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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
5.魔法使いのお店
162/223

オスレイ視点(1)


「で、東の盗賊の討伐は完了したという事だな?」

「はい。そちらの報告書にある人員で、2名は捉えています。」

町の警備本隊長と、各警備隊の隊長達が居並ぶ所での報告だ。

30日に1回の頻度で開催される報告会で、前回の議題に上がった問題に対して、

結果の報告を行う。


冒険者ギルドとしては、本来は関係ないはずなのだが、

大銀ランクには治安維持活動の権限が付与されている事からも、この会に参加せざる得ない。

俺以外は、すべて貴族様なので、言われるままに報告し、

言われるままに指示を受けるだけなのだが。


「なるほど。リーダーとその息子か。そいつらは事情だけ聴いたら斬首にしろ。」

「は!」


「ところで、この大銀のもう一人と言うのは誰だ?

ハルトと言うのは聞いた事無い名前だが。」

東区域の警備隊長が、参加者のリストを見ながら聞いて来た。


「最近、大銀ランクになったばかりの者でございます。」

「銀ランクでも、大銀になるような奴は目に付くはずだが、こんな奴は聞いた事もないぞ?」

「はい。それほど目立つような功績は無いのですが、

今回の件でブラントと組ませて、経験を積ませました。」

「なるほど、それで今回の斥候役という事か。」

「はい。実力はあるので今回も、大いに役立ちました。」


俺は、用意しておいたハルトに対する評価を無難な感じで答えておいた。

内心ではかなり冷や汗をかいているが、騎士様達がハルトの事を知ってる訳ないので、

大丈夫なはずだ。


「そういえば、西の盗賊はどうされるのですか?」

西区域の警備隊長が、声を上げた。


本隊長は、

「そうだな。西の盗賊も対応はしないといけないが、実際の被害はそれほど多くは無いし、

先日まで騒いでいた、男爵様も今はそれほど言って来ないしな。

急がなくても良いだろう。

今は、それよりも警戒しないといけない事があるからな。」


本隊長は、少し考えてから、

「オスレイ、冒険者を南西の森の討伐に、多めに振り分けとけ。

そうすれば、西側の盗賊への牽制になるだろう。」

「は!」


「オスレイ、ご苦労だった。下がってよいぞ。」

「は!失礼いたします。」


俺は、ギルドに向かいながら、ハルトの事を考えていた。

あいつは、魔法使いなんだろう。

しかも、とんでもなく強力な。

さらに、絶対に子供じゃない。

最初は他国からの間者のを考えたが、そうでもなさそうだ。


短い付き合いだが、これまでの言動に、マディを救ってくれている事と言い、

悪意があるような奴でもない。

ただ、極端に貴族とのつながりを嫌がっているのも確かだ。

魔法使いである事を公にすれば、領主様に仕える事も可能だと言うのに、

言うに事欠いて、面倒だと言いやがる。

・・・いや、それは分からなくもないがな・・・。


俺自身、ギルドマスターと言う仕事をやっていて、貴族様とかかわりを持つ事も多い、

その中で、理不尽な要求はいくらでもあった。

その理不尽な要求で、何人もの冒険者を死地に向かわせてきた。

今の、本隊長に変わってからは、そんな理不尽な要求は無くなったが、

それでも俺自身が、貴族様に仕えるのかと言うと悩むだろうな。


貴族様のように贅沢な暮らしがしたいとか、子供の為にと考えるのなら、

貴族様に仕える立場になりたいと考えるだろうけどな。

ハルトには、子供所かあいつが子供だしな。

それに、貴族様とまでは行かないが、かなりの金も持ってるだろう。

毎日の狩りは命がけなので、いつ死ぬか分からない生活ではあるはずなんだが、

早々死なない自信があるんだろうな。



数日後、ハルトから西の盗賊の様子を見てくれると言う話があった。

結果の報告を聞くと、驚きだった。

ほぼ解決してきてるじゃないか!

さらに衝撃だったのは、


「王国側に、俺は魔法使いだって報告してください。」

魔法使いであったと、本人から聞かされたのもそうだが、王国への報告とは・・・。


俺は次の日、本隊長にお時間をいただき、報告に上がった。

通されたのは、いつもの会議室ではなく、本隊長の執務室だ。

「お忙しい中、お時間を賜りましてありがとうございます。」

「どうした?緊急の要件だそうだが。」

「はい。2点ほど急ぎお知らせした方が良い話があります。」

「2点とな?」

本隊長は、いぶかしげな顔をしている。


「はい。まずは1つ目ですが、西の盗賊の正体が判明いたしました。

冒険者達が、独自に村を作って盗賊をやっていたようです。

規模は、200~400人程度だそうです。」

「冒険者達だったのか・・・。それに多いな。」

「はい。かなり前から農村に住み込んで、狩りの拠点としていたようですが、

食うに困った奴らが、盗賊も始めたと言うのが経緯のようです。」

「なるほどな・・・。ありがちな話だ・・・。

そんな村が今までに見つからずに、存続出来た訳はないよな。

徴税官が毎年行ってるはずなんだがらな。で、実情は?」


「はい。レスリーが絡んでいた模様です。」

「と言う事は、ドウェイン子爵様か・・・。」

「確かな証拠はありませんが・・・。」

「分かった。この事は他言無用だ。後の事はこちらで処理する。」

「は!」


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