36.獣人村予定地(エスデスク王国北西部地図)
やっぱり上空から見ると、イメージが付きやすいな。
冒険者ギルドの地図に間違いが結構ある事が分かったしね。
港町ポスタリアに行くのも、アイカから出発するよりも、
ここから森を超えて向かった方が近そうだ。
半島の丁度中間くらいに、かなり広めに平地を見つけたので、
そこに村を作れば丁度良いかな。
高度を下げながら、そこに向かって移動する。
高度を下げて行くと、牛がいくつか群れで行動しているのが見えた。
う~ん。牛というよりも、水牛って感じかな?
でも、水牛でも牛乳は取れたはずなので十分だ。
牛の確保は後回しにして、まずは村作りを優先しよう。
目的の場所にたどり着いので、大体の場所を確認する。
海を臨める平原で、背後には森が広がっている。
場所としては、ウィダスまで3日から4日程度の距離だ。
ここなら人も来ないだろう。
良い感じの景色だし、潮風も気持ちいい。
「良いところだな。」
さて、作っていくか・・・。
まず、範囲を決めて行こう。
今いる場所の周囲1kmくらいの雑草を刈っていく。
刈ってから眺めてみると、もう少し森側にしないと海から見えてしまうかもしれない。
少し森側に移動してから、雑草を刈って地面を整地して平坦にする。
場所は、ここに決定だな。
整地した1km四方を、高さ5mほどの塀で囲う。
これで獣などの侵入は塞げるかな。
塀が高すぎてちょっと刑務所みたいで嫌だけど、まあ仕方ないか。
塀が目立たないように、塀の外側には森から引っこ抜いて来た、木を植えて行く。
塀が5mもあるので、木よりも高くて隠し切れないけど、それは仕方ない。
塀の内側には、塀沿いに果実の付く木を植えて行く。
これで果実を取れるし、中から塀が余り目立たなくなるだろう。
結構広いので、果実の木もかなりの量を植える事が出来た。
これで食べきれないほどの実が付くんじゃないかな。
移動と、結構広かったので作業とで、結構な時間がかかってしまった。
もうそろそろ夕飯の時間なので、一旦ここまでにして家に帰るか。
それほど急いでやらないといけない話でも無いだろうしな。
作った村の真中に、亜空間の入り口を作る。
その周りを、地面の土で覆っておく。
何もしないでそのままにしておくと、亜空間から出た所すぐに虫とかいると嫌だからな。
それに、亜空間の入り口は光るので、遠目に見えてしまう可能性もあるのでその対策だ。
家に帰った俺は、夕飯を済ませる。
夕飯をしながら、獣人の村の話をみんなにしていく。
「獣人というのは・・・元々人間だったんですか・・・。」
クシェルは、初めて知ったようで、驚いている。
「獣人達に伝わる話だそうだけど、本当なのかどうかは確証はない。
ただ、俺の聞いた限り嘘ではなさそうだ。
なによりも、言葉が同じであったり、細かい会話の仕草なんかも同じなんだ。
人間じゃないと、こうも一緒にはならないだろう。」
「ハルト様がそうおっしゃるのでしたら、そうなのでしょう。」
「ただ、獣人になってしまう呪いって言うのが知りたい所だな。
もしも、それが解けるなら、獣人を人間にしてあげる事が出来るので、
変な差別も生まれなくなる。」
これについては、獣人に確認させて貰えないか話てみるつもりだ。
獣人って、どこまでが獣なのかとか、種族によってどう特性が違うのかとか、
いろいろ検証したい所もある。
牛族って事は、胃袋が4つあって反芻とかするのかとか、複数乳房があるのかって言う、
人間とは大きく違う部分がどうなっているかも気になるしな。
後は、見える色や聞こえる音が違う場合や、食べたら毒になる物とかもあるのかもしれない。
「これから、獣人といろいろ絡む事が増えるかも知れない。
出来ればみんなには、獣人に対する偏見は持ってほしくないと思ってるんだけど・・・。
獣人が嫌いな子はいるかな?」
みんな、首を振って嫌いじゃないというジェスチャーをしてくれる。
「私達よりも、年齢が上の人は戦争を経験してるんで、獣人嫌いの人は多いですが、
私達世代よりも下は、獣人と言えば、奴隷ですから・・・。
それほど偏見って言うのはないと思います。
親族を殺された方とかは、いるので一概には言えませんが・・・。」
「それは良かったよ。でも逆に獣人側に人間への偏見って言うのがあるのかも知れないので、
慣れるまではそのあたりで反発があるかもしれない。
その考慮はしてあげてほしい。」
「はい。」
「そういえばマディ、新しい人はどうだった?」
「ええ。いい人そうでしたわ。
今日の所は、新しい住居に慣れて貰う為、料理を自分で作らせてます。
実際の肉の加工については、明日から本格的にやって行こうと思ってます。」
「生活は出来そうだった?」
「ええ。大丈夫だと思います。」
「明日から露店開始するけど、下ごしらえは大丈夫かな?」
「はい。1000食程度は下ごしらえ終わらせましたので大丈夫です。」
「頑張ったね。ありがとう。
あと、明日露店が終わったら、露店は加工工場の方に移動させておいてくれ。
今後は、露店絡みはすべて加工工場の方で行うようにするから。」
「はい。了解しました。」
夕飯後、獣人村の作成の続きに向かおうとも思ったが、それほど急ぎでもないし、
日のある明るい時間にやった方がいいので、夕食後は違う作業を行う事にした。