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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
6.エスデスク王国
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6-47


「それと、フェリス誤解をしておるようじゃがな・・・。

この子は、貴族では無いが、魔法使いじゃ。

しかも、強大な魔法を要しておる。

多分1人で軍団にも匹敵するほどの・・・。」

「嘘ですわ。そんな魔法使いなんて、聞いた事ないですもん。

しかも、子供じゃないですか。それこそ、伝説の亜人でもないかぎ・・・り?」

「本人は否定しておるのじゃがな・・・。」


「いや、ほんとに亜人じゃないんだけどね。

まあ、それでも仕方ないか・・・。

余り力を誇示するような事はしたく無いんだけど・・・。

侯爵、さっきの証拠ここでなら出してもいいですよね?」

「・・・なるほど、頼む。」


俺は、みんなから離れ壁際に進み、そこに亜空間を開き、入っている魔獣を大量に排出する。

ここにおける程度の数なので、千に満たない程度だが一気に出す。

「魔獣!どうやって!?」

「侯爵、まだ千くらいしか出してませんが、これで十分ですよね?」

「・・・ああ、もちろんだ。」

侯爵は、予想していたんだろうが、それでもあまりの数の魔獣に動揺を隠し切れていない。

それでも気丈に、魔獣に寄って行って、魔獣を見渡す。

「これほどの数の魔獣の死体を見た事は無いな・・・。

しかも必要な所に1か所だけ、傷が入っているだけで、他はほぼ無傷だ・・・。

これほどの、獲物の状態は見た事が無い。」


フェリスは、もう何もしゃべる事が出来ない状態で、地面に座っている。

クシェルも、ケニーさんの後ろに移動しているのだが、魔獣に目を奪われている。

ケニーさんも、同じような顔している。

そういえば、魔獣狩ってるのは話てるけど、こんなにも数を見せたのは初めてだった。


「素材はいろいろ使うので、出来るだけ気を付けて狩ってます。

もういいですか?収納しますね。」

「・・・ああ。」

俺は、出したのと同じように、一気に亜空間に収納する。


漏れ出した体液と、魔獣の死骸の臭いがあたりに充満する。

とりあえず、これで2人は納得してくれるだろう。

「じゃあ、フェリスさん。採寸はクシェル達がやってくれるので、準備が出来たら、

声をかけてください。

ケニーさん、後はお任せしてもいいですか?」

「はい。分かりました。」


俺が居ると、侯爵も、フェリスも委縮してしまうかもしれない。

力を見せると弊害に、怯えられる・・・。

これは逆に不利になる可能性もあるので、出来れば避けたいのだが、

この協力関係では、遅かれは早かれ、俺の力をどこかで見る事になるだろう。

それなら、自分達に向かないと思って貰うしか無いので、中途半端な噂なんかではなく、

明確に力がある事を見せた方がいい。

と・・・後付けの自分への言い訳なのかな。

だって、見せないと依頼を果たせそうになかったから・・・。


「では、侯爵。俺は戻らせてもらいます。」

「ああ。今後の連絡は、そのケニーにと言う事で良いのか?」

「そうですね。ケニー商会へ連絡して貰えれば、俺に伝わるので、それで結構です。」

「分かった。」

「アリーヤ。貴族門通らないとだから、一緒に来てもらっていい?」

「はい。」


俺は、アリーヤと一緒に、侯爵家を出て、貴族門を通り拠点に帰った。

後は、ケニーさんに任せておけば、何とかなるだろう。

問題があれば連絡来るだろうし、あれだけの魔獣を見せられたら、

変な事をしようとは思わないだろう。


拠点から家に戻ろうとした時に、アリーヤが、

「ハルト様、あたしは師匠に紹介してもらった、情報屋に会ってきます。

王都にも、情報網を作っておきたいですから。」

「今日は、夜じゃないんだ。何かあったらすぐに連絡してね。」

「はい。とりあえず顔合わせだけなので、そんなにかからないと思ってるんで、

すぐ戻ります。」

「了解。」

「は~い。じゃあ、いってきま~す。」


俺は一人で家に帰り、時間が出来たので、いつもの工房で作業を行う。

前回の検証で、スイッチが出来たので、通信機にスイッチを取り付けようと思う。

今は、しゃべったらみんなに聞こえるので、利便性が低い。

今日は、特に誰にとかって言うのがややこしかった。

なので、これをスイッチにする。

腕輪を拡張して、ボタン付きにしてみた。

対応したボタンを押せば、対象の人に通信出来るようになる。


ここまですると腕輪と言うよりも、腕全体を覆うような物になってしまった。

腕の内側に操作するボタンを付けてるけど、そのままじゃあ目立つので、

革でカバーも付けた。


あとは、人数分だけ量産だ。

マディ、リル、ケニーさん、クシェル、アリーヤ、ファギー、俺の7人分だ。

あとは、据え置き型を3台作った。

これは家のリビングと、解体場、それと獣人の村の集会場に設置した。

獣人村の物は、俺にしかつながらないようにして、緊急時のみと言う話をしている。


次に、また違う魔道具を作ろうと思ったけど、

そういえば鎧も作らないとダメだったのを思い出した。

解体済みのアリの素材を取り出して、加工して行く。

サイズは、さっきみたフェリスの体系を思い出しながら、大体を作って行く。

寸法が来たら、調整して最終は合わせて貰うのだが、

完成までには数回は着て貰って調整が必要だ。


鎧の骨格部分を作って行く。

アリの甲羅は、圧縮しないので結構な厚みがある、その割には軽いので、

イメージは強化プラスチックとか、アクリルって感じだ。

色合いは、アリの赤茶色の単色だ。

大体の形が出来れば、次は内部の緩衝材代わりの革張りを行う。

首元と肩から脇の部分、お腹から腰部分は、常に体に密着するようにしておかないと、

衝撃の吸収が悪くなるので、ここはしっかりと体に当たる様に、寸法の調整が必要だ。


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