6-29
「おお!海だ!!」
「待って、お兄ちゃん!」
ジャックは、早速テンションMAXだ。
アリスとミーアも大はしゃぎで、海に向かって走り出した。
「ハルトもおいでよ!」
「おう!」
俺は、持って来た来た荷物や食材を、机の上に出して置くと、
後はマディやリルに任せて、みんなと海に飛び込む。
マディとリルは、荷物の確認してケニーさんにジュースを注いだりしている。
クシェル達は、体をほぐして柔軟運動をしている。
荷物の片づけを済ますと、マディとリルも海に入って来た。
ケニーさんは、ビーチチェアに座って、ジュースを飲みながらさっそく寛ぎモードだ。
俺はジャックと一緒に、波に転がされて、浜に打ち上げられて遊んでる。
ミーアとアリスは、水を掛け合って遊んでる。
みんなが水遊びに満足したので、ケニーさんも呼んで、
ビート板での泳ぎ方講習に入る。
ビート板は、人数分用意しているので、全員一斉に練習開始だ。
最初はビート板を胸に抱えて、バタ足で進む所からだ。
バタ足は、初めてでも難しくは無いが、ビート板に体を安定させるのは難しいみたい。
変な所に力が入って、苦労してるみたいだけど、みんな泳ぐ事が出来るようになった。
これは、午後から明日にかけて、筋肉痛だろうな・・・。
慣れて来たら、ビート板に乗せる体を少しずつ減らして行く。
顎だけ乗せるようにして、最終は、手に持つだけにする。
息継ぎは、教えてないので顔は上げっぱなしだけど、クシェルと、アリーヤ、ファギーは、
すぐに、手に持つだけでバタ足出来るようになった。
ビート板で、何となく泳げるようになったら、平泳ぎの足を教える。
目標は平泳ぎが出来るようになるまでだ。
クロールは、息継ぎが面倒なので教えない。
速度は要らないだろうしね。
平泳ぎの足の練習だけ、ビート板を使って後はビート版無しだ。
3時間ほどで、クシェル達冒険者組は、何となく平泳ぎっぽい事が出来るようになった。
マディとリルは、早めに上がってバーベキューの準備を始めてくれている。
ケニーさんは、ウィダス出身と言う事もあって、ビート板なしでも泳ぐ事が出来るのだが、
最初から、平泳ぎに挑戦して貰ってる。
ジャックと、アリスは、ビート板を使って、バタ足で進む事が出来るようになった。
バタ足で遅いが、泳ぐのが楽しいようで、平泳ぎに入らずに泳いで楽しんでる。
ミーアは、バタ足でもなかなかうまく行かないみたいで、
すぐに立ってしまうので、俺が付きっ切りで教えてる。
まだ筋肉の量が足りなくて、バタ足でほとんど進まないみたいだ。
こればかりは、訓練なんだろうな。
俺も、泳いでみて思ったが、筋肉量が少なくて、思うように進まない。
結構泳ぎは得意だったんだけどな。
ミーアが疲れてしまったので、ケニーさんと3人で、海から上がった。
ミーアはビーチチェアにもたれるとすぐに寝てしまったので、
俺とケニーさんは、リルに用意してもらった冷えたフルーツジュースを飲みながら、
みんなの泳ぎを見ている。
「久しぶりに、海に入りましたよ。
子供の頃に少し泳ぎの練習として入ってましたが、
やっぱり海で泳ぐと言うのはいいですね。」
「夏と言えば、海ですよ。涼めますし、楽しいですしね。」
「そうですね。景色も最高ですし、この飲み物も美味しいしね。」
俺達がしばらくくつろいでると、バーベキューの準備が出来たようだ。
リルがみんなを呼びに行き、みんな戻って来た。
思いのほか、みんな泳げるようになってるんじゃないだろうか。
今回のバーベキューは、海産物と肉の混成だ。
海産物は、サザエは直火に、塩とハーブで味付け。
アワビは、鉄板でバターと塩とハーブで焼いてステーキにしている。
伊勢海老は、スープに入れて伊勢海老スープだ。
ホイルで包んで、魚も野菜とバターと塩ハーブで焼いている。
肉っけは、シカ肉を中心に、露店商品だ。
後は、パンだ。
いくつかのスプレッドを用意して、それにつけてパンを食べる。
レバーペーストや、ハチミツ、バターなども用意している。
みんなで、バーベキューを楽しむ。
天気もいい中の、海辺でのバーベキューは本当に気持ちいいな。
岩場が丁度日陰になっているので、暑くも無いし。
食事がひと段落付いたら、食後にはデザートのアイスクリームも用意している。
後は、砕いた氷の上にフルーツを盛った物も用意している。
完全に太る系の食生活なんだけど、元々みんな生活の貧困さもあって、
すっごいガリガリだった。
今の生活になって、かなり肉付きもよくなり、ファギーとか
すっごい胸に育ってしまっている。
クシェルも、かなりスタイルいいし、マディもなかなかのスタイルだ。
リルやアリーヤは・・・まあ、きっと持って生まれた物なので・・・。
・・・近づいてきている人が居るな・・・3人か。
それほど近くって訳でも無いし、こっちに向かって来ている訳でもなさそうだ。
地元の平民かな。
海から少し離れた所には農村もあるし、畑もあるからその辺りの人かも知れないな。
こんな所まで、貴族や衛兵なんかが来る事は無いだろう。
まあ、旅人が海辺で食事をしてるだけなので、見られてもたいして興味は引かないだろう。
「ハルト!歌!歌やってくれ!」
「あ~!歌って~!」
ジャックと、ミーアからのリクエストだ。
ギターを取り出して、歌ってあげる。
出来るだけ陽気な、テンションの上がる曲を弾きながら歌ってあげる。
前にもやった曲の時には、みんなも一緒に歌ってくれる。
結構なリクエストに答えた。