6-22
今日もいろいろあったし、これで休む事にするか。
明日から、時間が出来次第、街道の魔獣狩りだな。
朝になって、日が昇って来たところで、アリーヤが帰って来た。
アリーヤは、そのままベッドに飛び込んだら、ファギーが寝ているベッドで、
ファギーに飛び込んでしまい、ファギーが怒り出し、
騒ぎでクシェルも起きだして、2人が怒られて・・・。
まあ、家でありがちな日常のいつもの朝だ。
朝食は、クシェル達に家から運んでもらう。
今日の朝食は、
・香草で香りを付けた、魚の切り身の塩焼き
・具だくさんのトマトスープ
・シカのレバーペーストと、バタートースト
・ハーブドレッシングをかけたサラダ
・フルーツのミックスジュース
最近のお気に入りは、レバーペーストだ。
シカのレバーから作ってるんで、少し臭みは強いんだけど、
ハーブとしょうが、ニンニクを混ぜているの、臭みも軽減されて、なかなか美味しい。
鉄分いっぱいだしね。
「アリーヤ、何か情報はあった?」
「これと言った面白いのは無かったんだけど、気になったのはいくつかありました。
まず1つ目は、3日ほど前まで、奴隷市がやってたみたいで、
その時に、獣人が何人か逃げ出したんじゃないかって言う噂が流れてたわ。
奴隷市は、30日に1回くらいあるそうなの。
今回のみたいに獣人が逃げ出すのは、これまでにもあったらしいんだけど、
数日以内に、死んで見つかってるって言ってたわ。
餓死や、自殺や、冒険者に見つかって、殺されたりって感じらしい。」
まあ、逃げ出す奴はいるだろうな。
そして、生活出来ずに死んでしまう事も当然だろう・・・。
でもその中でも生き残って、生活基盤を築くやつもいるんじゃないかな。
そういう奴は、どこで生活してるのかな・・・。
この町では、フードを被って顔を見せずに生きてる奴も多い。
もしかしたら、思ってるよりも多くの獣人が生活している可能性もあるかもしれないな。
顔さえ見せなければ、獣人でも言葉も仕草も変わりないわけだしな。
手段を選ばなければ、お金を得るのも可能だろう。
「それは、もう少し調査しておいてほしいな。
過去にも逃げ出した獣人が居るなら、そいつらと接触して、
組織とまで行かなくても、共同生活くらいはしている可能性もあるだろうから、
そこと連絡が取れるといいかも。
獣人村への移住者が増えるかもだし、情報もいろいろもってるかもだしね。」
「了解。」
「次は、北の開拓村の街道に騎士団が向かったって。
100人くらい居たって言ってたわ。
出発したのは、7日ほど前だったので、もう帰って来ててもおかしくないって言ってたので、
もう戻って来てるかもしれないけど・・・。」
「それは昨日見つけ時に、全滅しかけてたので助けたけよ。
昨日、引き揚げるって言ってたから、2~3日で戻って来るんじゃないかな。」
7日も前に出発していたのか・・・。
街道の分岐まで2日くらいで行けるから、4~5日もあそこで戦ってたって事か・・・。
貴族だけど、ちゃんと命がけで街道を通そうと努力していたな。
騎士団と言うのは、軍隊って事か・・・そう言えば、政府は腐っても、
軍隊の実働部隊はまともって言うのは良くある話だよな。
政府が腐ってるかどうかは知らないけど、騎士団は少し見方を変えた方がいいかもな。
「これからしばらくは、あの街道の魔獣狩りをやってく予定だ。
多分、数日はかかるとは思うけど、なるべく早めに終わらせたいので、
時間が空いたらそっちをやって行くよ。」
「は~い。」
「ハルト様、その討伐に私も連れて行ってはいただけないでしょうか?」
「クシェル。どうして?」
「いえ・・・。私も、ハルト様のお役にたてればと思いまして・・・。」
「う~ん。獣狩りならその鎧があるので、連れて行っても良いんだけど、
魔法を使って来る魔獣狩りは、危険なんだよな・・・。」
まだ、魔法を完全に防げる方法は見つけてない。
俺でさえ、魔獣の時に熱でやられそうになったくらいだしな。
「そうですか・・・。申し訳ありません・・・。」
「今度、獣狩りは一緒に行こう。俺は手伝って貰える事よりも、ケガされる方が嫌なんだ。
と言って、かごの鳥にする訳にもいかないから徐々にだね。
魔獣狩りでも危険の少ない方法を今度、検討するのでそれが終わってからにしよう。」
「いえ、お手間をおかけするつもりは無いのです。
何かお役に立てる事があればと思っただけですので・・・。」
「十分に役に立ってくれてるんだけどね。町に入る時や、
町での交渉は俺一人では出来ないし、戦えない仲間も守ってくれるしね。」
「私に出来る事があれば、なんでもおっしゃってください。」
「あたしも!」
「わたしもです!」
「ありがとう。いろいろお願いするけど、よろしくね。」
「報告の続きはまだあるのよ。
奴隷狩りに言ってた、冒険者から話が聞けたので、その話ね。
奴隷狩りの船は、30日に1回出てるそうよ。
それに合わせて、奴隷市も30日に1回なのだそうよ。
このタイミングで、冒険者の補充や、ケガや契約が終わった冒険者も戻って来るそうで、
大体、奴隷市は5日ほど開催されるって。
冒険者は、依頼を受けるとこの時に、船に乗り込む事になるそうで、
船は早朝に出て、その日の内に付いて、その日は向こうの町に泊るそうよ。
向こうの町は結構、大きな町だそうで、ポスタリアの半分くらいの大きさだって。
店もあるし、飲み屋もあるって。
1日止まったら、そこから徒歩で、数日かけて奴隷狩りの拠点に移動して、
やっと奴隷狩りが始まるって。
拠点にも結構な人数が居て、大き目の宿場って感じらしいわ。
そこで人数と作戦なんかを決めて、獣人狩りに行って。
人数も作戦も、指揮官の人が事前に決めてて、
その人の言う通りに作戦を実行するだけだそうね。
話をしてくれた人の参加した作戦は、冒険者200人くらいで集落を囲んで、
集落から獣人が逃げられないようにしてから、本体で集落を襲うやり方で、
話を聞いてたら、あたし達が集落を襲った時の盗賊達も同じ動きだったので、
ちょっと思い出してしまった・・・。
あれは、奴隷狩りで知ったやり方だったのね。
それから、奴隷を集落に連れて行き、獣人達は馬車でポスタリアに運ばれ、
冒険者達は次の集落を襲うんだって。
ケガをするか、戻りたい人は、奴隷と一緒に戻って来るってやり方らしいわ。」
「集落の場所は、事前に斥候とかに見つけさせているって事かな?」
「う~ん。どうだろ・・・そこは聞いてないな。また会ったら聞いとく。」
「部隊の規模を決める為にも、どれくらいの人数の集落が、
どこにあるのか把握していないといけないから、
冒険者が出かける前に調べられてるんだろうな。」
「情報はそれくらいね。あと、何人かに面白情報があったら買うからと流してるので、
なにかあれば集まって来るかも。
しばらくここの町に通う必要があるけど・・・。」
「面倒かもだけど、獣人絡みの情報は、集まるだけ集めておきたいのでお願い。」
「は~い。」