15.【2か月と23日目】露店2日目
「まあ、そういう事でいろいろ研究をしてほしいんだよ。
でも、家の事もやってほしいから、研究に何人か手伝いを付けるんで、
一緒にやって貰えたらと思ってるんだけどいいかな?」
「はい。私も研究してみたいです。」
「薬剤師を育てるつもりでやってほしいので、よろしくね。」
「はい。」
「そういえば、必要な機材とかあったら言ってね。」
「そうですね・・・。毒はどうしますか?」
「毒か・・・。今のところは考えなくていいかな。回復薬や増血薬なんかだけでいいかも。」
「分かりました。それでしたら薬草をすりつぶして、
混ぜるだけですので、道具も手持ちの物だけでなんとかなりそうですね。」
「レモンの汁絞る為に、ハンドジューサーとか、
自然乾燥する為の干場や、机・椅子なんかは用意しておくね。」
「ありがとうございます。」
これで、薬剤の方も進みそうだな。
とりあえず、改良薬が作れたら、ケニー商会に置いてもらう方向で考えよう。
当初は、受注生産になるかもだけど、まあその辺はケニーさんとの相談もだな。
リルと一緒に家に帰ったら、マディ達の明日の準備も終わったみたいだ。
夕飯をみんなで食べたら今日は終了かな。
夕飯後、少し狩りだけしてある程度狩ったら就寝する。
まだまだ、狩った獲物には余裕があり、解体待ちなので補充は必要ないんだが、
薬を作る為の素材の為に、魔獣をもう少し狩っておきたかったんだ。
どれくらい使うのか分からないからな。
翌朝も、5時に準備を始めて、冒険者ギルドに出発する。
今日は、400の肉を用意しているので、夕方までかかるんじゃないかとの予想だ。
ずっと付き合うよりも、ある程度一緒にいたら、後は任せてしまおうと思ってる。
たまに、様子を見に来るだけでいいかな。
他にもやりたい事が結構あるからな。
今日は、クシェルは家でマディの手伝いに残っているので、
店を出すのはアリーヤとファギーの2人だ。
2人には、念のため帯剣して貰ってるので、なにかあっても戦えるが、
そもそも戦闘はしたくないだろうから、出来れば護衛を雇いたいな。
早めに、ケニーさんに探して貰うようにしよう。
冒険者ギルド前に着いたら、もうエディは待っていた、
「おはよ!早いね。」
「おう!腹が減って早く来ちまった。」
「パンならすぐに渡せるけど、肉がいい?」
「肉!」
という事で、店を開けるのを手伝って貰って、さっそく肉を焼いていく。
1つ目の肉が焼けたら、エディに1つあげる。
「ほんとにうめえよな!夢で見ちまって、どうしょうも無くて早く来たからな!」
あら・・・それで早く来てたのか・・・。
「じゃあ、今日も1日よろしくお願いします。今日は400食がんばろう!」
「はい!」
準備が出来るのを待ち構えていたかのように、冒険者達がやって来た。
「おい!おはよう、ねえちゃん!」
「おはようございます。」
「今日も1個くれ!朝の気付けだ。
昨日これ食って狩りに出たら、獲物に当たったんで縁起がいいからな!」
「ありがとうございます。」
そんな話をしながら、次々に昨日買ってくれた冒険者が買いにくる。
さすがに2日連続で、大量に食べるほどの財力はないようで、
1つだけ買って大事そうに少しずつ食べている。
こんな感じの買い方の方がうれしいな。
継続しそうだからな。
人だかりが気になったのか、昨日買ってない冒険者も増えて来て、
昨日と同じくらいのペースで販売出来ている。
ギルドマスターは、今日は朝ご飯を抜いて来たそうで、
4つほど買って自分の部屋に持って帰っていった。
ブラントさんも、昨日と同じく出勤した時に4つほどお腹に収めてから出勤していった。
今日も、なかなか順調そうだな。
東門も開き、朝の売り上げが一旦落ち着いたくらいの時間に、
バーナードさんと、パーティーメンバー2人が来た。
足を怪我したと言っていたメンバーの人は、2人に肩を借りながら歩いている。
「おはよう。ハルトさん。」
「おはようございます。」
ケガをした人を見ると、左足の太ももから下が無かった。
他にも、各所にケガがあるようだ。
昨日は気が付かなったが、バーナードさんもケガしてるみたいだな。
アリとの闘いはかなり壮絶だったみたいだ。
「雇って貰えるかもしれないって事で話をしたんだが、チャンスを逃せないって事で、
無理して今日来ちまった。」
「大丈夫なんですか?顔色も悪いみたいですけど。」
「ああ。昨日から熱も出だしてな・・・。」
これは・・・ケニーさんに会って貰うにしても、今の状況じゃあ、あれだな・・・。
レモン入れても効果があるのか試す為にも、協力してもらうか。
「ちょっと移動しますけど、いけそうですか?」
「ああ・・・大丈夫だ。」
「無理そうなら、冒険者ギルドで荷車借りて引いて行ってもいいですけど・・・。」
「いや。俺達2人も一緒に行くから大丈夫だ。」
「分かりました。西区の職人街にある、俺の拠点に移動しましょう。」
「分かった。」