30.ブラントさんとの訓練
「装備の納品とで、大銅-2まで一気にあがっちゃいました!」
アリーヤもはしゃいでいる感じだな。
「そうなんだ!じゃあ、今後も納品続けて銀まで上がっちゃおうか。」
「銀ですか!」
「うん。実力もブラントさんに上げて貰って、
名実ともに銀ランクまで上がってほしいと思ってるんので、頑張ってね。」
「は、はい!」
「じゃあ、ブラントさんお願いしますね。」
「お前らが、俺の訓練を受けるのか。
じゃあ練習用の武器を選んだらかかって来い。」
「あ。練習用の武器は俺が作りますね。」
俺は、3人の現在の武器と同じ形の物を木で作って渡す。
「!!。ハルト・・・お前、そんな事も出来るのか・・・。」
「はい。ブラントさんの練習用の剣も作りましょうか?
武器見せてください。」
「あ・・ああ。」
ブラントンさんの武器は、両手持ちの剣だ。
同じ大きさで、同じ形の物を木で作りブラントさんに渡す。
「おお!同じ形だな。これは使いやすそうだ。」
ブラントさんは、木の剣を眺めて、何回か振って確かめている。
「じゃあ、始めるぞ!3人同時にかかって来い!」
「はい!お願いします。」
クシェル達は、兜を装備してブラントさんに切りかかる。
あの防具を装備をしていれば、いくら殴られても痛くない。
という事は、いくらでも訓練が続けれるって事だから、かなり上達するはずだ。
彼女たちは向かって行く度に、ブラントさんに殴られ倒されるが、
まったく効いておらず、すぐに立ち上がってブラントさんに向かう。
最初の内は、ブラントさんも手加減して戦っていたようだが、
どんなに殴られても向かって来る3人を見て、
効いてないと悟ったのか結構本気で戦っているようだ。
クシェルは、思いのほかブラントさんの剣をいなして受け流しているようだ。
ブラントさんの方も、手こずっているようでクシェルに注力している。
ただ、完全に防げている訳でもないようで、何回もいろいろ殴られ飛ばされしているようだ。
ファギーは、クシェルと連携しながら、棒で攻撃しているが難なくかわされている。
それに、かなりあちこち殴られているようだ。
だが、クシェルやアリーヤの攻撃を隠すように動いていて、
ブラントさんもクシェルに注力しきれないのは、彼女のおかけでもある。
アリーヤは、ファギーやクシェルの攻撃の対応で、
隙が出来た所をうまく付いて攻撃しているが、かすりはしても有効打はないようだ。
それに、たまに大きいのを貰って飛ばされている。
結構な時間、この攻防が続いている。
飛ばされては、向かって行く。
痛みが無いので、恐怖も覚えない。
戦いを怖がってた3人には丁度良かったのかもしれないな。
それでも、さすがに体力切れのようだな。
3人の動きが、ずいぶんと重くなってる。
ブラントさんはまだ余裕があるようだ。
・・・あ。。アリーヤが倒れた。
起き上がれそうにないな・・・。
後は、崩れるのは早かった。
次はクシェルが、動けなくなり剣で体を支えてる。
ファギーは1人では、もう相手にならない・・・。
「よし!これまでだ!しばらく休んでよし!」
ブラントさんは、3人に声をかけると俺の方に向かってきた。
「ハルト!なんだあれは!」
「最新式の防具です。」
「まったく効かないどころか、怯みもしないって・・・。
バランスを崩すか、弾き飛ばさないと攻撃を止めれないなんて・・・。」
「あれで、本人にはケガどころか、痛みも無かったはずですよ。」
「ん!そうなのか?」
唯一、立ってるファギーが返事をする。
「はい。痛みはありませんでした。」
「なんて物作るんだ・・・。」
「まあ、それでも打倒ブラントは、果たせなかったみたいですけどね。」
「防具だけで、大銅に俺がやられる訳ないだろ!とはいえ、結構貰っちまったな。
クシェルと言ったな、お前の片手剣の扱いは綺麗だ。
なかなか洗練されている。
だが、実践の経験が少なすぎる。
無駄を省くのは良いが、素直過ぎるって感じだな。
誰かに師事して、しっかりと剣の扱いを習っていたってところか。」
クシェルは、剣を支えに肩で息をしながら、
「はい。父に叩き込まれました。」
「なるほど。よい剣士だったんだろうな。」
「はい。」
「あとは、実践を積んで行くのが一番だろうな。」
ブラントさんは、アリーヤの方を見て、
「アリーヤは、その武器にまだ慣れてないようだが、
それでも手数が多いのでかなりウザかった。
それに・・・たまに感覚を外す技を使ってるのか、瞬間的に見失う事があったんだが、
あれは何の技だ?」
「・・・狩りの時のように気配を消すようにしてました。」
「多人数で戦う時には良い戦法だ。俺相手じゃなかったら、
それなりに当てれてたかもしれないな。」
「はい。」
「その技を磨くのと、武器にもっと慣れる事だな。
かなりトリッキーな動きだが、速さだけなら俺に匹敵するほどだから、
そこを伸ばすのがいいだろうな。」