14.新しい魔法の回復薬
「宣伝用の、子供はジャックかエディですぐに用意出来ると思うので、
店舗開く時に聞いてみてください。」
「はい。ではさっそく、商業ギルドと冒険者ギルドに人員追加出してきますね。」
「お願いします。」
ケニーさんとの話も大体詰めれたので、一旦家に帰ってみんなにも相談かな。
加工工場の亜空間から家に戻る。
マディ達は、まだ下ごしらえを行っているようだ。
「マディ、クシェル、アリーヤ、ファギー。作業中で悪いんだけど少し話していいかな?」
「はい。」
「いま、露店用の加工工場の確保が出来たので、案内と今後の流れの話をしておきたい。」
「まあ、加工工場ですか?」
「下ごしらえ専用の場所なので、広く使えるし専用の道具も揃えれるので、
加工が楽になるはずだよ。」
「それはいいですね。」
そのまま、4人を連れて加工工場に移動する。
「ここが、下ごしらえを行う為の場所です。」
「広いですね~。」
「うん。これだけ広かったら、いろいろ同時に出来そうですね。」
「まだ、用具を作ってないのでこれから作るんで、
何がどれくらいいるか意見が欲しいと思ってね。」
「分かりました。出す料理は決まってるんですか?」
「一応、案としては、
・ヘビ肉肉団子の野菜スープ
・シカモツ肉の野菜炒め
・オオカミ肉の煮込みを使ったネギ焼き
・シカ肉焼き
・ウサギ肉ステーキ
って考えてるんだけど・・・出来るだけいろんな肉を使ってしまいたい。」
「分かりました、そしたら・・・・」
マディと相談しながら、かまどの数や作業場所を分けたり、導線を考えたりしながら、
用具なんかを揃えて行く。
明日の下ごしらえもあるので、クシェル達には先に戻って貰って、
マディと二人で調理場を整えて行く。
「ふぅ。こんなもんかな?」
「そうですね。大体これで作業出来そうですね。」
「細かい部分は、人が入ってきてから徐々に調整していこうか。」
「はい。」
「明日からは、マディもここ使って下ごしらえして貰っていいので、よろしくね。」
「はい!ありがとうございます。」
マディには、戻って貰い次はリルを連れて来て、薬剤部屋の作り込みを行う。
「まあ!薬剤用のお部屋なんですね!」
「うん。これから薬剤も作って売れればいいなと思ってるんで、研究をしてほしいんだよ。」
「魔法薬ですか?」
「そうだね。日持ちする魔法薬を作ってほしい。」
「日持ちする魔法薬ですか!?」
魔法の回復薬は、通常3日程度しか持たず、それ以降は徐々に効果が薄れて行くようだ。
前に、リルに試しに作って貰った物を、時間経過で観察した所、
魔力が抜けて行くというよりは、薬草が腐ってしまうようなので、
薬草が腐りにくくなれば、日持ちもするんじゃないかと考えている。
要は、食品を日持ちさせるのと同じ感覚で、
改善出来るんじゃないかというのが俺の発想だ。
「日持ちさせる方法としていくつか考えている手があるんだ。」
「まあ!さすがハルト様!」
「出来るかどうかは、いろいろ検討が必要なんだけど、
・乾燥した魔法薬を作る
・軟膏を作る
・保存料を入れる
くらいかな。」
「なるほど。」
「乾燥は、薬草と魔力のある素材とを混ぜてから、
乾燥させる事が出来るかどうかの検討になるかな。
粉末にして水で溶いてから使うみたいなのが出来れば、
結構な日数行けそうだけど、見当も結構かかりそうかな。
軟膏については、動物油か、植物油に混ぜる事でドロドロにすることで、
空気に触れる事を少なくして、腐るのを遅らせる事が出来るはず。
これも結構な日数持つと思うけど、使い勝手が変わるのでそっちも含めて検討かな。
最後の保存料は、きっと一番簡単で、
レモンの汁を配合してあげる事で日持ちするんじゃないかと思ってるので、
試してみるだけで出来そうかな。」
リルは、驚愕の表情で、
「・・・すごい・・・ですね。今まで何世代もかけて考えられてきた魔法薬の改善方法を、
そんなに次々に、思いつかれるなんて・・・。」
「いや、多分レモンとかは、今までにも試した人はいると思うよ。
門外不悉の秘密にされちゃって、誰にも伝わってないだけで・・・。
情報が開示されないので知らないけど、
ちょっとした改善は薬剤師それぞれが行ってたんだと思うよ。」
「そうかもしれませんが、それを思いつく薬剤師は少ないと思います。」
まあ、そうかもしれないな。
前提の知識が違うから・・・。
それに、やはり代々受け継がれている知識を改変する気質って言うのは、
異端扱いされるから嫌われるだろうしな。
この世界の人々は、代々とか昔からっていう物に対して保守的な部分が強いイメージだ。
いや、情報化社会になる前の日本でも同じだったのかもしれないな。
理由も分からず入ったらダメな場所があったり、
間違った風習が代々引き継がれて来たってのは一緒だもんな。
それはそれで、悪い面ばかりでもなんだけどね。