26.攻撃魔法の研究(2)
もしも出来るんなら、俺と同じだけ魔法が使えるやつが相手だと、
お互いの魔力で殴り合いして、先に当てた方が勝ちみたいな戦いになりそうだ。
検証には相手がいるんで、魔獣狩りに行くか・・・。
魔法使わせて、それを弾けるかどうかの確認かな。
あと出来るのは、魔力の動きを早くする工夫とか、発動を早くする工夫とかかな。
この辺は、高速狩りで結構工夫してるから、それほど改善は見込めなさそうだけどね。
「ちょっと魔獣狩りに行って来るね。」
「はい。行ってらっしゃいませ。」
俺は、家から外に出て、東方向の魔獣の森に行き魔獣を探す。
魔獣は今までにもかなり狩ってるけど、あまりどれがどんな魔法を使うのか知らない。
狩りの時には、リスクを最小限にする為に、魔法使われる前に倒すようにしているからだ。
狩りの初めの頃はまだ慣れなくて、魔法を使われる時もあったけど、
最近は魔獣の特性が分かってきた事もあり、魔法使われる前には倒せてるので、
アリくらいしか、何の魔法を使って来るのか知らない。
アリの魔法も全部見たわけじゃないしな。
「トンボがいるな。」
森の少し開けた所に、1匹だけトンボが止まっている。
魔法の触手を伸ばして、トンボにちょっかいをかけてみる。
トンボは羽ばたき、俺に向かってくる。
トンボの羽の周りには魔法が張り巡らされている。
トンボは、かなりの速さで動いては噛みつこうとして、反射の魔法で弾かれている。
トンボは、高速飛翔の魔法なのか・・・。
かなり早く動いているので、範囲以外の酸欠では追い付けないな。
顎部分にも魔力がありそうだけど、遠隔的な魔法はなさそうだ。
トンボは、高速飛翔の魔法だけっぽいな。
範囲の酸欠魔法で、トンボを落として狩ってしまう。
「これじゃあ、魔法の対抗手段の練習にならないな・・・。。」
トンボ以外の獲物で探そう。
「次は・・・セミか。」
セミはなにするんだろう?。
セミは、木に止まっているというよりは、木に擬態しているのか・・・。
こっちのセミの習性は違うようだな。
樹液吸って生きてる訳じゃないのかもだな。
さっきのトンボも、なんだか肉食だったっぽいしな。
あれ?そういえば、トンボって元々肉食だったっけ?
まあ、どっちにしても大きさが違うと生態も違うんだろうな。
セミに対して、魔法の触手を伸ばし気付かれるようにしてみる。
セミは、その場から動かないままに、俺の方に魔法の触手を伸ばして来る。
俺はすかさず、魔法の触手を、俺の魔法の触手で殴り飛ばす。
「お!当たった。」
俺の魔法の触手にはじかれた、セミの触手は、その勢いのまま弾かれた。
弾かれても、触手は消えたり、千切れたりするわけでもなく、何もなかったかのように、
そのまま俺に向かって来る。
何回か、伸ばして来る触手を弾いて感じを掴むと、次は俺の触手の先端を引き延ばして、
盾みたいにしてみる。
「これもいけるな・・・。」
ただ、盾型なので範囲も狭い事で、回り込もうと触手を伸ばして来る。
結局弾かないと攻撃は防げないので、これはあまり使えないかな。
触手を押し返すなんて時には使えるかも知れないな。
次は、俺全体を包んでバリアのようにしてみる。
真空の膜や、反射の魔法がこの形だ。
これで防げるなら、一番楽かもしれない。
逆に、これで防がれると魔法攻撃がやりにくいな。
セミの魔法は、そのバリアの周りを這いまわり、バリアの切れ目を探している。
そして、セミは切れ目を探すのを諦めたようで、バリアの周りで触手の先から熱を発し出す。
「まずい!」
熱は反射とかバリアとか関係なく、俺に通ってしまう。
すぐに俺は、追い風で後ろに下がり距離を取り、大き目の範囲を酸欠にしてセミを倒す。
「危なかった・・・。油断したな・・・。」
俺のローブの袖が、燃えてしまった。
魔法の熱は危険だ・・・。
瞬間で布が燃え上がるほどの熱が発生する。
バリアで距離があった事と、すぐに逃げた事で袖が少し燃える程度で済んだが、
もっと近かったら、一瞬で俺の体が燃やされてた。
そう考えると、一気に背筋が凍る思いだ。
この検証は、命がけだな・・・。
だが、いろいろと魔法の事が分かった。
まずは俺以外も、魔法って言うのは触手みたいなので使うって事だな。
例外は、サーチの時には、魔法を拡散させるので、触手って感じではないな。
それと、魔法視とか暗視の時には、自分の中なので触手みたいなのは出さない。
後は、自分の魔法と相手の魔法は別物で、基本は反発しあうようだ。
この特性のおかげで、魔法の膜みたいなバリアを張っていれば、
魔法攻撃はある程度防げそう。
なので、反射の魔法を体にまとってれば、魔法攻撃の防御が出来るって事かな。
さっきみたいに、魔法の発動場所はバリアの外なので距離を取れるが、
発動した結果はバリアの有無に関係なく届くって事だ。
後は魔法の無力化をさせる方法を見つけたいな・・・。
相手を魔法の膜で覆うのはどうだろう?
激しく逃げられると、外されるかもしれないが、有効そうな気がするな。
後は、魔法で殴り飛ばすだけでなくて、引きちぎるとかって出来ないかな?
触手を出す事自体には魔力を使わない。
でも、魔法を使った瞬間に、魔力は減ってしまう。
魔力が減ると、触手の全体的な質量が減ってしまうようだ。
という事は、これを引きちぎる事が出来れば、魔力を減らす事が可能になるという事になる。
相手の魔力を減らし続けて、最終的には気絶するまで持って行く事が出来るのなら、
魔法使い対策には良い感じかもしれない。
次の魔獣でやってみるかな。