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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
6.エスデスク王国
177/223

6-11


資料に含まれていた、手紙からあの建物の背景や、

この人が生きていた時代の雰囲気が分かって来た。


あの屋敷の主は、イヌサヌ=デーリンゲンと言う魔術師の家系の人だったらしい。

デーリンゲン家が、今もあるのかは分からないけど、

魔道具を作るのを生業にしていたようだ。

デーリンゲン家は、一家総出で魔道具を作っていたようだが、

研究好きな、イヌサヌは魔道具をさらに発展させる為、

魔核の研究の為に、ここに住んでいたようだ。


この研究施設を放棄した経緯は、分からなかったが、かなり昔の話である事は分かった。

資料室にあった地図を見ると、今よりも格段に森が多かったようだし、

町が少なかった。


王都は、現在の場所にあったのだが、町はアイカ、セレスト、カリオペ、ナエルの、

4つしか無かったようだ。

アイカも、かなり規模が小さかったようだし、西の農村地帯も無かった。

未開の大森林も、もっと南まで広がっていて、

アイカのすぐそば迄、未開の大森林があったようだ。

イヌサヌの屋敷も未開の大森林の南端に建てられていたようだ。

どれくらい経ったら、ここまで地形が変わるんだろうな。

100年とかそれ以上前の話かもしれない。


この人が生きていた頃は、環境も今とずいぶん違うみたいだ。

奴隷と言えば、人間だったようだし、獣人と言うのも文章からは出て来ていない。

獣人の村長が言うように、犯罪者への刑罰なのだったとしたら、

この頃はまだ居なかったか、島流しされているので、見る事が無かったって事かな?

という事は、獣人の村長に聞いたらいつくらいの時代か分かるかな?

獣人側の資料は残ってないが、村長が覚えてたらいいんだけど・・・。

と思って聞いてみたけど、何年って言うのは分からないらしい。

世代で言えば、10世代くらい前の話らしい。


10世代って、20歳で1世代と考えたら、200年くらい前かな?

日本で考えて200年前って、1800年代初頭って考えると、

江戸時代の後期か・・・。

ナポレオンとかそんな時代だな。

日本よりも、寿命が短いこの世界の人間としては、大昔って表現だよな・・・。

日本でも、大昔か・・・。


その頃は、魔術師も多くいたみたいだ。

魔獣も今ほど強くなかったような記載が多かった。

魔術師視点だがら、弱い感じの記載なのかもしれないが・・・。

そういう事もあり、魔獣の森の中に家を建てて隠居したり、

秘密の研究所を作ったりは、珍しい事でも無かったようだ。

家を建てる労働者は、魔法で護衛して連れて来たり、亜空間で転送したり、

空を飛んで運んだりもしていたようだ。


王国の名前は、一緒なので昔の魔法文明とかではなく、魔術師が廃れたけど、

王国はそのまま存続しているって事っぽいかな。


でももしかしたら、いまだに王都に行けば、普通に魔法を使ってるのかな?

いや、貴族街に行けば魔法は普通?

それにしては、ウィダスの雑魚男爵は、驚いてたしな・・・。


その辺りを、ケニーさんに聞いてみたら、そんな事は無いはずだとの事だ。

魔獣の方が、人間よりも魔力は多いので、

魔獣狩っている俺の方が良く判るんじゃないかとの事だった。

確かに、魔獣の魔力だと、それぞれの得意魔法が10回もしないうちに、

魔力付きそうになってたな。


現在の王国の魔術師6家だったと思うとの事。

それぞれの家に数人の魔法使いが居て、魔術師を名乗れる人は、

全部で200人も居ないそうだ。

それ以外に、少数の魔法使いがいるらしい。

通常、魔法使いは魔術師ほど魔法は使えないそうだ。

その為、ハルトが見つかった時に、領主様は魔術師に来てもらってから、

合う算段だったらしい。

抵抗されても、魔術師が居れば抑えられると考えたんだろうとの事。


前に冒険者ギルドのギルドマスターから聞いた話では、

王国全土で、100万人ほどの人口が居るらしい。

なので、魔術師が200人と言うのはかなりレアだ。

5千人に1人の割合か・・・。


やっぱり、イヌサヌの居た時代から魔法使いは減っているようだな。

それに、魔術師のレベルも下がっているようだな。

魔獣が弱かったのではなく、人が弱くなったようだ。


200年でそんなに変わるもんなんだろうか?

もっと前の話なのかも知れないな・・・。

江戸時代の人間が、今の日本人に比べて、そんなに違いがあるとも・・・。

いや、男の平均身長が20cm近く違うかったらしいから、

それなりに変化はあるのかもしれないな。


イヌサヌの研究のテーマは、魔核の利用法の拡大だそうだ。

その為、魔核を確保しやすい、魔獣の森の中に研究出来る場所を作ったのだろう。


イヌサヌの研究は、まずは魔核の起源を探る所から始まったようだ。

魔核とは魔獣の心臓としての機能があり、普通の心臓なら血を体に循環させる機能だが、

この魔核は魔力を循環させる機能だそうだ。

魔獣に心臓が無いのは、この魔核で循環させた魔力によって、

血液を循環させているからとの事だ。

俺が狩った事のある魔獣の多くは、虫系だったが、鳥などの魔獣も狩っている。

確かに、鳥は血を流していた。


人間が心臓を意識せずに動かしているように、魔獣は魔力によって、

血の循環を意識せずに行う事が出来ると言う事なんだろう。

そして、魔力で生きている為、人間よりも魔法の力が強いのも、

種族によって固有の魔法があるのも、意識せずに身に着けた特性でしかないのだそうだ。


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