表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無限の魔法使い  作者: 志野 勇希
5.魔法使いのお店
122/223

8.【2か月と22日目】初めての露店(1)


翌朝、5時に倉庫に集合する。

いよいよ、本格的に商売を始めるんだ。

生活の安定を求めてるだけなんだけど、こう言った事が出来るのも楽しいし。

一緒に暮らしている仲間が、それぞれの仕事をして一緒に作り上げていく。

これが成功出来れば、生活の安定はほぼ確保出来そうだ。


みんなで準備して、倉庫から冒険者ギルド前に屋台を引っ張って移動する。

屋台は、ファギー1人で引いているが、

普通は2人くらいで引っ張るくらいの重さだと思うんだけど・・・。


冒険者ギルド前の道を挟んだ向かい側に陣取り、そこで準備を始める。

ジャックに紹介して貰ったエディも、ちゃんと来てくれてたのでやる事を説明する。

「露店の準備が出来たら売り出すから、大きな声でシカ肉焼き大銅貨1枚です!って、

何回も叫んでほしいんだよ。」

「それだけで、飯食わせてくれるのか?」

「うん。途中でしんどくなったら、休憩してもいいけど、

出来るだけ新しい人が来たら、叫んでほしい。」

「分かった。」


露店の準備も終わって、肉を焼き始める。

肉を焼き始めると、食欲をそそるいい匂いがあたりに漂い始める。

朝ごはん食ったけど、俺も欲しくなってきたよ。


時間的には5時半くらいなので、まだ東門は開いていない。

早朝出発で、東門の前に集合している冒険者が多く集まっている時間帯を狙った。


一つ目のシカ肉が焼き終わったら、宣伝してくれるエディにあげる。

「エディどうぞ。朝ご飯だ。食べらた宣伝お願いね。」

「お・・・。ありがとう。」

すぐに、かぶり付くと、

「!!うまい!」

あっという間に全部食べてしまい、皿までなめてる。

「今日の仕事が終わったら、また食事あげるからがんばってね。」

「おう!がんばる!」

すぐに、大きな声で宣伝を叫びだしてくれた。


あとの露店作業は、クシェル達に任せて俺は横で見ているだけにする。

俺があんまり関わってるって、印象付けしたくないからだ。


ケニーさんがやって来た。

「おはよう。ハルトさん。」

「おはようございます。」

「これから開店ですか?」

「はい。これからですね。」


ケニーさんは露店を見るとすぐに、

「おお!私の紋章ですね!こんなにきれいに仕上がるものですか。」


ケニーさんは、紋章の掛かれたシーツを触って、

「これは、布を染めて紋章を描いているのですが?!」

「ええ。昨日頑張りました。」

「また、なんと惜しげもなくこんな技術を・・・。」

ケニーさんは、真剣に布を確認している。


匂いにつられて、冒険者のパーティー数人が露店に向かって来た。

浮浪児の子に叫んで貰ってるので、値段も分かって来てくれてるんだろう。

「こんな所で露店なんて初めて見たんだが?」

「はい。今日から始めました。」

アリーヤが愛想よく回答している。


「ギルドの前で商売を始めてもいい物なのか?」

「ええ。ギルドには許可をいただいて営業しています。」

「ん?ギルドの許可なんて降りねえだろ。本気で言ってるのか?」


あ。。面倒くさい系の人だった・・・幸先悪いな。

「ギルドマスターに許可いただいていますよ。これが許可書です。」

ケニーさんが許可書を見せながら会話にはいっていく。

「ん?・・本物みたいだな・・。」

「ええ。もちろんです。こんな所で嘘ついてもすぐにばれますしね。」


冒険者は、そのままなにも買わずに東門に戻って行った。

「え・・。いちゃもんだけ付けて、なにも買わないの!?」

「みたいですね・・・。」

まあ、そういう人もいるんだろうね・・・。


また、他の冒険者数人が近づいて来て、露店の前に来ると、

「お!昨日のねえちゃん!ほんとに売ってるじゃねえか。」

「いらっしゃいませ。」


昨日、1番目の宿場で買ってくれた冒険者だ。

「護衛の報酬で少し潤ったから、今日も食わせてくれ!

おい、お前らも食ってみろよ!高いけど、むちゃくちゃうまいんだ!」

連れてた、パーティーにも勧めてくれて、いくつかシカ肉が売れていく。

そして・・・絶賛される!

串も、抵抗なく使って貰えるようだ。


この冒険者が呼び水になってくれたようで、次々に冒険者が来てくれて買ってくれる。

並ぶほどまではいかないが、同じ人がいくつも買ってくれるので、

良いペースで売れている。


「おお!ハルト。もう始めてたのか?」

「あ。ギルドマスター。」


そう声をかけると、周りの冒険者は一気にこっちに注目する。

「食べて行きます?」

「いや。朝飯食ったとこだし、仕事が始まるからな。昼飯に来させてもらうよ。」

「了解です・・・。って、お昼まで残ってればいいですね。」


「そんな売れてるのか?」

「これからですが、きっと昼までには無くなるかも。」

「そんなに売れてるのか・・・。分かった1個くれ。」

「まいどありです。」

シカ肉を渡すと、ギルドマスターはそれを持って、自分の部屋に出勤していった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ