6-17
「俺は、夕飯が終わったら、北の開拓村でフランシスに確認した後、
街道沿いに様子を見てくるよ。」
「あたしは、ご飯が終わったら、飲みに行ってきます!」
「アリーヤお金は大丈夫かな?」
「はい。あ・・・でも、どうします?
ここに情報ルートを作っておくなら、少しお金を握らせて何人か雇っておきますけど。」
なるほど。そういう事も出来るのか。
「そうだね。少しお金をばらまいて置いてもいいかもね。
ただ、ここの情報はそれなりに重要なので、
どこかの組織やグループに投資して、情報を集めて貰うとか出来ればいいかもな。」
「なるほど。信用出来そうなグループについても、情報を集めてみますね。」
資金をそれなりに渡しておく。
大銀貨と、銀貨で合わせて日本円で20万程度だ。
「そういえば、一人で大丈夫?
ここには1人残って貰ったらいいから、一緒に行った方が良いんじゃない?」
「いえ。一人の方が動きやすいのと、師匠に紹介して貰った人にも会うので、
一人で行かないと信用して貰えませんから・・・。」
「なるほど。何かあったら連絡して、すぐに行くから。」
「はい。ありがとうございます。」
夕飯が終わって、アリーヤを見送ったら俺も出かける。
北の開拓村近所に作った亜空間から出て、透明化して上空に飛び上がる。
サーチした所、北の開拓村近辺には魔獣はいない。
前に討伐して以降、増えたりはしてなさそうだ。
相変わらず、未開の大森林には、大量の魔獣が居るのであふれ出しそうではあるが・・・。
そのまま、上空を街道の方に進んで行く。
情報通りだな・・・。
北の開拓村から、畑地帯を抜け、少し行った所までは、俺が前に狩ったので魔獣は居ない。
その先の街道沿いと平原も含めて、かなりの魔獣が徘徊している。
虫系ばっかりなので、強い奴が出て来てるとかって事はなさそうだ。
前の時は、こっちに居るのまで、俺がやらなくてもいいかなと思ったり、
面倒と思ったり、雑魚の魔獣狩りに飽きたとか、他の町に早く行きたいと思ってたりとか、
いろいろ理由はあるのだが・・・。
こっちも狩っておかないと、開拓村は全滅するだろうな。
まあ、少し狩ってみるか。
俺は、街道の方に高度を落として近づいて行く。
魔獣達が気付いたようで、こっちに寄ってきているので、範囲酸欠で気絶させる。
街道に降り、ナイフで止めを刺して、亜空間に回収していく。
・・・冒険者達の死骸だな・・・。
実際の死骸はもう無いのだが、血の付いた胸当てや、小手、剣や槍なんかも散乱している。
荷馬車も、打ち捨てられている。
なんとか街道を通ろうとしたのかもしれなな。
人数にして、30~40人以上死んでそうだ。
遺品なんかは、集めずにそのままにしておこう。
街道が安全になったら、集めるだろう。
街道を片付けて、通れるようにするまでに、また何日か必要だ。
それまでに、こんな犠牲は出ないようにしないとだな。
先に開拓村に行って、フランシスに話しておいた方が良いだろう。
夕飯後とは言え、まだ外は明るいので、もう少し魔獣を狩って、
暗くなってから開拓村に侵入しよう。
そこまでしてやる義理なんてないんだが、
いつか、ここに遊びに来ようと思ってたのに、こんな状態って言うのもな。
それに、フランシスにさらに貸を作って置けば、拠点なんかで便宜を計ってくれそうだ。
後は、原因も探っておきたい所だな。
ここだけでなく、他の場所でもこうやって魔獣が溢れるような事があるのなら、
原因をしっておかないと、家や獣人村なんかも危険かもしれない。
一番弱い虫の魔獣とは言え、飛ぶ奴もいるので塀だけでは防ぎきれない。
俺はそれから日が暮れ、あたりが暗くなるまで、魔獣を狩りまくった。
平原にもいるけど、とりあえず街道沿いだけを中心に狩っていく。
このペースで狩っても、街道が通れるようになるのに何日もかかりそうだ。
丁度いい感じに暗くなってきたので、開拓村に向かう。
北の開拓村は、数件の貴族の家と、一部平民の家、
そして多くの貧民の家が立ち並んでいる。
森側には、塀が出来ているが、ほんの一部だ。
冒険者が居そうな場所と言えば貧民街だが、まずは冒険者ギルドを見つけよう。
上空から、透明化のままで町の人気のない所に侵入し、徒歩で移動する。
上空から見た限り、ギルドっぽい場所は、貧民街と平民街の境界にあった。
多分、ここが冒険者ギルドだ。
小さな小屋があって、外には掲示板が出ている。
中は依頼の処理をする所だろう。
裏には、訓練場があり、宿屋や、飲み屋も隣接している。
まだ日も暮れてすぐなので、人もそれなりにいる。
フランシスが居るとしたらどこかな?
訓練場に行ってみよう。
訓練場には、かがり火を焚いて、訓練をやっている人が数グループいるようだ。
こんなすぐに見つかるとは思わないが・・・前にフランシスの家に居た奴を見つけた。
そいつが、少し離れるのを見計らって、後ろから近づき声をかける。
「大銀のフランシスに会いたいんだが。」
「!!」
武器を抜き、俺に構える。
「俺の事を覚えてないか?」
「・・・!!あ・・あなたは・・・。」
「思い出したか?フランシスに会いに来たんだが、どこにいる?」
「フランシス様なら、専用の訓練場にいるはずです。」
「案内してもらってもいいか?」
「こっちです。」