6-19
解体場に着いたので、手持ちのこうもりを100匹ほど放出する。
1m以上のこうもりを、100も出すとなかなか壮観だ。
「こんなにも・・・。」
「出来るだけ早めに加工して、干し肉にしないと腐っちゃうので、
人手入れてがんばって。」
「本当にありがとうございます。」
フランシスは、解体場に居た人に指示を出して行く。
応援に駆けつけてきた、人も徐々に増えてきた。
「フランシス様、干し肉にする為に、塩を集めているのですが、足りません。」
干し肉を作るのに塩は必須だ。
干し肉を作るのには、先に塩水につけて味付けと防腐するのだが、
それが無いとかなりの環境の良い所じゃないと腐ってしまう。
塩の備蓄はそれなりにあるので、壺を用意させてそこに塩を提供する。
海に行けば、いくらでも手に入るしね。
粉のような塩に驚いていたが、味は変わらないのが確認出来たので、
みんな作業に入っていく。
そうこうしているうちに、フランシスの所に、伝令がやってきたようだ。
「ハルト様、お話の続きは、ギルドマスターの部屋でお願いできますか?」
「どこでもいいんだけどな。」
まあせっかく用意したって言うし、話もまだ残ってるしな。
フランシスについて、ギルドマスターの部屋に行くと、
中にはギルドマスターが座っていた。
「フランシス、どうした?ハルトと言う者を連れてくると言う話では無かったのか?」
「はじめまして、俺が大銀のハルトだ。」
「子供ではないか。」
「ランゲージ様、ハルトこそが魔法使いで今回の食料の補給をしてくれたのです。」
「こんな子供がか?」
「はい。間違いありません。」
「フランシスが言うなら、そうなんだろう。失礼しました。
はじめまして、この町のギルドマスターをしている、
ランゲージ子爵家当主、ヘケ=ランゲージだ。」
貴族がギルドマスターしてるんだ。
「今回、食料を補給してくれた事、本当に感謝している。」
「まあ、この町が全滅してしまったら、俺も困るからな。」
「ところで、街道が通れないのにどうやって、ここに来たんだ?」
「ん?魔法で来たが、それかなにか?」
「ああ・・そうか。抜け道でもあったのかと思ってな。」
「数日中には、街道の魔獣は片付くはずだ。」
「それは本当か!」
「ああ。あと、悪いがこの町に拠点になる家が欲しいんだが、確保出来るかな?」
「家か?」
「平民の家の中で、小さい奴で良いんだが。」
「それなら、空き屋は多いので確保はすぐに出来る。」
「街道が通ったら、知らせに来るので、その時にまでに頼めたら助かる。」
「それは確保しておこう。」
フランシスが、少し考えてから俺を見て、
「ハルト様・・・。一つお伺いしてもいいですか?」
「なんだ?」
「その・・・街道が片付くと言うのに、確証を持ってらっしゃるようなのですが、
それはなぜでしょうか?」
フランシスは、分かってて聞いてるな・・・。
「俺が狩るからだよ。」
「・・・やはりそうでしたか・・・。もう一つ聞いても?」
「ああ。町の周辺の魔獣も俺だよ。」
「そうでしたか・・・。私達は返しきれないほどの恩を受けてますね。」
「まさか・・そんなことが?」
「ランゲージ様、ハルト様なら可能だと思います。」
「何を根拠に・・・。」
「俺は、ハルト様に挑んだ事があるんです。
でも、逃げ出し、それも叶わずすぐさま倒されました。
さらに、我が師であるブラントも、ハルト様には敵わなかったそうです。」
「お前が?それに、冒険者で最強と言われてるブラントもか?」
「はい。」
「一番検討しないといけないのは、この町の今後の動きだ。
今回は、原因が分からない上に、森のすぐそば迄、魔獣がいっぱいになっている。
なので、騎士団を呼んで退治してもらうか、魔獣が落ち着くまで町を離れるか、
塀などの強化を急がせるかなどの対策が必要だ。」
「魔獣が森のすぐそば迄いるのは確認していました。
ただ、町を離れるのは、王の命令により行っている事業の為難しい。
騎士団の要請を行っても、来るまでに50~60日はかかるだろう。
塀も、すぐには完成しない。何か他の手を管変えないといけないです。」
「騎士団は難しくても、魔術師を呼ぶことは出来ないのか?」
「魔術師様は、騎士団を呼ぶよりも難しい。
ただ、許可が出れば確かに早く来てくださる可能性もあるので、
そちらもアイカ侯爵にお願いしてみよう。」
「では、俺はしばらく来ないので、対策は立てておいてくれ。」
「はい。ありがとうございます。」
なんか。すごいボランティアしているな・・・。
なんで、こんなにボランティアしてしまってるんだっけ?
観光の為に、町を救うとか・・・そんな気はないんだけど・・・。
まあ、でも原因には興味があるからな。
なぜ、魔獣が平原や街道にまであふれてて来たのか。
考えられるのは、より恐ろしい物に追い立てられて、出て来たとか、
魔獣が操られているとか、
大森林の魔獣はそう言う習性があるとかかな・・・。