18.露店襲撃(2)
これは、護衛雇うまでは少しお休みかな。
「アリーヤ、状況だけケニーさんに報告しておいて。
あと、護衛が雇えるまでは露店休むって言うのも。」
「はい。」
アリーヤは、すぐにケニー商会に走ってくれた。
ファギーに露店を押して貰って倉庫に入る。
ベッドを作ってエディを寝かす。
「ファギーは、マディとクシェルに状況の説明と、
明日は休むので下ごしらえ急がなくて良い事を伝えて上げて。」
「はい。」
後は魔法で露店の修復に入る。
屋根を支える柱が1本折れていたので、新しい木で作って交換する。
ケニー商会の旗は切られていたので、予備で作っていた物と交換。
コンロも、蹴られた所がへこんでいたので、これも修復。
ばんじゅうもいくつか壊れていたので、これも新しく作って補充しておく。
他は、荷車部分なんかには蹴り跡がある程度だったので、綺麗に拭くくらいで、
大体修復出来たかな。
う~ん。レスリーの線かなぁ~。
ケニー商会の旗を出した理由の一つでもあるんだけどね・・・
レスリー商会を釣れるかもって思ってたけど、それにかかってくれたのかな。
明確に敵対するなら、潰しやすいからな。
俺が魔法使いだって言うのは、ウィダスの雑魚男爵から聞いてるだろうから、
知ってて俺に逆らうって方針を取ったって事だろう。
レスリーじゃなかったら、逆に厄介だな。
ケニーさんがレスリー以外にも敵を抱えてるか、
露店が魅力的に見えて潰そうとする商会があるって事だからな。
そんな事を考えていると、エディが起きたようだ。
「大丈夫だった?」
「・・・ああ。」
「悪いな・・・危ない事は無いって言ってたのに、危ない目に合わせてしまって。」
「いや・・・あれは、仕方ないんだろうな。俺ら浮浪児はあんな扱いされるから。」
「いや。あんな扱いが仕方ない事はない。
あいつらは冒険者ギルドに捕まえて貰って、かなりきつい処罰を受けるはずだから、
もうあいつらは現れないよ。」
「・・・そうなのか?」
「ああ。冒険者ギルドのギルドマスターも、大銀のブラントも、
うちの肉を楽しみにしてるお客さんだ。
買えなくなるのは困るだろうから、ちゃんと対処してくれる。」
「ああ。確かにそうだな。あの肉が食えなくなるのは困るだろうな。」
「けど、今日の事もあったので護衛を雇おうと思ってるんで、
雇えるまで店は休もうと思ってる。」
「え!明日からは仕事ないのか?」
「うん。仕事は無いけど、朝ここに来てくれたら2食分のパンは渡すよ。」
エディは、安心したように息を吐いて、
「よかった・・・。」
「肉は焼かないから、あげれないけどね。」
「まあ、それは仕方ねえな。」
「じゃあ、俺はこれから後始末でいろいろ動かないといけないから、ここで別れよう。
体調が悪くなったりしたら、この倉庫に来てくれ。」
「分かった。ありがとよ。」
倉庫から出て、自分の住処に戻って行った。
アリーヤが帰って来て、
「ケニーさんに報告してきました。護衛については、早急に手配するとの事でした。」
「分かった。アリーヤは大丈夫か?」
「ええ。怖かったけど・・お店守れなかった方が悔しかった・・。
怖くて・・・動けなく・・・あたしが守らないといけなかったのに・・・。」
「大丈夫だよ。今日は、家でゆっくり休んでて。
俺は冒険者ギルド行って状況確認してくるから。」
「・・・はい。」
やっぱり気にしてるよね・・・。
冒険者ギルドに行って、帰ったらフォローしておこう。
俺は、冒険者ギルドに向かい、どういう事になったのか確認しに行く。
ギルドマスターとブラントさんは、ギルドマスターの部屋にいるようだ。
さっきの奴らは、ギルド内のどこかの部屋にいるみたいだな。
とりあえず、ギルドマスターの部屋に移動して、
秘書っぽい人に話て部屋に入れて貰う。
「ハルト。」
「どうなったのか教えて貰えますか?」
「・・・ああ。ムカついて感情的にやったと言い張ってるが・・・嘘だろうな。」
「どういう事です?」
「あいつらは、レスリーの息がかかってる冒険者だ。」
はぁ。やっぱり・・・そんなのがいるんだね。
「レスリーの息がかかってる冒険者ってなんですか?」
「冒険者達の中に、いくつかグループがあるって話は前に少ししたよな。」
「ええ。東の盗賊の時ですね。」
「同じように、大きな商会なんかでは、私兵として専属で雇っている奴ら以外に、
なにかあった時に召集する臨時雇いの冒険者が何人かいる。
その中で、レスリー商会に囲われているグループだな。」
「冒険者村とのかかわりもある感じの人達って事ですか?」
「そうかもしれないな。冒険者村から戻って来た奴らって訳ではないがな。」
「冒険者村でも、レスリー派ってのがあったんで、それのアイカ版って事かな。」
「まあ、そんな所だろ。自分の所で必要な素材なんかを依頼して、
ギルドよりも高額で買い取る事で、グループを増やしているようだ。」
「なるほど。で、その手勢で露店を狙ったって事ですか。」