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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
6.エスデスク王国
184/223

6-18


その男に付いて行くと、フランシス専用の訓練場と言われる場所についた。

ブラントさんの訓練場のように、周りを壁で囲って、

中を外から覗けないようになっている。

それほど広くはないのだが、集中して訓練出来るって事なんだろう。


中に入ると、フランシスが一人で剣を構え、精神統一をしていた。

「フランシス。」

俺は、声をかけながらフランシスに近づいて行く。

「ハルト様!」


まだ、2か月しか経ってないのに、フランシスはずいぶんとくたびれた感じになっていた。

ここでの暮らしがきついのか、心労なのか、外の魔獣のせいなのか・・・。

全部かもな。


「久しぶりだな。」

「はい。お久しぶりです。」

「まずは、今までの状況を教えてくれ。外の魔獣の話も含めてな。」

「・・・はい。こちらにどうぞ。」

フランシスに案内されて、専用の訓練場の横にある椅子に座った。


「ハルト様のご指示通りに、冒険者村を出てここに向かいました。

無事、討伐隊を避けここにたどり着く事が出来ました。

ただ、途中北の開拓村直前で、魔獣に襲われました。

犠牲は出しましたが、なんとか北の開拓村に到着しました。


魔獣が街道に出てましたが、数も2匹だけだったので、

何かに追い立てられたのではないかと予想して、

その奥に何かいる可能性があるので、急いで開拓村に入りました。


それからすぐです。

村の周辺に魔獣があふれ出しました。

でも、なぜか村の中までは入ってこなかったので、襲われる事は無かったのですが、

一切外に出る事が出来なくなりました。」


俺が来る前の状況だな。

開拓村には入って来ないって言うのは・・・なんだか意思がありそうだな。


「10日ほどは、村の備蓄の食料でなんとか食つなぐ事が出来たのですが、

備蓄も残り少なくなり、魔獣を何とかして狩るしか無くなりました。

多くの犠牲を出しながらですが、少し狩ってはそれを食料として、

食いつないでいました。」


そんな状況だったのか・・・。

「ですが、ある日突然、魔獣が減りだしたのです。

いろんな噂があったのですが、モヤのような魔獣が、魔獣を食ってるとか、

突然魔獣が消えるとか・・・。」


俺だな・・・。明るい時にも町の近所も狩ってたし、

見られてる可能性はあるとは思ってたけど、周りから見るとそう見えるのか・・・。


「魔獣が居なくなった事で、畑も使えるようになったのですが、

今度は街道が通れないので、備品が足りなくなってしまいました。

そこで、討伐の為に冒険者を組織して、街道に向かわせたのですが、

ほぼ全滅しました。」


街道にあった死体は、それか・・・。


「今では、畑が戻ったとは言え、作物が取れるまでまだかかりますし、

森に果実を取りに行くにも、魔獣だらけで取れません。

平原の草などで飢えをしのいでいる状態です。」


「なるほど・・・。いろいろ把握した。

まず一番必要なのは、食料という事か・・・。」

「はい。数日中には食べ物は無くなります。

早い作物を育ててますが、それでも数日で取れると言う訳ではありませんので・・・。」


「では、食料は提供しよう。確か、

うまくは無いが、こうもりは干し肉作るのに適してるんだったよな?」

「ええ。こうもりをお持ちですか?」

「大量にあるので、解体と干し肉への加工の為に、人員は用意出来るか?」

「はい。すぐにでも用意します。」

「じゃあ、先にそっち用意してから、話の続きをしよう。

魔法で出すんだけど、加工する所で出した方がいいだろうな。

冒険者ギルドの解体場に行こうか。」

「そうですね。」


フランシスに案内されて、ギルドの解体場に向かう。

途中で、フランシスの指示で、何人かの人が、人手や知らせに走った。


「ハルト様。この提供についてどのように話しておけばいいでしょうか?」

「ああ・・・そうだな。」

ここまでやって、隠しても仕方ない気もするけど、

知らせると俺の魔法を推測される情報になる。

まあ、でもポスタリアであれだけ大々的に宣伝されてるからな・・・。

もうそろそろ魔法使いだと隠すのも限界か。


今は、どの町にも依存していないので、行動範囲を広げれば、

俺がどこにいるかも分からなくなる。

探し出すのは困難なはずなので、仲間とのつながりだけ気を付ければ何とかなるはず。


「魔法使いハルトからの提供と言う形でいいぞ。」

「よろしいのですか?」

「もう、指名手配かかってるんで今更みたいだ。」

「なにかあったのですか?」

「いや、貴族が探してるってだけで、犯罪とかしたわけじゃない。」

「なるほど・・・。」


そういえば、ポスタリアからの情報は、街道が封鎖されてるから、

こっちには届いてないんだ・・・。


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