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でも、いろいろ勉強になった。
主要の部分は魔法で行うが、外観や形は鉄や木で作って行かないといけない。
そして、その形によって、効果も変わってきてしまうので、
考えて作らないといけないという事だ。
もしかしたら、魔法陣1個で形とか関係無く、
「この部屋の湿度を安定させる!」的な物も作れるのかも知れないが、
俺には、そこまで複雑な物を一気にイメージするのは難しかった。
次は、調温器を作ろうと思ったんだけど、調温って事は、
暖房・冷房・さらに温度によって判断などかなり複雑になりそうだ。
基本的には、寒すぎるのは問題ないから、常に冷房だけにしてしまおう。
という事で、冷房装置を作る事にした。
除湿とそれほど変わらない作りなので、除湿器に組み込む形にする。
乾燥と同時に、空気を冷やす魔法陣も組み込む。
夏でも冬でも関係なく、冷やし続けて、寒い書庫になってしまうけど、
資料が劣化するよりかはいいだろう。
最初の家電と言う事もあって、これとワイヤー作成魔道具作るのに、
1か月以上かかってしまった。
こだわり過ぎたのかな?
これからもいろんな家電を作って行くだけで、この調子だと数年かかってしまいそうだな。
その分、便利にはなって行くんでいいんだけど・・・。
家電を作ってると、家にいるから、ジャックがちょくちょく邪魔しに来る。
「ハルト!こんな所で籠ってないで、遊ぼうぜ!」
「え~。って、ジャック解体は?」
「え・・あ・・。今休憩中だ!」
「アリスに怒られるぞ?」
「いや。休憩中だって・・。」
さぼったな・・・。
後で、アリスが怒って駆け込んできそうだな。
「お!こっちの部屋、すっごい涼しい!」
「あんまり開けっ放しにするなよ、そっちは本の管理用に調整してるんだからな。」
「外暑すぎて・・・。すっげ~涼しい!おい!ハルトこれどうなってるんだ!」
「ああ。魔道具で冷やしてるんだ。」
「おい!解体場も冷やしてくれよ!」
「え~。あそこ窓開けないと、血生臭いから冷やしても、意味ないし・・・。」
「そんな事言うなよ!お前だったら何とか出来るんだろ。」
「う~ん。考えておくよ・・・。」
換気扇いっぱい回したらいいのかな?
それでも結局冷房の意味ないしな・・・。
冷風機でも作ってみるかな?
「あ!そうだ!海行こう!」
「海~?」
「うん!海行こう!また、みんなでバーベキューやりたい!」
「海か・・・。ウィダスか?」
「う~ん。ウィダスいいけど、どっか行った事ない所もいいな~。」
「どこがいい?」
「ポスタリア!」
「あそこは、ダメだ・・・。海の方まで臭いが来そうだ。」
「じゃあ、あとは・・・東の海って言うのがどうだ?」
「東が・・・。東の海に面して町って・・・南の開拓村か・・・。
あ・・そうだ。この間、ケニーさんが言ってたブルーノって町はどうだ?」
「ブルーノ?」
「ああ。貴族が別荘地にしているくらい、綺麗な場所らしいぞ。」
「綺麗な場所なら行ってみたいな。ミーアも喜びそうだ。」
「分かった・・・。近い内に、ブルーノに行けるようにしておくから、それからな。」
「たのんだぜ!じゃあ、俺は解体に戻るよ!んじゃな!」
ジャックは走って行っちゃった。
ブルーノは、ケニーさんが話してた、ウィダスの南側にある港町だ。
特産品などは別段ないのだが、気候が穏やかで、景色も綺麗らしい。
町は、貴族が主で平民はそれほど住んでおらず、綺麗な町なんだそうだ。
貴族の別荘地という事もあり、物価が高いので、
ケニーさん自身も行った事ないとの話だったが、噂だけは聞いていたらしい。
一応、町の近くに亜空間はつなげているので、町中に入らないのならすぐにでも行けるのだが、
どうせなら、町に拠点も作ってしまおう。
それほど用があるような所ではないだろうけどな。
その日の夕飯で、クシェル達に話をする。
「明日なんだけど、ブルーノの町に行こうと思ってるんだけど、付き合って貰っていい?」
「はい。大丈夫です。」
「わたしも大丈夫です。」
「あたしは、明日師匠と一緒に、出掛ける約束してるのです。」
アリーヤだけはダメっぽい。
「バーベキューは明後日の予定だから、アリーヤも明後日は空けててほしいな。」
「はい。大丈夫だと思います。」
「俺も行く!」
「ダメ。」
ジャックは、出かけたくて仕方がないみたい。
「なんでだよ~!」
「知らない町に出かけるので、危ないんだよな~。」
「いいじゃねえか、お前が居れば大丈夫だろ。」
「う~ん・・・分かった。じゃあ、拠点だけ作ったらみんなで、町を観光しよっか。」
「おお!観光だ!」
「ケニーさんも行きますか?」
「明日は、店に新しい人が来る事になってるんで、外せないんですよね。
是非、ブルーノの町は見ておきたいとは思うのですが・・・。」
「了解です。明後日のバーベキューは大丈夫ですか?」
「はい。それは是非。あ・・そうだ。ブルーノの町には冒険者ギルドが無いんです。
なので、拠点を借りるのは、商業ギルドでやらないと行けなので、
ケニー商会の拠点として借りた方がいいです。」
「なるほど。了解です。」
「あと、そうだ。町に入るにも、冒険者ギルド証では難しいので、
ケニー商会としての委任状を渡しておきますね。
町に入る時と商業ギルドでも使えるはずですので・・・。
ケニー商会の拠点確保と視察って事にしておけば、問題無いはずです。」
「ありがとう。助かります。」