40.フランシスの報告
俺は、ハンドジューサーを鉄で作成する。
鏡面加工にしておいて、汚れにくくしておく。
ミカンやレモンを絞るのに、先に絞り器が付いていて片手で絞れる奴だ
昔バーでバイトしてた時にフレッシュジュースやレモン汁を使う時によく使った。
あとは、リンゴやナシは固いので、すりおろし器を作ってあげる。
「柔らかいフルーツは、ハンドジューサーで絞って、硬い物はおろし金でおろしたらいいよ。
後、どれをどれくらいを混ぜるって言うのが、味の決め手だからいろいろ試行錯誤してほしい。
ミントを入れて上げると、良い香りが付くのでそれも試してみてほしい。」
「はい。ありがとうございます。いろいろ試してみますね。」
マディは、ほんとに料理のレシピが増えると嬉しそうにする。
きっとしばらくはフルーツジュースが大量生産されるんだろうな。
慣れて来たら、野菜ジュースも教えてみよう。
魚も捌き方とか教えたら、これも魚三昧になりそうだな。
俺は、夕飯とお風呂を済ませ、フランシスの所にお邪魔しに行く。
2番目の宿場近所に作った亜空間の入り口から出て、2番目の宿場の様子を見ると、
何だか、騒がしい感じになっている。
かがり火も焚かれており、物々しい雰囲気になっている。
聞き耳魔法で話している内容を聞くと、ケニーさんを探しているようだ。
俺に撃退された後に、応援が到着したらしい。
なんでも、レスリーの依頼を反故には出来ないらしく、
ケニーさんを始末しようと、必死で探しているようだ。
ウィダスにも、1番目の宿場にも部隊を送って捜索しているそうだ。
ウィダス側か・・・戻って確認するかな?
いや・・。フランシスの話を聞いてから戻るか、情報が先に欲しいな。
俺に脅された後のフランシスがレスリーの依頼にこだわるとも思えないので、
敵の規模の確認の為にも先に話だな。
だが急がないと。ケニーさんは魔法で守れるけど、ケニーさんの両親が心配だ。
巻き込まれないとも限らない。
俺は、冒険者村に向かって移動を開始する。
冒険者村まで追い風で進み、フランシスのいる場所を探しその家に向かう。
フランシスは、大きな家に数人の側近と一緒にいるようだ。
家の前には護衛が2人ほどいるので、目の前に歩いて行って、
「フランシスに用がある。ハルトが来たと伝えてくれ。」
「ん?ガキじゃないのか?フランシス様を呼び捨てとはふざけた奴だな。」
面倒だな・・・急いでるのに。
そのまま俺は護衛を無視して中に入っていく。
「おい!待てここはガキの入っていい所じゃない!」
護衛は、俺の肩を掴もうと手を出して来るが、反射の魔法で弾かれて触れない。
そのまま俺は気にせず、奥に入っていく。
騒ぎに気が付いたのか、中から数人が出て来て俺を見る。
「ハルト様!」
俺の姿を見て、フランシスが声をかけた事で周りの全員が、知り合いだと分かったようだ。
「フランシス様、誰ですか?」
だが、俺は気にせずフランシスに声をかける。
「フランシス。状況を聞きに来た。急いでるから要点だけでいい。」
「はい。」
フランシスも他の人達の声は無視して俺に返す。
「住民600人ほどが、アイカの町に行く事に同意し、移動の準備を始めています。」
「他は、お尋ね者って事か?」
「残り400人ほどが、何らかの指名手配されています。
その他は元々の農村の人達と、後から来た農民です。」
「後から来た農民?」
「冒険者村が出来た事で、安全に農業や商売が出来るという事で、
各所から集まって来ました。」
「なるほど。じゃあその400人が開拓村に?」
「いえ。開拓村に移動するのに同意してくれたのは200人程です。」
「残りは?」
「レスリーに頼れば、攻撃も無いはずだとレスリーの依頼をこなしに奔走しています。」
「なるほど。それがケニーさんを攻撃しようとしたわけか。
今朝も16人ほど襲い掛かって来たので無力化している。」
「やはりですか・・。」
「で、その200人もここに居るのか?」
「いえ。あいつらは2番目の宿場にケニーがいるという俺の話を聞いてそこに向かいました。」
「200人全員でか?」
「はい。正確に200いる訳ではないですが・・・。」
なるほど、それで1番目の宿場やウィダスなんかに部隊を派遣出来たのか。
ただ、2番目の宿場にいるのは厄介だな・・。どうやってアイカに帰ろうかな。
「その200人については、どうなってもいいって事でいいんだな?」
「はい。説得に応じる気はないし、レスリーにも見放されるでしょうから、
盗賊に落ちるしかないような奴らです。」
「そっちで面倒を見る事も出来ないって事か。」
「申し訳ありません。我々も、移動準備だけで手いっぱいで、
あいつらに人員を割く事も出来ない状態です。」
「まあ、そうだろうな。下手に戦闘している時間があるなら、移動を優先してくれ。
犠牲は少ない方がいい。
あと、農民についても、討伐が終わるまでは移動しておくように話しておいてくれ。
巻き込まれる可能性があるからな。」
「はい。了解しました。」
「状況は分かった。邪魔したな。」
俺は、それだけ聞くとフランシスの家を出てすぐにウィダスに戻る。
ウィダスの門は、もう大分前に閉まっているので、この時間に入って来る事は出来ないはずだ。
そうなると、もうウィダスの中に潜伏している可能性もあるな。
単純に1/3が来るなら60人規模か。
サーチをしてみても、ケニーさんの家には何も来ていなさそうだ。
ん?ウィダスから2番目の宿場に戻っていく集団があるな。
40人ほどだから、数的にありえそうだけど、2番目の宿場に向かっている意味が分らないな。
ウィダスに入れなかっただけなら、野営でもして明日の朝に入るだろうに、
2番目の宿場に移動しているのは理解しがたいな。
これはなんか違和感かな。
ちょっと情報収集してみようか。