45.獣人村作成
俺は、集会場から出ると、さっそく家の建設を行って行く。
もう形は決まっているし、同じものを量産していくだけの作業なので、
流れ作業的に作っていく。
魔法で家の基礎を作り、木材から材料を作り出し組み立てて行く。
骨組みが出来上がったら、木の板をはめ込み屋根と壁を作る。
水回りと内装を行ったら、大まかには終わりなので、その後家具や生活用品を作り、
畑を耕して1軒終了だ。
そのまま、俺は次々に建てて行く。
ペース的には1時間に1軒程度建てられる感じだ。
昼までの、6時間で6軒建てる事が出来た。
計7軒出来上がったので、あと3軒・・・。明日には人数分出来そうだな。
「村長。6軒建てる事が出来たので、順次移動してください。
ベッドや家具なんかは足りないものは、地下部屋から運ぶか、明日にでも教えてください。」
「6軒もですか!」
村長は、集会場から外に出て、出来上がった家を確認しに行く。
俺は、その間にそこにいた女性の獣人に少し話を聞く。
「女性の立場で、何か足りない物とかあったりしますか?」
女性の獣人は俺に怯えているようで、返事をしてくれない。
別の男性が、
「これ。ハルト様がお話しているのだがら返事しなさい。」
女性は、さらに委縮してしまったので、
「いや怯えるのは仕方ないですよ。気にしないでください。
要望は、村長経由でもいいので気軽に行ってください。
全部叶えられる訳ではないですが、出来るだけ善処しますから。」
「・・・ありがとうございます。」
小さな声で、返事をしてくれた。
村長が戻って来た。
「あの家は、一番立派な家で1軒だけだと思ってのに、
あれが7軒も立つとは思ってませんでした。」
「ああ。残りも同じ形の家を作る予定です。
誰がどこに住むのかの配分してあげてください。」
「はい。」
「あと、少し聞きたい事があるのですが・・・。」
「はい。何なりとお聞きください。」
「まずは、他の種族の獣人が、ここに住むと言うのは許容出来ますか?」
「この広さの敷地を見た時点で、そうではないかと思ってましたが、
奴隷になった獣人の解放をしていただけるという事でしょうか?」
村長は、かなり期待を込めた目で俺を見ている。
「いや。残念ですがそういうつもりはありません。
でも、この先そういった機会が無いとも言えない。
なので、事前に確認だけしておこうと思ったんです。」
「そうですか・・・。」
「次は、人間について一緒に住む事は可能でしょうか?」
「・・・人間ですか。
我々は元が人間だと知っているので、問題ないでしょうが、
もしもほかの種族の獣人が住むのでしたら、難しいかもしれませんね。」
「やっぱり、奴隷狩りを行っている人間に対して、恐怖感を持ってるって事ですか?」
「そうですね。人間でも普通の農民の町に、盗賊を一緒に住まわせるような物ですね。
怯えてしまって村としてうまく回らないでしょうね。」
「なるほど・・・確かにそうかもしれませんね。では、人間の子供ではどうでしょうか?」
「子供ですか・・・。子供なら問題ないかもしれませんね。でも子供の方が怯えませんか?」
「やるかどうかはまだ迷ってますが、町には孤児の子供達が多い。
孤児じゃなくても、親に捨てられた子供もかなりいる。
もしもその子供達の面倒をあなた達が見れるなら、
今後のこの村の発展につながるかもしれないかと思ってます。」
「なるほど・・・。人口の増やし方という事ですか。」
「ええ。先日の話から推測するに、ここに住んでいる人達はほぼ親戚ですよね。
親戚同士で子供を作るというのは、血が濃くなりすぎて良くない。
そういった意味で、他の種族の女性に子供を産んでもらうと言う、
風習が生まれているという事ですよね。」
「ええ。まさにその通りです。」
「ここでは、他の種族に子供を産んでもらうと言うのは難しい。
その為、同族で子供を産むしかない。
そこで、他の獣人を入れるか、
もしくは人間の子供を入れる方向で人口を増やす事を考えました。」
「ええ。我々としてもどこかで考えないといけない話ですね。」
「まあ、急ぎの話でも無いですし、頭の片隅にでも置いておいてください。」
「はい。そこまで考えていただきありがとうございます。」
「では、明日もまた朝に来ます。」
「あ、申し訳ないですが、少々お願いがありまして・・・。」
「はい、なんでしょう?」
「畑を始める為に、苗か種をいただけないかと思ってます。」
あ~!完全に抜けてた・・・。
「申し訳ない。そりゃ~必要ですよね。
とりあえず育ててほしい物と、いくつかの食材の苗か種を仕入れてきます。
明日の朝にでも、持ってきますので、それまでお待ちください。」
「よろしくお願いします。」
俺は昼食に家に帰り、露店の様子見に行く。
先に冒険者ギルド側を見に行って、順調に売り上げが上がってる事を確認する。
エディに言って、今日から西門のケニー商会で新しい商品を売ってる事も、
宣伝してもらうようにお願いする。
冒険者ギルドには用は無いので寄らずに、
そのままケニー商会前の露店の様子を見に行く。