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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
5.魔法使いのお店
145/223

31.ブラントさんの武器作成(1)


次にファギーを見て、

「ファギーは、なかなかな体力だな・・・。一撃の力も悪くない。

バランスを崩してもなかなか倒れないし粘りもある。

だが、一つずつの動作が重いな。

もう少しその棒の使い方を覚えれば伸びるだろう。

その武器は、力任せの武器じゃないから、技ももう少し覚えるべきだな。」

「え・・・?殴るだけの武器じゃなかったんですか?」

「もちろんだろう!

1撃の威力があるとは言え、当てれなかったら意味がない。

フェイントや多少トリキーな動きも混ぜて、相手に隙を作らせて当てないとな。」

「なるほど・・・。」


「お前たちの実力が見れてよかったよ。

根性もあるし素養も悪くない。

楽しみが増えたな。」

「ブラントさんのお眼鏡にはかないましたか?」

「ああ。しっかりと鍛えてやる。」

「よろしくお願いします。」

「じゃあ、3人は休んでて。」

「はい。分かりました。」


「ブラントさん。報酬の話をしましょう。」

「報酬だと?」

「ええ。」

「武器、貸してください。」

ここは、ブラントさんの個人練習場なので、他には誰もいない。

ここでやってしまおう。

「あ?俺の剣か?」

そう言いながら、ブラントさんは武器を渡してくれた。


「さっき見せて貰った時に気になったんですが、

なんかこの辺り少し歪んでる感じがするんですけど・・。」

「ああ・・この間の盗賊狩りで調子乗って石を叩いちまって、歪んだんだよ・・。

良い剣なのに勿体ない事しちまった。」

「という事は、それは直しちゃって良いって事ですね?」

「直せるのか?」

「はい。あと、重さとか長さとか変わると困りますよね。」

「重さが変わるのは勘弁だな。長さも変えられると感覚が狂っちまう。」

「まあ、出来上がったら振って貰った感覚で調整しますね。」

「おいおい。この剣持って行かれると困るんだが。」

「大丈夫です、ここでやりますから。」


元々の物があると、使い勝手を変えてはいけないので、ちょっと手間だな。

まず、確認しないといけないのはバランスだ。

重心の位置が変わると使いにくくなるだろうしな。

重心は、刃の一番手元になる様に調整されているみたいだ。

なので、刃だけの重さを増やすとバランスが刃先に行ってしまう。

柄の部分にもバランスよく重さを配分しないといけなさそうだな。


柄は、鉄製の物に革紐を巻き付けているだけの柄に、左右に2本の鍔がついていて、

刃を下にして立てると、十字架の形になる感じだ。

巻き付けている革紐を取り去り、鉄の部分だけにしてしまう。


俺は剣に魔力を込めて、剣の炭素を抜きながら圧縮していく。

剣から炭素が出てきた事で、表面は真っ黒に染まり、禍々しい感じの刀になった。

長さは変えてないが、圧縮した事で全体的に細くなり、

剣の見た目としても、大分変わってしまったので戻さないと。


次に刀身をきれいに成形して、歪みを無くし直刀の形にしていく。

元々は、剣先はひし形の角ばった印象の刀身だったんだけど、これを流線型の形にする。

流線型にする事で、刺す時の抵抗が少し減るんじゃないかと思う。

あと、風の抵抗も少しは減ると思われる。


柄の部分も炭素を抜いて圧縮したので細くなってしまっている。

ただ、柄の一番手前に重りが付いていたので、それを柄に回して柄の太さを確保する。

それでも前よりも細くなるので、内部に空間を作って前よりも少しだけ太めにしておいて、

持ちやすいように、指の形のへこみを付けて、滑りにくくしてみた。


鍔も十字になっているだけだったので、どの位置でも刃を止めれるように、

短めの丸い鍔も併せて作る。

元の十字はそのまま健在だ。

こちらも、炭素を抜いて圧縮しているので足りなくなった分は、内部を空洞にしている。


鍔は、剣同士の戦いの時に、剣で剣を受けた場合、刃を滑らせて手を狙う技がある。

これを避ける機能として鍔があるので、

元の鍔では場合によっては手を狙われる可能性もある。

それ以外に、この鍔部分で相手を殴ったりとトリッキーな技にも使えるそうだが、

元々の鍔は、そっちがメインの物だったのかな。


刀身も細くなってしまったので、

刀身の中心部分をへこませて、血抜き溝を作り出す。

それでもまだ細いので、血抜き溝を表裏両方に先端近くまで大きく深く彫っていく。

まだ、細くなってるな。


先端部分の血抜き溝の中心に穴を開け、その分を幅に持って行く。

さらに、刀身を薄くしてさらに幅を確保する。

穴の周りのバリを綺麗にして、危なくないようにしてバランスの確認をする。

うん・・・大丈夫そうだな。


刃の部分は砥がずに、元のままにしておく。

刃を付けると、あまりに強力になりすぎて、

ブラントさんの実力的に、そして立場的に俺達が危険になり得るのでやめておく。


う~ん。でも思ったよりも、元の形から違う物になってしまったな・・・。

まあ聞いてみて、ダメそうだったら修正しよう。

「こんなもんかな」


ブラントさんは出来上がった剣を見て、

「呪われてるのか!」

「呪ってなんかいませんよ!なんて事を・・・。」

って、でも客観的にみると、穴あきの血溝が付いた真っ黒な刀身・・・呪われたな・・・。


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