24.新しい防具(2)
忍者装備っていえば・・・鎖帷子か!
カブトムシの甲羅を、鎖状にしながら圧縮していき、
肘上くらいの5分袖のTシャツって感じにする。
下半身もひざ下くらいまでの鎖帷子を作る。
腕部分と、靴と脹脛部分は、クシェル達と同じく鎧を付ける。
このあたりは、相手の剣を受け流したり、蹴りの当たる部分だったりなので、
守りを固くしておく必要があるからだ。
結局全体的に、鎧よりも使っている甲羅の量は少ないので、
クシェル達の1/3くらいの重さになった。
鎖帷子を直接着るのは、衝撃が吸収できないし、中が丸見えなので・・・インナーは必要だ。
そうだ、革をウレタンのようにして、
全身タイツ・・・いや、ウェットスーツのようなインナーを作る。
胸と下腹部以外の部分はすべてメッシュ地にして、通気性を良くしておく。
これの上から、鎖帷子を着れば、衝撃にも刃にも対応できそうだ。
アリーヤに着て貰い、フィットするように調整する。
「こんな感じでどうだろ?」
「動きやすいです!軽いし!・・・でも、暑いですね。」
「そこは仕方ないかも・・・。」
これで、とりあえず装備類は一通り終わったかな。
これで、自信にはならなくても、これから一歩進む為の、一助になればいいかな・・・。
あ!忘れてた・・・兜作ってない。
頭守らないといけないよね。
でも、兜って視界を遮るんで難しいな。。
透明な素材って、なんか無かったかな・・・トンボの翅が透明だけど、柔らかいしな。
防具にならなければ、透明でも意味ない。
他にも翅はいくつかあるので、それをなんとか圧縮とかで使えるようにならないかな。
バイクのヘルメットみたいなの考えてたんだけど・・・。
剣道の頭防具っていうのもありか・・・。
これなら、顔部分は鉄製で、周りはカブトムシって感じかな。
この構想なら簡単に作れそうだ。
アリーヤのは、鎖帷子とウェットスーツのセットで、
フードと顔の下半分を隠すマスクを作る。
これも、3人に被って貰って感想を聞くと、
「変わった兜ですね・・・。視界は悪くないですね。少し慣れが必要ですが・・・。」
「あたしのは、さらに暑くなりそうだね・・・。」
「まあ、これでかなりの部分が守られるからね。それでちょっといろいろ試してみて。」
「はい。ありがとうございます。」
すぐに、3人は庭の訓練場に向かうと訓練を始める。
3つの黒い影が、それぞれに動きを確認するように、じゃれてる感じだな。
もうそろそろ、俺は今晩の準備を始めようか。
「リル、魔法の回復薬が大量に必要かもしれない。50本くらい作れるかな?」
「50本ですか!多いですね・・・。夕飯くらいまでには出来上がりますが・・・。」
「お願い。けが人を大量治療しないといけないかもしれなので、念の為持っておきたいんだ。」
奴隷の人達が、無傷の状態なのかどうか不明なので、事前に用意しておきたい。
余っても、俺の亜空間の中なので賞味期限も関係ないしね。
「はい。わかりました。」
リルは、すぐに加工工場に移動して、魔法の回復薬の作成に入ってくれた。
あと、奴隷を囲う場所としては・・・・一番使わなさそうなさそうな場所がいいな。
ウィダスの2番目の宿場近所に作った亜空間が今後は使わなさそうだな。
東の盗賊のアジト下も使わないかもだけど、あれが俺の最東端だしな。
ウィダスの2番目の宿場近所に、地下部屋を作ってしまうとして・・・。
どれくらいの人数なのか確認して、どれくらいの広さの部屋を作るのか決めておきたい。
それに、襲撃の場所確認も併せて行っておこう。
俺はアイカの町に行き、ケニーさんに教えて貰った通りに、西区域の南側寄りにある、
レスリーの奴隷商店まで移動する。
俺は通りの端に寄って、目立たないようにレスリーの店舗を観察する。
奴隷商店は、それほど大きい建物ではないが、
戸口は広く開かれていて中を覗けるようになっている。
店舗の後ろには、併設された倉庫があり、奴隷達はそっちにいるようだ。
店員は、店舗に3人いるようだ。
通りから見る限り、商品を置いてない感じの事務所って感じの店だな。
なんだか、小さめの不動産屋って感じの雰囲気かな。
商談だけのスペースが店舗内にあって、奴隷は奥に見せに行くか、
連れてくるかするんだろうな。
護衛のような人員は、店舗の外に2人が武装して立っている。
「こんな店にもやっぱり護衛は置くんだな・・・。
そっか奴隷は高いから現金もそれなりにあるはずだからか・・・。」
倉庫の方をサーチすると30人ほど人がいる。
それに、獣が1匹いるみたいだな・・・なんでこんな所に?。
獣も売ってるのかな?
しかも、生きたままこんな所にいるなんて・・・。
町中に生きてる獣とか連れ込んでもいいのかな?
狼か・・・狼って事は、新鮮な肉の為って訳でもないし・・・なんだろ?
動いているのは、きっと巡回で回っている警備か。
2人が巡回っぽいから、奴隷の人数は28人・・・結構多い。
かなり広めに地下部屋作らないとだな。
あとは、獣人達が素直に従ってくれるかどうかも不安要素の1つだ。
助けるって言っても、地下部屋に移動するだけなので、状況はそれほど変わらない。
話をして、分かって貰えればいいが、
分かって貰えなかったら、早めに対処しないといけないな。
下手をすると、俺が人間だと分かった瞬間に襲ってくるなんて事も、
あり得るかも知れないしな・・・。
首輪外さずに助けるか・・・いや、首輪外さなかったら、
首輪が締まってすぐに死んでしまうか・・・そういう訳にもいかないな。