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無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
5.魔法使いのお店
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9.初めての露店(2)


今の時間はギルドの出勤ラッシュなのか、しばらくすると今度は、

「ハルト!なにしてるんだ?」

「あ。ブラントさん。」

「露店してます。」

「なんか、ギルドマスターと話してたあれか。」

「1個買っていきませんか?」

「・・・そうだな。1個くれ。」

「まいどありです~。」


ブラントさんはシカ肉を受け取って、豪快にかじり付く。

「!!うめえ!なんだ・・うめえ!おい!うめえ!」

「でしょ~。いくらでも買ってくれていいんですよ~。」

「ああ。もう1個くれ。」

結局ブラントさんは、4つもシカ肉食ってからギルドに入って行った。


と思ったら交代で、ギルドマスターが走って来た。

「ハルト!なんだこれ!うますぎるぞ!まさかお前。」

俺の耳元に口を寄せ、

「魔法でなんかしやがったのか?」

「いいえ。そのままの味ですし、そんな魔法知りません。」

「このうまさはなんだ。俺は貴族様の食事も食った事あるんだぞ。

それなのに、こっちの方が格段にうまいって。」

「いいでしょ~。露店を許可して良かったでしょ?」

「・・・ああ確かに・・これがいつでも食えるって言うのはいいな。」


「今日は、200食だけ用意しているんで、売切れたら締めて帰る予定ですけどね。」

「こんなうまさじゃ、200なんてすぐに売り切れるんじゃないのか?」

「まあ、初日ですからね。」


確かに、ギルドマスターやブラントさん、昨日の冒険者なんかと話しているうちに、

もう50食は売れたんじゃないかな。

買ってくれる人数は少ないけど、1人当たりの消費量が多い。

客単価が高いってやつだな。

良い傾向なんだけど、客の持ち金が少ないはずなのに、これでは危険もはらんでるんだよな。


・・・もうちょっと様子見るか。

あと、昼までは営業したいなあ。

無くなったら誰かに走って貰って明日用に準備している、

シカ肉を取って来て貰うって言うのもありかもな。


東門が開くまで、何人かの冒険者が興味を持って買いに来てくれたが、

東門が開くとぱったりと客足が止まった。


冒険者の出発時間が終わったので、次は外に出ない冒険者が集まる、

7時くらいまで一旦止まりそうだな。


「あれ?ハルトさんじゃないですか?」

見ると、何となく見覚えあるけど・・・誰だっけ?

「バーナードです。熊の時の。」


ああ!俺が冒険者ギルドに登録する為に、狩った熊をギルドまで運んでくれた冒険者だ。

「ああ!お久しぶりですね。」

「何してるんですか?」

「ここの露店の営業してます。よかったら食べていきませんか?」

「おいしそうな匂いですね。分かりました1つください。」

シカ肉を渡して、お金を受け取る。


バーナードはシカ肉を頬張ると、

「うまい!すっごいうまい!」

「そうでしょ~。これから毎日売ってますので、買ってくださいね~。」

「おお!そうなんですか。これはうまいな。帰ってからの楽しみが増えたな。」


「そういえば、今日はお1人なんですか?」


バーナードさんは少し暗い顔をして、

「ええ。この間魔獣に見つかってしまって・・・。

パーティーメンバーの内1人が死んで、1人は足をケガしちまってな。

もう1人は、見舞いに行ってるんで、今日は俺1人なんだよ。」

「そうですか・・・。残念でしたね。」


「まあ、全滅までしなかったのが奇跡みたいなもんでな。

アリの魔獣数匹に見つかっちまったんだ。」

「アリの魔獣に・・・。」

「あいつが抑えてくれなかったら、全員死んでただろうな。」

「ケガされている方はどうしてるんですか?」

「ああ。あいつはもう戦いは無理だろうって事だから、パーティーからは外れて、

他の仕事を探してる所だ。まだ、完治してる訳でもないしな。」

「そうですか。銀ランクまでなったのに勿体ないですね。」

「そうだな。今は座ってても出来るような仕事を探している所だ。」


「う~ん。例えばですが、うちの露店の護衛なんて仕事出来ると思いますか?」

「露店の護衛か?・・・戦えねえからな・・。

でも、銀ランクにケンカ売る奴はそうそういねえだろうしな。

行けるかもしれないし、行けないかもしれないな。

雇ってくれるのか?」

「護衛か、売り子かで良ければ雇う事は可能ですよ。」

「おお!それはうれしい話だな。

例え銀とは言え冒険者崩れに仕事なんてないんで、本当に助かる。」


これからの人員は、ケニーさんにお願いする形なので、そっちで仕切って貰わないとだな。

「ケニー商会で雇えると思うので、来れるようになったら、ケニー商会に来てください。」


そう言いながら、ケニーさんの方をみる。

「そうですね。護衛が出来そうなら専属でもいいのですが、

難しそうなら売り子として雇う形になりますね。」


「分かった。ありがと!今からちょっと行って話して来る。

明日からとかは無理かも知れねえが、早いうちに顔を出させるよ。」

「あ・・朝5時半から昼くらいなら、ここに居るかもしれないのでこっちでもいいですよ。

仕事の内容も見れるだろうと思うし、アリーヤのやってる仕事をやってもらうので。」

「分かった。」

バーナードは、そのまま走って貧民街の方に向かって行った。


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