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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
6.エスデスク王国
197/223

6-31


それにしても、貴族がこんな所まで出て来るのか・・・。

ブルーノの町の、平民街まで出るのも驚きだったが、

町を出て護衛2人で歩いて外に出るなんて思ってなかった。

まあ、敵意は無さそうなので、問題は無いとは思うが・・・。

それに、ケニーさんとしては、貴族とのつながりは欲しいだろうから、

ここは任せて大丈夫だろう。

何かあったら、すぐに手を出すつもりだけどね。


ブルーノの町の貴族につながりが出来れば、メリットはある。

今すぐにと考えてる訳では無いが、こっちで商売は始めやすくなる。

ただ、税金の高さを考えると、結局は平民相手よりも貴族相手の商売になりそうだな。

税金が高いからと平民相手で、金額を上げても払えないだろうし、

あそこまで貴族が出て来ているのに、貴族の相手をしない訳にもいかないだろうしな。


今のケニー商会の商品で、貴族に売れそうな物はそれほどない。

露店で出しているような料理は、高額の料理にして、ケータリングか配達って感じかな。

今回の貴族が気に入ってくれれば、足掛かりにはなるかもしれない。

鎧などの装備については、護衛が居るから売れるかも知れないが、

女性専用の今の売り方ではダメかもしれない。


薬剤系としては、回復薬とかは使わないだろうから、

売れるとしたら精力剤系と、病気の治療系、痛み止めなどの対処的な薬か。

この中で、すぐに貴族相手に売れそうな物と言ったら、精力剤か・・・。

精力剤は、イヌサヌの薬剤本に載っていたし、作る為の素材も難しい物は使わない。

ちょっと危険で習慣性のある薬も混ざったレシピだったが、内容を見る限り効きそうだ。


老貴族の人は、シカ肉焼きを一口サイズに切った物を頬張りながら、

「これは・・・シカの肉か、何とも丁重に下ごしらえをしているようじゃな。

臭みが全くと言うほど無い。

それに・・・これは薬草か?。食事に薬草を入れると、こんなに複雑な風味が!」

「さすがでございます。よくぞお分かりになりました。」

「まあ、伊達に年は食っておらんて。しかしこれほどの物とは思わんかった。

この料理だけで言うと、我が家の料理など比べ物にならんほどうまいな。」


「他にも、海の幸もありますので、いかがでしょうか?」

「うむ。」

魚のホイル焼きだ。

魚と野菜をホイルに入れて、バターと塩とハーブで味付けし、蒸し焼きにしたものだ。

魚がふっくらと、焼き上がりバターとニンニクの香りが鼻を衝く。

骨があるので、実をほぐし、骨を取り除き皿に移してて出してあげる。

「ほう。これは良い香りじゃな。!!これは・・・なんじゃ・・・。魚か。」

「新鮮な魚を、バターと言う香りの良い油と、ニンニクで蒸した料理です。」

「柔らかく、味が良くしみておる。それとこの香りの物はなんじゃ?」

「そちらがバターと言う油にございます。」

「聞いた事ないな。」

「はい。我が商店のみが取り扱っている、秘伝の調味料の1つになります。」

「なるほどのぉ・・・。この調理方法も初めてじゃの・・・。

年取って、それなりに物事を知っておるつもりでおったが・・・。

まだまだわしも知らぬ事が多いの。」

「我が商店だけの調味料に、調理方法ですので、他では味わう事は出来ませんので、

ご存じ無いのも仕方がありません。」


老貴族は、目の前のパンの前に並べられた器を見て、

「これは、なんじゃ?」

「そちらは、スプレッドと呼んでいるのですが、お好みでパンに付けて食べる為の物です。

左から、レバーペースト、ハーブバター、ガーリックバター、

ハチミツ、アップルジャムになります。」

「ふむ。」


ケニーさんは、ガーリックバターを一つ付けて差し出す。

「いろいろと好みで付けて、いろんな味を頼む事が出来るのです。

こちらの2つは、甘い味になります。」

「なるほど、自分で付けて食すのか。」

老貴族は、それぞれを一通り食べ、それぞれを評価して行った。

「これは、楽しいな。

パン自体も旨い上に、このスプレッドと言う物で、いろんな味が楽しめて飽きないな。」


老貴族は、満足してくれたようだ。

「ケニー。うまかったぞ。」

「ありがとうございます。」

「これを作ったのは、そちらの料理人か?」

「はい。マディと言います。」

「素晴らしい料理じゃったぞ。我が家の料理人として、雇いたい所じゃが・・・。

ケニーの所から引き抜く訳にはいかぬかな?」

「申し訳ありません。そればっかりはお許しください。」

「じゃろうな。」


マディが、さらに説明をする。

「この味は私1人で作っている訳ではございません。

狩った獲物の血抜きの方法から、解体、熟成、調味料、専用の調理器具に至るまで、

分担で作業をしています。

私1人では、この味を出す事は出来ません。」

「はい。ケニー商会の仲間がそろって初めて、この料理が作れるのでございます。」

「ほう。なるほどのう。じゃが、うちの料理人にもこの味を一度食わせてみたいのぅ。

ケニー、ブルーノへの滞在はいつまでじゃ?」

「拠点の確保は出来ましたので、本日出発を予定しておりました。」


「ふむ・・・そうじゃのう。

出発を1日伸ばして、明日の昼食を作りに来る事は出来んか?」

「はい。出発を遅らせる事は出来ますが・・・。

食事を作るとなると、少し準備が要りますので、明日朝からお伺いする事になりますが、

よろしいでしょうか?」

「もちろんじゃ。お前の所の商品は料理だけか?」

「いえ、他に薬剤と、防具もやっております。」


「防具とな?」

「はい。ただ、女性専用の防具になります。」

「女性専用とは・・・お前の女好きは、売り物までとは・・・。くははは!」

貴族は、楽しそうに笑い出した。

ケニーさんは、誤解なんだけど、かわいそうに言い訳は出来ない感じになってしまってる。

「良いのぉ。そこまでこだわってるのなら、見せて見よ。

料理にもこれだけこだわってるのなら、防具にもこだわってるおるのだろ?」

「はい。それはもちろん。では、明日防具の方もお持ちさせていただきます。」

「うむ。待っておるぞ。明日の朝そちの所に迎えをやる。

泊っている場所はそちらの者に説明しておいてくれ。」

「はい。」


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