4.フランシスとブラント
備え付けのバーベキューコンロで、食材なんかも一緒に運ぶので、
荷物も載せれるようにする必要がある。
この世界の荷車はそんなに頑丈でもないし、車部分もあまりいい構造してない。
タイヤに、ゴムもついてないので振動もすごいしね。
この辺りやり過ぎない程度に作って行く。
タイヤには、皮を張って振動を少なくする。
タイヤの接合部分と軸は、鉄製にして頑丈に回転するための摩擦抵抗を少なくして、
車の進みの抵抗感を減らす。
荷車と荷物の間にスプリングを作って、衝撃を上部の荷物部分に行かないようにする。
また、車輪にギア状のものを付け、
レバーの位置によって一方向にしか車輪が回らないようにする。
これは、坂道とかを上る時に重さで戻ってしまわないための機能だ。
さらに、露店中に勝手に動かないようにも出来る。
ここまでやると結構重量が上がってしまうのだが、改善が思いつかない。
重くなっても、抵抗が少なくなったので、前に進むのには苦労しないだろう。
あとは、余計な物を少しでも減らし、鉄部分を最低限にするようにする。
骨組みが出来たので、バーベキューコンロを備え付けて、炭の入れ場所、
食材の置き場、その他備品を入れる部分、お金なんかを入れておく所など付けて行く。
調理は、屋台の後ろ側でおこない、販売は屋台の前で行うので、
動線を考えて細かい修正を行っていく。
あとは・・・。看板だな・・・。
看板の内容は、「シカ肉焼き」でいいとは思うんだけど・・・。
ケニー商会を前面に押し出したいな。
ケニー商会のロゴ的な物があればいいんだけど・・・紋章みたいなのってないのかな?
ちょっと聞いて来るか。
って所で、ブラントさんが来たっぽいな。
なので、ケニーさんの所に行くのは戻って来てからか。
「ブラントンさんどうぞ。」
ブラントンさんが、倉庫の扉をノックしたので、迎えてあげる。
ブラントさんは倉庫の中に入って、周りを見渡し、
「・・・ここはなんなんだ?」
「俺の、この町での拠点ってとこですね。」
「かまどなんかもあるって事は、ここで生活してるのか?」
「ここは、基本作業場って感じですね。いろんな作業をするのに使ってます。」
「・・・という事は、ここ以外にもあるって事か。」
「そうですね。準備はいいですか?」
「ああ。大丈夫だ。」
「では、」
俺は、その場に亜空間を出し、
「ブラントさんこの中に入ってください。
付いたら声かけるので、大人しく待ってて貰えれば。」
「!!」
ブラントさんは固まってるな・・まあ仕方ないか。
「ブラントさん!」
「・・あ、ああ。」
ブラントさんが入ったのを確認して、亜空間を閉じる。
そして、俺はウィダス2番目の宿場近くの地下部屋につながる亜空間を開けて移動する。
そこから、追い風の魔法で冒険者村を目指す。
サーチすると、フランシスはいるようなので、そのままフランシスの家に飛び込む。
入り口の護衛はびっくりしているけど、気にせずそのまま中に入っていく。
「フランシス!」
「ハルト様。どうしたのでしょうか?」
「まずはこれを。ギルドマスターから出して貰ったので使ってくれ。」
「これは!指名依頼ですか。開拓村への開拓指示・・・。ありがとうございます!」
「これで、ヘタに攻撃されずに開拓村に行けるし、
行く人間に対して説得材料になるだろう。」
「はい!これは・・・本当に助かります。」
「あと、もう一個お土産があるんだけど・・・。」
「はい?」
俺は、亜空間を出すと、ブラントさんを呼びこむ。
「師匠!」
「この・・・バカモノが!!」
ブラントさんは、有無を言わさず、フランシスの頭を思いっきり殴る。
フランシスは吹っ飛び、後ろの棚にぶつかり倒れ込む。
「こっちは、激しいお土産になっちゃったな・・・。」
「師匠・・・。本当にすみませんでした!」
「すみませんで済むか!なんて事してるんだ!なんでこんな事になる前に俺に相談しねぇ!」
「すみません!本当にすみません!」
フランシスは、泣きながらブラントさんに謝っている。
「もしも、ハルトに見つかったんじゃなかったら、お前は討伐されてたんだぞ!
しかも俺にだった可能性が非常に高い!」
「!!」
「なんで、弟子を討伐なんてするような状況にならないといけないだ!
目先の事だけでなく、しっかりと目標を見定めろとあれほど口を酸っぱく言ってたのに、
お前はなんの反省もしてなかったんだな!」
「すみません・・・・。」
「まあ、ハルトのおかげで討伐は免れ、開拓村に行ける事になった幸運を大事にして、
開拓村でしっかりと働くように!同じ過ちは犯すんじゃないぞ!」
「はい!今度こそ必ず!」
「ハルト・・ありがとう。」
「いえ。ついでなので・・・。では、帰りますか?」
「ああ。」
「あ。そうだフランシス。討伐隊は7日後くらいだそうです。
鉢合わせも考えてもっと早めに出てください。」
「はい。」