11.王国への報告
「あと、明日からは400食売ろうと思ってるけど、大丈夫かな?」
「え!・・・はい!
クシェル肉叩くから準備して!アリーヤは調味料の準備!ファギーは肉出して!」
あ・・・やっぱり大変なんだ・・・。
でも、売れるだけ準備しておきたいからね。
「ごめんね。忙しいけどよろしくお願いするね。
余計に作った分は俺の亜空間に保存しておくから言ってね。」
「はい。作れるだけ作っておきます。」
お昼ご飯を終えた俺は、ケニーさんの所に話をしようと町に戻るが、
まだケニーさんは商業ギルドにいる様だ。
仕方ないので、冒険者ギルドに先に行こう。
ギルドマスターの所に行き、進捗の確認をしておく。
「いま、討伐に行く冒険者を募ってる所だ。
騎士団には報告を行って、返事は明日だろうな。
お前の事も併せて報告しておいた。
上層部ではかなり大事になってるので、ヘタしたら討伐の方が後回しになるかもしれん。」
「あらら・・・。なんて報告したんです?」
「大銀ランクのハルトって冒険者が、魔法を使ってるって噂があるって。」
「それで大騒ぎになるんです?」
「別の筋からも、その話が来てたようで確証が取れた感じっぽいな。」
「なるほど。で、討伐とか招集とかその辺はどうなんです?」
「お前を招集するにしても、お前は大銀になるほどの魔法使いだ。
それに、あっちからの話は凶悪な感じじゃないのか?
なので、抵抗された時の準備をしてから招集されるはずだから、
1~2週間くらいは後になるんじゃないかな。」
「う~ん。じゃあ、動きはもう少し後からになりそうなんですか?」
「そうだな・・・。だが・・いいのか?本格的に動き出してるぞ。」
「そうですね・・・。向こうが動き出す前にこの町を出た方がいいかもしれませんね。
露店の方もケニーさんに任せれそうだし。
何処に行こうかな・・・。ウィダスかな・・・。
行った事のない、王都でもいいかな~。」
「王都は、辞めておいた方がいいぞ。お前の話は出回っているだろうしな。
門から中に入った途端に、騎士団に話が回るはずだ。」
「確かに・・・なら、北の港町に行ってみよっかな。」
「ポスタリアか・・・。いいかも知れんな。もしもの時には北の開拓村にも行きやすいしな。
ここからなら、7日ほどで行けるはずだ。」
7日って事は、1日が40km程度だから、大体280kmくらいか。
俺なら、半日くらいで行けそうかな・・・。
「じゃあ、露店だけ落ち着いたら、早めに出るようにします。」
「ああ。分かった。・・・戻っては・・・こないんだな。」
「そうですね。多分・・・。
でも、ケニーさんに伝言貰えれば連絡取れるんで、
何かあったら情報流して貰えれると助かります。」
「そうなのか?」
「ええ。」
ギルドに来たついでに、あれも頼んでおこうかな。
俺は、ブラントさんの所に行く。
「ブラントさん。」
「おお!ハルト、露店はどうだ?」
「もう、売切れて店閉めました。」
「早えな・・。あれだけうまいと売れるのも早いよな。」
「いま、時間あったりします?」
「ああ。大丈夫だぞ。」
「1つお願いがあったりします。」
「なんだ?」
「多分すぐにって訳でも無いとは思うんですけど、クシェル達3人に稽古をつけてほしいのです。」
「クシェル達って言うと、さっき露店で働いてた姉ちゃん達か?」
「ええ。対人特化の稽古をつけてほしいのです。」
「別に構わねえが、あいつら冒険者なのか?」
「元々は、狩り専門の冒険者だったんですが、東の盗賊の囚われて、
それで冒険者廃業して俺の所に来ています。」
「ランクは?」
「銅ランクだったんですけど、もうすぐ大銅ランクに上がるはずです。」
「なんで、そんな奴を鍛えようと?」
「露店も危険がいっぱいなので・・・と言うのもあるのですが、
彼女らが獣と戦う事は無いとは思うんですが、人と戦う事はあるかもしれない。
その為の備えと言うか、あとは少し実験と言うか。」
「実験?ちょっと不穏な話だが・・。」
「正直に言うと・・・。
実は、俺の考案した武器や、防具って言うのも、売り出そうと思ってます。」
「なるほど・・・。そういう事か。」
「その為にも、ある程度の腕も必要ですし、
ブラントさんが認めた武器・防具的なのも売り言葉としてはあるのかもと思って。」
「了解だ。借りもある事だしな。」
「時間が出来たら来させるようにしますので、よろしくお願いします。」
「ああ。」
ケニーさんが、商会の方に戻ってそうなので、俺も移動してケニー商会にお邪魔する。
「ケニーさん」
「ああ。ハルトさん。いま加工工場用の建物を借りてきましたよ。」
「おお。早いですね。改装が必要でしょうから、使えるようになったら教えてください。」
「もう、受け渡しも終わってるんで今からでも使えますよ。」
「そうですか。じゃあ、ちょっと話もあるので一緒にいきませんか?」
「分かりました。あと、人員についても、何人か商業ギルドから紹介がありましたので、
その人たちを近い内雇っていきますね。」
早いな・・さすが商人だ。
ケニーさんと2人で、加工工場に移動する。
加工工場は、冒険者ギルドがある区画にあり、俺の住んでいた路地の近所にある。
加工工場は、今の倉庫と同程度の大きさの建物だ。
だが、倉庫と違って、天井がかなり高く作られているようだ。