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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
6.エスデスク王国
192/223

6-26


翌日、クシェルとファギーを連れて、ブルーノの町の近所の亜空間に移動する。

3人で、ブルーノの門に近づいたが、この町への出入りはそれほど多くないようで、

入町で、人は並んでいない。

門に3人で近づくと、門番の人がこっちを見ている。

「こんにちは。」

「こんにちは。ようこそブルーノの町に。」

「ケニー商会からの依頼で来ました。これが依頼書です。それとギルド証です。」

「ああ。確認させてもらうよ。」

門番は、ギルド証で身分を確認した後、依頼書の中身を確認して、

内容を木板に書き写した。


「入町料は、1人銀貨2枚だ。」

「銀貨2枚ですか!」

「ああ。3人だから銀貨6枚だな。」

この世界に、子供料金はない。

俺も立派に1人に数えられるし、例え赤ん坊でも同様だ。

それにしも、高すぎるが物価が高いとは、ケニーさんに聞いていたが、これはかなり高いな。

一般の冒険者で考えると、半月分の給料が、町に入るだけで必要になると言う事だ。


「・・・わかりました。」

クシェルは、銀貨6枚を門番に渡す。


「確かに・・・。商業ギルドは、このまま通りをまっすぐ行けば、左手に見てて来るから、

まずはそこに行って、依頼書を出せば手続きしてくれるはずだ。」

「はい。ありがとうございます。」


吹っ掛けられたのかな・・・いや、普通の態度だし・・・。

これが貴族の町って事なのかな?

入町税が高いと、冒険者なんかが入れないので、治安が良くなるって事なのかな?

この近くにも、森があったりするから、安ければ拠点にしようと、

入る奴は居るのかもしれんな。


門をくぐると、ケニーさんが言っていた通りに、本当にきれいな町だった。

路面が他の町のように土ではなく、石畳になっている。

これが一番雰囲気の違いになっているようだ。

平民の町特有のあの匂いも全く感じず、心地よい潮風が流れ込んでる。


街並みは、平民の家がいくつかあるが、奥には貴族の家が立ち並んでいる。

ここの下見の時に上空から見たのだが、西側に海があり、

町のほとんどが貴族の家だった。

町の南部の塀に沿って、平民の家が立ち並んでいる。


「綺麗な町ですね。」

「ほんと、貴族様の街のようですわ。」


言われてみればそうだな、町全体が貴族街になってるんだ。

そこに、使用人としての平民が住んでるって感じなのか。


門番に言われた通りに、通りを進んで行く。

ここでの平民の仕事のほとんどが、貴族に仕える仕事だそうで、あと少数の商人と、

商人を相手にした、販売店や飲食業などしかないらしい。

通りを通る人もそれほどおらず、閑散としている。

通りには露店は無く、整然と平民の家が並んでいる。


路地を覗いてみたりしても、浮浪児は1人も居ないし貧民も居ない町だ。

衛兵は、それなりに巡回しているのを見るが、他の町のように、

鋭い目付きで睨みを聞かせながら歩くような事はない。

治安もいいんだろう。


しばらく進むと、左手に商業ギルドがあった。

商業ギルドは、それほど大きくなく、ギルドの依頼所くらいの大きさの建物で、

受付か3つだけあった、後は中で作業をしている人がいるだけだ。

2階もあるようだが、階段は奥の方なので、外部の人間が入るような所では無いのだろう。


「こんにちは。ケニー商会の依頼で拠点の確保に来たのですが、

斡旋をお願い出来ませんでしょうか?」

「拠点ですか?どのような所が御望みでしょうか?」

「まずは、寝泊まりが出来る所で結構です。」

「それでしたら、すぐに見つかると思います。少々お待ちくださいね。」

受付の人は、後ろの棚に移動して、いくつかの木板を見比べてから、

1つを選び持って来た。

「小さめの平民用の民家ですが、空きがあり、

今日からでも泊まれますがいかがでしょうか?」

「はい。是非お願いします。」


ケニーさんの話では、この町の平民の人数は減っているそうだ。

その為、空き家もそれなりに空いているだろうとの事だった。

王国の情勢が悪くなってきていて、別荘地に来る貴族の数も減ってしまい、

貴族に付き従っている平民も、この町に住まなくなっているとの事だ。


「7日間で銀貨4枚になりますがよろしいでしょうか。」

「そんなにするんですか!?」

「ええ・・・。これ以上安い家はありませんけど・・・。」


この町は物価自体が高いみたいだな。

貴族に仕えている人が多いという事は、給料もそれなりに貰っているって事か・・・。

それでも、7日で銀貨4枚って事は、1か月で16万の家賃か・・・。

1年だと・・・192万か。


「え・・そうなんですか・・・。購入だといくらになるのでしょうか?」

「購入される場合には、金貨4枚ですね。」


400万か・・・。購入の方がいいな。

売ればきっと戻って来る金額なので、出せるのなら確実に購入だな。

ただ、かなりの大金だ。

そこまでして、拠点が欲しいのかと言う話だが、今回は購入の方向で進めて行こう。

とりあえず、条件はどうでもすべての町に拠点があった方がいい。


「では、購入でお願いします。」

俺の意思はクシェルに通信機で伝えて、クシェルが対応してくれてる。

俺は、こっそり話をしないといけないけど、子供がファギーの陰に隠れて何を話してても、

気にする大人は少ない。


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