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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
5.魔法使いのお店
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35.獣人の真実(2)


「集落って表現してますけど・・・。同じ獣人が集まった集落って事ですか?」

「我々は・・・同族なんです。

我々獣人は、元は同じ人間同士なので、種族に関係なく子供は作れます。

そして子供は女性側の種族が何であれ、男性側の種族になって生まれます。

そう言った事から、子供は常に男性側の集落が育てる風習になっています。

なので、集落には同じ種族物が集まる事になります。

そうして、獣人同士での差別が出来るだけ起きないように配慮しています。

ただ、たまに例外的な事もありますし、

同じ種族でも見た目が変わる場合もありますが・・・。」


「同じ種族でも見た目が変わるというのは?」

「我々は、牛という獣との獣人ですが、たまに頭部全体が獣で生まれる事もありますし、

耳と尻尾だけの者も生まれます。角がある者も。」

「なるほど、同族でも影響がそれぞれ違うという事ですか。」

「はい。見た目だけで知力には違いは無いとは思うのですが、

獣に近い物ほど直情的で、攻撃性が高い傾向があります。

肉体的には獣を多く宿している者ほど、力が強かったり、持久力が高かったりします。」


獣人について、思ってた疑問がいくつか解消されたな・・・。

元は人間だったという事は、商売相手としても成立しそうだな。

「なるほど・・・。いろいろ教えてくれてありがとう。

いろいろ疑問が解けたよ。」


俺は、姿勢を正して村長を見る。

「さて、これからの話をしましょう。これからどうしたいですか?

アルスデス島に戻りたいですか?」

「いえ。戻る事にこだわりはありません。

我々の居た集落は、襲撃によりもう何も残ってないでしょうし・・・。

我々がが安全に過ごせる場所で暮らす事が出来れば、どこでもいいです。」

「分かった。完全に自由に生きられる訳ではないが、

それほど不自由を感じる事は無いような生活が出来るように準備しましょう。」

「ありがとうございます。」

「準備が出来るまではここで過ごして貰う事になります。

あと、移動先についての意見を聞きたいので、そのあたりは協力していただきます。

あとは、こちらからの要求ですね。

こちらからは、労働力としていくつか仕事をお願いする事になります。」

「仕事ですか・・・。危険な事でなければ・・・。」

「依頼したいのは、こちらで指定した作物を育ててほしかったり、

検証や実験に付き合って貰う感じになるかと思います。

ただ、強制しようとは思ってませんが、出来るだけ配慮して貰えればと思います。」


いくつかの調味料的な物を自生している物を取って来る必要があるので、

栽培してほしいんだよな。

しょうがとか、ハーブとかの一部がそうだ。

あとは、獣人の呪いって言うのにも興味があるので検証したいしな・・・。


「はい。かしこまりました。」

「では、また明日昼過ぎくらいに顔を出します。」

別れを告げ、住処の検討をしに行く事にする。


どうするかな。

獣人達が静かに暮らせるような場所を探さないとだな。

冒険者ギルドで見た地図で言うと、人が出入りしないような場所って、

それほど多くないんだよな。

北の未開地の向こう側に行けば、人間は出入りしないはずなんだが、

地図もないし危険そうなのでそっちは今度、確認してからだな。

獣人達を、そんな危険な場所に連れて行く訳にもいかないだろう。


ウィダスの北西に半島があるが、ここの近所には集落などもなく、

森を抜けないと入る事も出来ない為、冒険者か騎士団くらいしか入る事はない。

さらに、多分誰も用がないだろう。


ケニーさんが牛がいるって言ってた場所なので、牛を狩りに行くやつがいるなら、

あれだが・・・多くは無いだろう。

狩ったとしても、持ち運ぶには距離があり過ぎるだろうしな。


28人程度が、生活出来る場所の確保が出来るのかどうか、

様子見も含めて行ってみるか・・・。

あわよくば、牛も欲しいし・・・。


俺は、ウィダス近所の亜空間から出て、森の中を突っ切って行く。

途中で見つけた獣は狩りながら進む。

森を抜けて平原に出たら、一気に視界が広がり、左手に海が広がっている。

右手には、森があるので森沿いに追い風で進んで行く。

遠いな・・・。

追い風の速度を上げる。

時速100kmくらいまで出しても、平地なのでまだ余裕がある。

さらに速度を上げると、風が苦しいので真空の膜を作る要領で風よけの膜を作る。


もう、地上1mくらいの所を飛んでる。

さらに速度を上げる。

そして高度も、もう少し上げてみる。

地上3メートルくらいの所を、時速200km以上で飛んでいる。

さらに、速度と高度を上げて行く、

森の木々の上くらいの高さを、かなりのスピードで飛んでいく。

まだ怖いけど、体を動かさなくていいので、少し慣れると思いのほか怖くない。

それにこのスピード感と、流れる景色はすごいな・・・。


風よけの膜を作っているので、風を感じる事は出来ないけど、それでも気持ちいい。

ここくらい人の目の無い所なら、飛ぶのもありだな。

高い所が怖いのと、魔法が切れたらと考えてたけど、もう今更魔法切れを考える事も無い。


このままアルスデス島まで行ってしまうのもありかもだけど、今はやめておこう。

この機会に上空から地形の確認をしたいので、高度をさらに上げて、

目的の半島の全景を確認する。

上空から周囲を見回す。


まさに航空写真状態だな。

この高度まで上がるとかなり遠くまで見る事が出来る。

ウィダス、アイカ、そしてポスタリアが見える。

かなり遠いが、南の港町もかすかに見える。

王都や北の開拓村は、山脈があり陰になって見えないな。

そして、海の向こうにアルスデス島も見えている。


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