6-4(エスデスク王国地図)
こっちの世界では、髪の毛の短い女の人はほとんどいない。
まとめたり、上げてたりはするんだけど、みんな、腰くらいまで伸ばしてるのが普通だ。
短く切っている例外は、戦闘を主に行う冒険者で、男装の為とか、
髪の毛を売ったって言うのもあるみたいだ。
後は、獣人達は様々な髪型をしている。
と言うか、多分種族によって伸びる量や毛質が違うだけなんだろうけどね。
そう言った事で、家の子達の髪型は結構、違和感の有る感じ見えるのかもしれない。
ただ、本人は結構気に入っているようで、長いのはやっぱりいろいろ面倒みたい。
洗うのも大変だろうしね。
俺も、リルに切って貰って、ジャック並みに短くしてもらった。
短髪って感じだ。
アイカを出た事もあって、ちょっとイメージを変えてみた。
変装目的でのイメージチェンジだ。
スライムの使い道として、浄化槽の中に入れてみる事にした。
まずは、誰も住んでいないアイカ南の地下部屋で試してから、危なくない事を確認して、
他の家の浄化槽にも入れ込んでいる。
浄化槽なので、いつか汲み取りするか、別の所に新しいのを作ってそっちを使うかと、
思ってたんだけど、これを思いついた時には、すっごいうれしかった。
検証したら、スライムは下水を吸収して大きくなるようだが、
空気を出している性質のせいか、そんなに立たずに元の大きさに戻った。
取った分の体積だけ増えて、分裂を繰り返すのかと思って警戒してたけど、
そうでもないようだ。
元々、ほとんど動かない性質みたいだし、安全に下水の処理が出来る。
魔法の練習もいくつかしている。
まずは、先日の警備本隊長に見つかった魔力視対策だ。
根本的な対処をする事は出来ないが、何らかの誤魔化しが出来ればと思ってる。
いままで、反射の魔法は体を表面を覆うように展開していた。
しかし、これだと外から丸見えになる。
という事で、体表の周りを覆うように改良してみた。
要は、服の中に反射の魔法を展開するという事だ。
服で魔法が隠れるのかと言われると、十分ではないのだが、
魔力その物ではなく、展開している魔法の場合には、目隠しくらいにはなるだろう。
それと、反射じゃなくて防ぐだけにした。
今まで、反射出来れば攻防一体と思って、反射にしてたけど、
そのせいで魔力量が多くなってしまっていた。
魔力量が尽きない俺では軽減する必要が無いと思ってたけど、
今回の事で軽減させる必要も感じたので、反射じゃなくて防御魔法にした。
これなら、ずいぶんと魔力量も減るし、服の中に展開されていれば、
ぱっと見なら俺でも見逃すくらいには抑えられる。
ただ、これって体は守れても服が守れないと言う、デメリットがあるので、
クシェルにお願いして、服屋でローブを追加注文して貰った。
俺だけの分じゃなくて、ジャックやミーアも同じ服を作って貰う。
さらに、リル、マディ、クシェル達の分もそれぞれ顔を隠せる同じようなローブを、
オーダーメイドで、作って貰うようにする。
洗い替えや、今後の損傷を見越して、1人5着くらい。
7人で、35着。
結構な金額だったけど、今の生活費からすると余裕で出せる。
部屋着は、平民服のままだけど、アイカに出る時用のローブだ。
クシェル達の、鎧も目立つので上からローブを羽織れば、目立たなくなるしね。
他に、魔法で空を飛ぶのも、何回か練習して高い所にもずいぶんと慣れて来た。
魔法で飛ぶと、速度を出さなくても、同じところに浮く事も出来る。
同じ所での上昇と下降も可能だ。
下降はいまだに怖いので、出来るだけある程度速度を出して徐々に下降するようにしてる。
フリーフォールよりも、飛行機の着陸の方が怖くない。
仕掛けとしては、2つの魔法を使う。
風を下から上に噴き上げる魔法と、下からの魔法を受けると共に、俺の体を支える魔法だ。
追い風で、浮いていた時には、俺自身に風を当てて浮いていたのだが、
それだと飛ぶまでに、距離が必要になった。
その為、俺の下に平面の板があるようなイメージで、風を受ける台を作りその上に俺が乗る。
その板を、風で浮かせたり、下ろしたりする方法だ。
上空に上がってからは、平面の台を傾け、風の方向も変えて、前に進んで行くと言う動きだ。
追い風の時と同じような、細かい動きと、ある程度の速度で動けるように練習している。
これに慣れたら、立った姿勢のまま、縦横無尽に動けるようになる。
ちょっと想像したら、傍目からは動きが気持ち悪くなるかもしれない・・・。
天気のいい日に上空に上がると、かなり遠くからでも俺の姿が見える。
小さいので、人物を特定する事なんて判別は出来ないだろうが、
それでも人が飛んでるくらいは、分かるかもしれない。
いっそ鳥の仮装でもしたら、見つかっても平気なんだろうけど、そんなのはやりたくない。
という事で、透明化の魔法の検討も行った。
レンズの応用で、空気で作った膜で光を屈折させれば出来そうなんだけど、
完全に屈折してしまうと、今度は膜の内側に居る俺から、
外がまったく見えなくなると言う問題がある。
なので、完全に屈折させるのではなく、ほんの少しだけ光を通して残りを屈折させる。
膜の中では、暗闇で少しだけ光が漏れるような状態になる。
という事は、暗視の魔法を使えば、その状態でも外を見る事が出来るようになる。
まあ外から見たら、ぼやっと何かが見えるはずなので、
目の前とかに居られると見つかるが、空を飛んで遠目に見る程度では大丈夫だろう。
空を自由に飛べるようになった事で、簡単にだが地図も作り始めている。
俺はまず、エスデスク王国の地図を簡単に作ってみた。
このエスデスク王国と言うのは、半島か島っぽい。
東西と南側に海を確認した。
ただ北側の未開の土地側は、まだ調査していない為、島とも半島とも言い切れない。
地図外で存在するのが分かってるのは、獣人の住んでいるアルスデスが、
ポスタリアの東にあるのと、北側の未開の地だ。