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次に、階段を挟んだ逆側の部屋を見に行く。
こちらは、執務を行っていた部屋のようだ。
こんな魔獣の森の奥の山の中腹で、なんの執務を行っていたのか不明だ。
入り口に向かって、一人用の机がおいてあり、部屋の周囲には棚がある部屋だ。
こちらも、さっきのベッドルームほどに広い。
棚の中は、空っぽだ。
机に引き出し付いてるかと思ったが、足元を目隠ししているだけで、
引き出し無しの、ただのテーブルを執務机にしている。
そういえば、引き出しってケニーさんの所でも、
ギルドマスターの所でも見た事ないから、無いのかもしれないな。
奥に部屋があるので入ると、こちらも資料室だったのか、棚だらけの部屋だ。
ここにも資料は、なにも残っていない。
あの資料室に、資料が残っていたのは幸運だったな。
きっとカギが開いてたなら、全部空っぽだったんだろう。
こちら側にも、同じく隠し部屋があるようだ。
寝室の隠し部屋の感じだと、この資料室から入るのが、正解だろう。
入り口と思われる場所の木の板を剥がしていく。
・・・またしても、はずれを引いてしまったようだ。
壁を剥がすと、目の前に棚の裏側が見えた。
・・・ここの隠し部屋作った奴とは、気が合わなさそうだな。
棚の裏から覗いて、執務室から入れる事を確認して、そちらから入る。
中は、研究室のようだ。
本棚があり、そこには数多くの木板が詰まっている。
机の上には、鉄の板が何枚か置いてあり、数枚には魔法陣か書かれている。
書かれていない鉄の板もあるので、この人が書いていたのかもしれない。
この魔法陣からは、魔力は感じないが、横に壺がいくつか置かれており、
こちらの壺からは、魔力を感じる。
壺には、ラベルが張ってあって、魔力1とか2とか書かれている。
ラベルに書かれている通りに、数字が大きくなると魔力量が大きくなっているようだ。
最大の物で5まであった。
魔力量の小さい魔力1の蓋を開けて中を見ると、粉末が入っているので、
これは魔獣の核の粉末じゃないかな。
魔法陣を書くのに使うって聞いたから、その素材なんだろう。
ここには他にも、粉にしていない魔獣の核も、いくつか棚に収納されている。
さらに横に魔道具があり、これは魔核粉砕の魔道具のようだ。
魔核をセットして、動かすと核が粉になって、横の受け口に入っていく感じの作りだ。
これは、今後使うかもしれないな。
棚の方を見て行くと、木の板の保存状態も良さそうで、文字も読める。
「これは、本当に拾い物だな・・・。」
ここなら魔法陣の作り方の資料も期待できそうだ。
たまたま通った所で、たまたまふと見つけただけなのに、
まさか資料がそのまま残ってるとは・・・。
この部屋で最後のようだし、資料を少し漁ってみる。
なるほど・・・。ここでの研究は、魔核の利用法に関する物のようだ。
魔核に関する資料が、こんなに手に入るとは!
これは、他の町の観光とかしている場合じゃなさそうだな。
この資料を調査するのが、最優先だな。
もしも魔法陣が使えるようになったら、かなり有効そうだ。
俺はそのまま、どのような資料があるのか探っていく。
ここには、研究に関する成果や関連資料、実験の経過、それに手紙の写しなんかもあった。
そして、何よりも魔法陣に関する資料もあるようだ。
手順がしっかり書かれている訳ではないが、これは使えるようになるかもしれない。
テンション上がって来た!
これは、楽しみすぎる!
魔法陣が出来て、魔道具が作れるようになれば、みんなにも魔道具を作って上げれるし、
家ごと魔道具とかにして、持ち運んだり、家ごと飛ばしたり、夢が広がるな~。
まあ、出来るのかどうかは分からないけどね。
どっちにしても、しばらくこの資料の調査を主にやって行こう。
他の町に行くのはもうちょっと後でもいっか・・・。
がっさりと資料を確認したら、2階の方の資料も見に行く。
こちらには、非常に多岐にわたる資料で、地図なども含まれていた。
それ以外に、魔核研究に必要だったのか、多くの専門書が置かれていた。
これは本当に、素晴らしい物を手に入れた。
本当に貴重な資料の山だな。
ここの資料は、すべて持って行く事にしよう。
ただ、持って行くにしてもしっかり整理されているので、
出来ればそのまま整理された状態で持ちだしたい。
本物の本じゃなくて、ただの木板1枚に1ページ、
それを革の紐や布なんかでまとめているだけなので、少し雑な扱いをすると、
すぐにばらけて、1ページだけ行方不明なんて事にもなりかねない。
なので先に、家に収納できる所を作ってから、移動させるのが良さそうだ。
リルや、マディが喜びそうな資料もあったので、見せてあげたいしな。
一旦家に帰って、予定が変更になった事をみんなに報告する。
しばらくは、魔法陣の勉強の日々になりそうだ。
家の工房を増設した形で、あの家よりも大きな書庫を作成した。
今回の資料だけでなく、今度も資料などを手に入れる機会もあるだろうし、
俺も資料を作って行く事になるだそう。
あとは、マディやリルにも作って入れて貰うと言う事もあるだろう。
レシピや薬剤の事なんかも、資料として残して貰えれば、今後の役に立ちそうだ。
書庫が出来たので、屋敷の方から、本棚ごと持ってきて、
新しい本棚にそのまま入れ替える。
その後、資料の種類による分類をしていく。