この辺りには、麦よりも背が高い似たような雑草が大量に生えている。


まずは広範囲に刈ってしまおう。

って魔法でどうやって刈ろう‥‥思いつかない。

魔法だけでやる必要はないか‥‥。刈るって、やっぱり刃物で切るのが一番なのでそっちの方向でやってみよう。

材料は、誘拐男達の持っていた剣を使おう。

亜空間から剣を取りだし、魔法で加工して行く。


作るのは刈払機で使われるような丸ノコだ。

剣から完全に形を変えるので、まず柄を外し鉄の部分である鍔と刃だけにしてから、魔法で不純物を抜き、炭素量も減らしながら熱を加え円盤状に成形して行く。そして円盤を均等に圧縮し薄くしながら、外縁にのこぎり刃を付けて行く。

そして直径30センチくらいの丸ノコが出来上がった。


短剣の整形出来たからなんとかなるとは思ってやったけど‥‥鉄製品が何の道具も使わずに作れるとか、魔法えげつないな。

日本でこんな事が出来たら‥‥う~ん、すごいけどこれだけで日本では直接的なお金儲けにならないんだよな。

まあ日本に戻れないのだから考えてもしかたないか。


丸ノコを魔法の触手で支え、もう1本触手を使って回転させて行く。

回転が早くなってくると、空気を切り裂くような高音を鳴らしながら丸ノコは高速で回転して行く。

雑草に向かってゆっくり動かしていくと、雑草に当たった所が綺麗に切れて周りに雑草が飛び散る。

その飛び散った雑草をそのまま亜空間ですくうように回収していく。


周りの雑草を一通り刈りまくり、ちょっとした広場が出来上がった。

刈った雑草の整理をこの広場でやってしまおう。

雑草を入れた亜空間の下に、空の亜空間を用意する。

雑草の亜空間から、さっき大量に刈った背の高い麦っぽい雑草のみ出して下に落とす。

それを空の亜空間で拾うようにする。これ種類を統一出来る。

さらに落ちている途中で、乾燥の魔法を通す事で一気に乾燥させる。

もう1つ乾燥させた植物そのままではデカすぎて使えないので、河原の小石を風の魔法で旋回させ砕いて小さくする。

それがそのまま亜空間に収納され、ベッドのマットレス代わりに使う材料が出来上がりだ。


挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ