22.新しい武器(2)
鞘に戻して「キンッ!」って鳴った所で、鞘から抜いたり刺したりして、
「これどうにかなりませんか?隠密行動の時にこんな音鳴ったら見つかっちゃいます。」
「え!」
お、俺のロマンが・・・侍映画のように、敵を切って、最後に鞘に戻す時には、
やっぱり鳴らないと・・・。
うなだれる俺を無視して、アリーヤは、
「音とか鳴る必要ないですし・・。鞘にもどしたら自分で分かるんで・・。」
俺はしぶしぶ、鞘に施した工夫を無くして音が鳴らないように改造する。
「ちょっと庭で試してきますね。」
アリーヤは元気に行ってしまった。
・・・まあ、二刀流はOKだったみたいなので良しとしようか。
次は、問題の弓だな。
竹っぽい素材は、川沿いにあったのでもう刈っている、コレクションの中にあるので、
これを弓にして糸は革紐かな。
日本弓って、弧の字に曲がってるだけじゃなくって、もう2か所ほど曲がってたよな。
弓の大きさは、俺の身長よりも長いくらいかな。
1メートル30センチくらいで作る。
竹を乾燥魔法で乾燥させて、思い描く形に曲げてみる。
革紐をそれぞれの端に括り付けて完成かな。
俺の力では引けないので、魔法で抑えて引いて、竹が折れたりしないのを確認する。
矢を木で30本くらい作成する。
矢尻は、鉄で作った物をはめ込む。
矢羽根は、鳥の獣の羽を加工して付けてみた。
矢筒も作って背負えるようにしておく。
「あとは、クシェルだね。弓どうかな?」
「はい!ああ・・素晴らしいです。」
「引きの硬さはどうかな?」
「丁度いいですね。」
「矢も作ったんで、庭で試してみて。」
「はい。試してみます。」
矢の予備はもう少し作っておいた方がいいかな。
木の箱を用意して、矢の大量作成をしておく。
3人共、作った武器を家の庭でいろいろ試している。
庭に出て、みんなが試している所に出ると、なんだかすごい状態になっている。
庭に植えてたいくつかの木は、殴られてえぐれてるし、枝があちこちにちらばってる。
矢も、木に刺さってたり、あちこちに散らばっている。
このままでは、庭がすごい事になっちゃいそうだな。
庭に、訓練所を作るか・・・。
俺は、広めの広場を作る。
学校の運動場くらいの大きさだ。
そこに、木の人形をいくつも作っていく。
木の人形には、甲羅の鎧を着せて、小手や脚絆なんかもつけておく。
硬めの土の人形もいくつも追加しておく。
殴るようにもいくつか、木も植えておく。
さらに、弓の練習用に的を作っておく。
弓の練習場所の周りは木の板で囲って、失敗した時にへんな所に飛ばないようにしておく。
あとは、訓練場の周りに被害が出ないように、周囲に果実の成らない木を移植してきて、
破片なんかが飛び散らないようにしておく。
俺が、訓練場を作ってるあいだに3人共俺の作業に気が付いたみたいで、
バツが悪そうに、俺の作業が終わるのを待っていた。
「終わったよ~。こっちで試してね。」
「申し訳ございません。」
「いや、練習場が無かったのが悪かったんだ、家の周りはきれいにしておくよ。」
「はい。少しはしゃいでしまいました。」
「しばらく、ここで練習してていいよ。人形は壊れたら作り直すので無くなったら教えて。」
「はい。」
3人は、訓練場で人形相手に武器の使い方の訓練を始めた。
その間に、俺は防具を作っていく。
武器は、危険なので売り物としては今は考えてないけど、
防具の方は人を見て売ってもいいんじゃないかと思ってるので、それなりに検討して行こう。
銀ランクの冒険者が装備していた、甲羅の装備を参考にいろいろ検討してみる。
甲羅の鎧は、甲羅の平坦な部分を胸当てと背中当てに使い、
それぞれを革の紐で結んでつなげているだけの物だ。
甲羅は、アリの外皮を使ってるみたいだな。
なので、全部赤茶っぽい。
俺の狩った魔獣の甲羅は、
・アリ
・トンボ
・バッタ
・カメムシ
・クモ
・芋虫
・カマキリ
・セミ
・ハチ
・カブトムシ
・ハエ
・チョウ
虫だらけだけど、全部1メートル越えの大きさの物ばかりだ。
アリ以上に硬そうな素材は無いかな・・・。
いろいろ、硬そうなのを探してみるが、どれもそれほど変わらないな。
カメムシの甲羅も堅そうだが、カブトムシの甲羅が一番堅そうだな。
兜ムシって言うくらいだからな。
普通に石も堅いんだけど石にするくらいなら、鋼で作った方がいいか。
硬さで言えば鋼。でも軽いのは、カブトムシって感じか。
商売で売り出す事も考える必要があるので、鋼の鎧はちょっと目的と違うしな。
それに、何よりもカブトムシには甲羅に魔力が入っているので、
硬さだけでなく何らかの効果があるんじゃないかと期待出来そうだ。
という事で、今回はカブトムシの甲羅を使ってみよう。
販売する時には、いろんな甲羅で作った物を値段分けする予定だけどね。