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✧ 詩 ✧   祈り

星のかけら


「わたしは星のかけら……」 

 満開のコスモスに包まれて永遠に目を閉じて

 それは彼女の最後の言葉


「寂しくなんかないさ。そうだろう?」

 あいつはにっこり笑ってシリウスを仰ぎ見て

 永遠の川を渡った


 二人とも覚えているか?

 三人で流星を見に行ったあの夜を

 コスモスの咲く丘で言ったことを

   

「俺たち、粉々になった星なんだぜ」


「宇宙に散らばった星のかけらで作られた新しい星なの、わたしたち」


 今も鮮明に覚えている

 東の空に昇ったばかりのシリウスとプロキオンが

 馬鹿みたいに眩しかったことを

 

 H、O、C、N、P、S

 N a、C a、K、C l、Mg

 F e、Z n、C u

 F、I、S e、S i、B

 As、Mn、M o、C o、Cr、V、N i、Cd、Sn、Pb……


 あれから何年経つのだろう

 満開のコスモスに囲まれてひとりぼっちの夜明け前

 昇り始めたばかりのシリウスとプロキオンを前に、ふと気付いた

 僕の頭上にはずっと前から君たちがいたことに

 

 星たちは草原を埋め尽くしたコスモスを青い光で照らす

 可憐に咲く花の群れは俺を包んで青い波のように揺れる


 教えてほしい

 僕は今、輝いているのか、それとも闇なのかを

 

 いや、いいんだ

 愚かな問いだった

 遠慮なく笑ってくれ、幸せだったあの日のように


 僕は大事なことを忘れていたんだ

 僕が君たちを忘れたことがないように

 君たちも決して僕を見失うことはないことを


 あの日、おまえたちが言っていたことの意味が

 今、やっとわかったよ


 僕たちは今も同じ宇宙にあって

 今を共に生きる、輝く光


 そうだろう?







       ☆





                ☆


    

  ☆









 秋―― 夜明け前の東の空に冬の大三角(シリウス、プロキオン、ベテルギウス)

が戻ってきました。








 

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