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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
6.エスデスク王国
171/223

6-5


雑用も一通り片付いて来たし、もうそろそろ他の場所に、

手を出して見ようかと思ってる。

いろんな町に行って、いろいろ新しい物を探したい。

とりあえず、卵とか、砂糖とかが牛乳みたいに、

その町特有の物として見つかればうれしいな。


獣人のいるアルスデスや、未開の先に行ってみたい気もするけど、

まずはエスデスク王国の町を一通り回る感じにしようと思ってる。


ポスタリアは、この間の話で警戒されてるかもしれないな。

ただ、どっちにしても一通り回るし、獣人の情報も欲しいのでいつか行くし、

亜空間の入り口は作っておきたいので、とりあえず行ってみよう。

多分、警戒されてても入るのはそんなに難しくないだろうしね。


ポスタリアに向かうなら、獣人村から行くのが近いから寄って行こう。

獣人村に行くと、すっかり獣人の村として落ち着いている。

牛舎で掃除をしている人や、畑の作業を行っている人など、

みんなそれなりに忙しくしているようだ。

俺の事にもずいぶん慣れてくれて、村を歩くと挨拶してくれるようにはなっている。

一回りしてから、村長に挨拶する。


「調子はどうですか?」

「ええ。作付けもうまく行ってますし、しょうがも芽が出てきました。

それに水牛の方も順調に行ってます。」

「牛乳はこれからの、この村の主産業になるはずです。」

「今になると、納得出来るのですが、最初にハルト様が、水牛を連れて来て、

育てろとおっしゃった時には、牛の獣人である我々への痛烈な皮肉かと思いましたが、

こうして育てて、牛乳が取れるようになって、

純粋に産業として考えてらっしゃったと理解出来ました。」

「まあ、そうでしょうね。誤解されて、

反発されるかもしれないとは覚悟してました。

それでも、牛乳は欲しかったんです。

栄養価が高く、しかも結構な量が取れる。

その上、おいしいと来てますから・・・。」

「当初は、村の者もバカにされていると、反発もあったのですが、

女達がハルト様のご指示だと頑張ってくれました。

最初の牛乳が取れ、みんなで飲んだ時にハルト様の考えが理解出来ました。」

「それは、女性陣に何かお礼しないといけないですね。」

「いえいえ、今の安全な所で、暮らさせていただいているだけで、十分です。」


「牛は、子供を産ませてどんどん増やしてください。血が濃くなり過ぎないように、

定期的に、他の集団も捕まえて来ますが、

もっと牛乳の生産量を増やして貰えれば助かります。」

「はい。受精は注意が必要との事でしたよね。暴れる可能性があると・・・。」

「ええ。オス牛がメスを見て興奮して暴れると言う話を聞いた事があるので、

ケガしないように最初の時には、俺にも声をかけてください。

場合によっては、人口的に受精させるのも手だと思いますので。」

「人工的にと言うと・・・なるほど・・・その方が安全かもしれませんね。」

昔ニュース番組かなんかで見た事がある。

赤い布を巻いた牛型の木枠で興奮した雄牛から、ピュッと取ってる映像だった。

男の俺的には、ちょっと切ない感じのニュースだった。


「まあ、その辺は相談して行きましょう。

今の母牛から牛乳が取れなくなったら、少し休ませてから、また子供を産ませれば、

牛乳はまた出るようになりますから。」

「はい。了解しました。」

「あと、子供を育てば、環境に慣れて暴れない牛になると思うんで、

畑で鍬引かせて耕すのに使ったり、荷物運びにも使えるようになるので、

大事に育ててください。」

「なるほど、そう言う使い方も出来るのですね。」

「肉にしても絶品です。」

「それは先日お持ちいただいた、ステーキで十分に理解しています。

あの瞬間から、水牛がステーキに見えるようになったとかって、

言いだす者が出るくらいには。」

「大事に育てて、大きくしてからですからね。」

「はい。」


先日、水牛を1匹潰して、ステーキをこっちの村に人数分持って来た。

もちろんハーブで味付けしている。

赤身だけで、かなり噛み応えはあったがかなりうまかった。

日本人の舌だからと言うだけでなく、獣人達にも十分に好評だったようだ。


村長に別れを告げ、ポスタリアに向かう。

ポスタリアに行くには、獣人村の北側にある森を超えて行く。

透明化してても、森の上空では魔獣には襲われる。

魔法自体が見えるから、透明化はあまり関係無いようだ。


空を飛ぶ魔獣は、高速化の魔法を使いながら動いているので、

範囲酸欠で狙うんだが、地上での戦と違い、上下方向にもかなり広く動き回り、

捉えるのに結構手間取ってしまう。


そこで思いついたのが、相手は羽ばたいて動いている事を逆手に、

周りの空気を高速で回転させてみる。

魔法も使ってるとは言え、かすっただけでも、相手はバランスを崩してくれるので、

捉えやすくなり、酸欠の範囲に留める事が出来るようになった。

最初は苦労したが、このやり方を見つけたらずいぶんと楽になった。


町の近所までたどり着いたので、町の様子を上空から確認する。

ポスタリアの町は、遠目にも汚い町って印象だ。

30年前に、獣人に占拠されて戦場になったそうなので、その影響なのか?

獣などの侵入を防ぐ為の、塀が結構な箇所で壊れている。

税金逃れに、壊れた所から入る奴とか居そうだな。


獣人狩りをする人が集まり、そしてそれを売買する奴隷商人達が集まり、

町になっている、王国からしたら、他国との戦闘の最前線なんだろうな。

上空から見ているので、向こうのアルスデスも良く見える。

島とは聞いていたが、かなり大きい島のようだ。

王国の領土とそんなに変わらないくらいあるかもしれない。


貴族街にも、それほど建物が多く無いので、貴族の数はウィダスよりも少なそうだ。

貴族が少ないという事は、騎士団の常駐が少ないという事だ。

という事は、平民の衛兵も少なくなり、町の警備も緩くなるので、

治安もあまりよろしくなさそうだな。

俺はそのまま、ポスタリアを通り過ぎ、町の北側の森に、

地下部屋を作って亜空間を設置しておく。


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