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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
6.エスデスク王国
221/223

6-55


翌朝、マディに朝食を作って貰い、クシェルとを連れてマトス邸に。

マディの朝食を食べて貰い、侯爵とフェリスは、クシェルに連れられて、王都の家に戻った。

俺は、マトスさんに案内されて、蔵書の確認に行く。


「マディの作る物は、朝食も素晴らしいな。

あのベーコンも旨かったが、やはりマディのパンと各種スプレッドは最高じゃな。

夕飯とかでは、おまけのような扱いじゃが、あれがメインでも十分いけるのぉ」

「ええ。ジャムもいろいろ種類がありますしね。それに・・・。」

「それに?なんじゃ?」

「アルスデスに行くようになると、あっちの特産品でいろいろ作れるのです。」


そう!アルスデスには、サトウキビがあるはずなんだ!

と言う事は、砂糖が手に入る。

今まで、甘味はハチミツで賄ってたけど、砂糖が手に入ればさらに自由に甘い物が作れる。


「ほお。アルスデスの特産品と言うのはなんじゃ?」

「それはお楽しみです。かなり良く使う調味料が増えるので、味の幅が広がるかと思いますよ。」

「ほほう。それは楽しみじゃの。」

「ええ。俺も楽しみです。」


ハチミツも旨かったんだが、集めるのが大変なので、砂糖があればずいぶん自由に使える。

それに、砂糖の量産が出来れば、かなりの利益も見込める。

アルスデスの住民すべてを、食わしていけるくらいの利益になるのではないだろうか。

その分、利権で狙われやすくもなるのだろうが・・・。


「ここがわしの書庫じゃ。」

屋敷の2階の一番奥の部屋で、カギがかかっている部屋だ。

カギは、扉に埋め込まれている感じでは無く、扉の取っ手部分に、

南京錠がかかっているタイプだ。

貴族の屋敷と言うのは、無駄な所に贅沢なようで、

普段はカギがかかっていてあまり入らない、こんな部屋の扉にも装飾が施されている。

日本だと大量生産なので、大した手間では無いのだろうが、

ここではすべて手彫りの特注品なので、本当に無駄な贅沢だと思ってしまう。


マトスさんはカギを開け、中に案内してくれる。

中は窓も無く真っ暗だが、マトスさんと一緒に来ていた、女中の人が部屋の中に入り

部屋の中のオイルランプを付けて、回ってくれている。


中は、結構な広さで天井まで届くような本棚が、左右両側の壁一面に設置されており、

部屋の中央には、贅沢な机とソファーが設置されている。

棚にまで手彫りの装飾が入っており、これも特注品だと分かる。


書庫と言っても、棚に入っているのは本では無く、木を薄く削っただけの板だ。

1枚で、1ページなので、量はあるが内容は本よりも断然少ない。

それでも、部屋の両側全部を埋め尽くすほどの量なので、

魔獣の森で研究をしていた、イヌサヌの研究資料と同等の量はありそうだ。


「なかなかの量ですね。」

「ああ。宰相の時に王国に保管されている資料なども、書き写させたのじゃ。

ここにあるのは、古い資料ばかりなので、自由に見て貰っても良いが、

貴重な物じゃから持ち出しや、傷を付けないように注意してくれ。」

「了解です。どんな資料があるのかとかの一覧なんかあったりしますか?」

「ここを担当しておる、こやつに聞いて貰えれば、大体は分かるはずじゃ。」

「なるほど。了解です。じゃあ、早速見させてもらいますね。」

「わしは、まだ仕事が残っておるので、戻るが自由に見てくれて構わん。」

「了解です。」


女中の人に聞きながら、資料を漁って行く。

「なかなか・・・さすがに元宰相だな。」


かなり良い資料が豊富にあった。

各町の成り立ちから、人口の推移、王国がどういった方針でどういった意図があったのかなど、

まとめられている資料であったり、貴族制度の成り立ちや、獣人などの扱いなどの資料、

平民や、孤児などの扱いに関しての資料まで。

各貴族達の役割なども、書かれた物もあったりと、王国の事情が分かる資料も豊富だった。


「と言うか、こんな資料俺に見せても良い物なのか?」

貴族の中には、裏の仕事を専属でする貴族などもいたり、

王国の行った過去の犯罪なんかの資料もある。

さすがにこれを俺が見たらまずいんじゃないか?とも思ったりもするのだが、

こういった機会じゃないとみる事も出来なさそうな資料だし、一応数十年前の事だし、

時効ではあるんだろうしな・・・。


他にも、魔術関連の資料も結構な種類あった。

ノアール侯爵は、魔術師の家系では無いので、習得方法などは無いのだろうが、

魔術の種類や、対抗策などの検討資料などは豊富だった。

数百年前に粛清されたと言う話だったが、その時にはかなり強い魔術師達に対抗するべく、

いろんな対抗策があったようだ。


今も、魔術師は騎士団に組み込まれて存在しているが、

それほど重要視はされていないようだ。

粛清時に、王国側に付いた魔術師の家系は、騎士団の上層部と言う形で、

今も魔術師の家系を守っている。


これらの、貴族達の名前と、系譜のような物もあり、

イヌサヌのデーリンゲン家がどうなったのかも記載されていた。

デーリンゲン家は、元々魔道具を作る家系だったのだが、

粛清の時には王国側についていたようだ。

その為、粛清があったすぐには王国でもかなりの力のある貴族として、

取り立てられていたようだが、粛清後数年経った時に、魔術師の生き残りによって、

一族は根絶やしにされてしまっている。


300年ほど前の話なので、今の貴族達にはデーリンゲン家と言っても誰も知らないと言う訳だ。

そもそも、イヌサヌ自体も、もっともっと昔の人なので、知ってる人はいないだろうけどな。


冒険者ギルドにあった物よりも、正確な地図もいつかあるようだ。

開拓村が無かったりするので、少し古い物なのかもしれないが、これもなかなか・・・。


・・・これは、しばらく食事提供しないといけないかもな。

あえて、ここまでの情報を俺に渡す・・・さっきの話からすれば現在の宰相への恨みと、

亜人への恐怖・・・それらに対抗できるかも知れない、

俺と何とかつながりたいと言う事なのだろうな。


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