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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
6.エスデスク王国
196/223

6-30


曲が終わって、途切れたタイミングで、

「楽しそうな会じゃな。」

さっき歩いてた人がこっちに来てしまったようだ。

来る所は見てたのだが、声をかけてくるとは思わなかった。

歌ってる最中だったのもあって、タイミングが悪かったと言うか、

タイミングを見計らわれていたと言うか・・・。

あからさまに逃げる訳にもいかなかったという感じだ。


護衛を2人連れた、貴族だった。

かなり高齢の貴族のようだが、体つきは比較的がっしりしてる感じだ。

夏真っ盛りなので、ずいぶんと薄着をしている。

薄着過ぎるので、貴族のランク的にはそんなに高そうには見えないな・・・。


俺は、すぐにジャック、アリス、ミーアを引っ張って、

クシェルの後ろに隠れるように移動する。

ケニーさんは、前に出て膝を付き、貴族に対する礼を行う。

俺を含めた子供達以外は、それに習い礼の姿勢を取る。


男1人に、後は女子供だけなので、護衛の方もそれほど警戒はしていないようだ。

俺自身も、5歳の子供でしか無いので、警戒対象には入ってないだろう。

相手の出方次第では、戦闘になる可能性も無くは無いので、

俺はクシェルの陰に入って警戒する。


貴族は、俺達を一通り見まわして、

「かしこまらずとも良い。わしは引退しておる身だからの。これは何の宴だ?」

「は。恐れながら、私の商会の仲間と食事をしておりました。」

「商会とな?お前は商人なのか?」


「はい。ケニー商会の会頭のケニーと申します。」

「ほう。ケニー商会か・・・。最近噂に聞く商会だったか。

確かアイカの商人じゃなかったか?」

「良くご存じで・・・。」


「アイカで、温かい料理を露店で出していると聞いて、興味があったんじゃよ。

して、ブルーノにはなんの用じゃ?」

「貴族の方に興味を持たれるとは、光栄でございます。

ブルーノには、調査と拠点の開設に来させていただきました。」

「拠点とな?と言う事はブルーノで商売を始めるつもりと言う事か?」

「その検討を行ったおります。ただ、まだ我々ば貴族の方々に向けた商品は少ないので、

始めるとしても、こちらの平民を相手にした商売になるかと思います。」


「そうか、露店をやるのか?」

「まだ、状況を見ながら決めようと思っております。

ブルーノの町では、税金や工場にお金がかかりますので、

どれくらいの金額で売れるのか次第になります。」

「なるほどのぉ。」


貴族は、改めて俺達を見て、

「ケニーよ。美しい女子ばかりじゃな。」

「ありがとうございます。これらは私の商売仲間にございます。」

「商売仲間か・・・。子供まで連れて旅をしておるとは珍しいの。」


そういえば、俺達は亜空間から移動しているので、荷車もないのに、

結構な設備で、バーベキューをしている。

しかも、アイカからブルーノの町まで旅して来てるのを装ってるのに、

それにしては軽装過ぎる。

これは突っ込まれる前に、荷車を岩陰にでも出しておいた方が良さそうだな。


「今回は、ブルーノの町がどういった所なのかを調査しに来ただけですので、

荷物も少なくして、子供達も連れてきました。」

「それにしては、護衛も連れてないとは不用心だな。」

「護衛は、そちらの3名が護衛になります。

今は泳ぎの練習の為、このような恰好をしていますが・・・。」

「護衛も女なのか、徹底しておるの・・・。

ケニー商会の会頭が、これほど女好きだったとはな。」

「あ・・いえ、そう様な事は・・・。」

ケニーさんは、頭を掻きながら困った顔をしてる。

全部、妾で子供が4人か・・・言われても仕方ないよな。


「まあよい!男が女好きで悪い事なぞ、なにもない。

それよりも良い匂いじゃな。」

「はい、平民の料理でよろしければ、いかがでしょうか?」

「良いのか?」

「はい。アイカでも騎士団の方々にもご好評いただいております。

ただ、恐れながら貴族の方へお出しする準備がございません。

無作法になるかと思いますが、よろしいでしょうか?」

「気にせんよ。わしも若い頃は野営なども行っておった、懐かしいではないか。」


「はい。ではすぐにご用意します。

リルは、席をお作りしてください。マディは料理をお願いします。」

「はい。」


俺達が食事を食べていたテーブルの上を、片付けてクロス代わりの布を敷き、

食器をセットして行く。

持ち込んだ食器は、木の物しか無いのでこれは仕方ないだろう。

俺達は、箸を使って食べてるんだけど、そういう訳にはいかないだろうから、

箸を1本だけ用意して、それで刺して食べて貰う事にする。

食事は、1口サイズに切り分けて、皿に盛るスタイルにする。

スープ系も木の器なんだが、こちらはスプーンを付けている。

パンは、バスケットに入れて手づかみだ。

手洗い用の、フィンガーボールも用意している。


貴族の食事の準備をリルが行っているうちに、俺は子供達とクシェル達を連れて、

岩陰に入り、亜空間を出し家に行って貰う。

その陰に、荷車を2台出して偽装を行っておく。


クシェル達には、着替えて貰ってすぐに戻って来るようにお願いしてる。

水着のままと言うのもあれだし、護衛として紹介しているので問題はないだろう。


長引くようなら、リルとマディも戻してあげたいんだけどな・・・。

俺はそのまま岩陰に隠れて様子を見る事にする。

後は、すべてケニーさん任せよう。


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