3 主神と女神と棒人間と
唸りを上げるメイドの攻撃をヒョイギリ避けながら、訝しむ棒人間。
(こんなんでいいのかよ。気の向くままにやってみたが。
――って危ねぇ! かすった。
人が出せる出力じゃ無いんだが。あのメイド、狂戦士か。
魔法でも使ってる訳じゃあるめぇし。)
心の中で一人つぶやく。
返事がないはずだった。
が、問いかけに声が答えた。
【引き出しのことを伝えられたならば、それで良い。
あと其奴は、身体強化魔法 《バーサーク》を使用している】
頭の中に直接声が響く。
だが棒人間は、
それに少しも動揺せず、念じた。
(いじりがいがある女神サマじゃなくて、あんたか)
【あいつはあいつで忙しい。……あと10分持たせろ】唸りを上げるメイドの攻撃をヒョイギリ避けながら、訝しむ棒人間。
(こんなんでいいのかよ。気の向くままにやってみたが。
――って危ねぇ! かすった。
人が出せる出力じゃ無いんだが。あのメイド、狂戦士か。
魔法でも使ってる訳じゃあるめぇし。)
心の中で一人つぶやく。
返事がないはずだった。
が、問いかけに声が答えた。
【引き出しのことを伝えられたならば、それで良い。
あと其奴は、身体強化魔法 《バーサーク》を使用している】
頭の中に直接声が響く。
だが棒人間は、
それに少しも動揺せず、念じた。
(いじりがいがある女神サマじゃなくて、あんたか)
【あいつはあいつで忙しい。……あと10分持たせろ】
(しょうがねぇなぁ、わかったよ………これ一発
(しょうがねぇなぁ、わかったよ………これ一発でももらったら俺、死ぬんじゃねぇか?
まあ、当たらなければどうということはないか)
† † †
時は幾許か巻き戻る。
† † †
「……――さい」「―きなさい」「おきなさい」
誰だよ、俺を呼ぶのは。
……真っ暗じゃねぇか。
あ、目閉じたままだった。
目ぇ開けるわ。
筋肉ムキムキでパンツ一丁のマッチョメンにブーメランを取る、胸筋を強調するポーズ変態だった。
待て待て、おかしい。混乱している。
ブーメランパンツ一丁で胸筋を強調するポーズを取る、筋肉ムキムキのマッチョメンの変態がいた。
……おやすみ、ちょっと深淵の向こうに旅立ってくる。
「え。えぇ!? ちょっとまって。待って、待ってください!」
あのマッチョが喋ってると思うと気色悪いほど可憐な声だな。
でも、待たない。待てない。
俺はもう………なんだ?
まあいい。忘れるようなものなら大切じゃないだろ。
じゃあお休
「ねぇ、起きてってば、目開けてってば、ねぇ」
うるさいなぁ。わかったよ。
はあ、うん、やっぱいるわ。
あの変態マッチョ上腕二頭筋を強調してやがる。
なんかよくわからない汁で、テカテカ光ってやがる。
目がヤバい。
このままだと腐る。腐り落ちる。
目の保養ができるものはないか。
……あったわ。
変態マッチョの隣にあった。
気づくはずないだろ。
『アレ』見ないようにしてんだから。
このままだと目がやばいから、もちろんガン見一択。
ジー。ビクッ。
艶やかでなまめかしい光沢を帯びる黒い着物を纏った、
まだ幼さが残る顔立ちの芳紀――美しく若い女性がいた。
ジー。ソワソワ。
年は十六、十七歳ぐらいだろうか。
ジー。オドオド。
さっき、声をかけてきたのは、多分こいつだ。
こいつであってほしい。
うーん、
さっきからオドオドしてるな、小動物みたいに。
それに比べて
あの筋肉ときたら……
こうなったら、
あの小動物をオドオドさせ続けるしかあるまい!
『それぐらいにしてやってくれ。進が話―――――――話が進まない』
ギャァァアァアア、
キンニク、シャベッタァァアアァァ!!
マジかよ。ああビックリしたわ。
でも、『アレ』に驚かされたと思うと、
少し癪に障る。
ええい、報復だ。
「おまえ、頭の中までの筋肉たっぷりかと思ったら、存外喋る程度の能はあったんだな」
ップ。
ん? 今、誰か笑ったか。
1人と1匹は笑ってないな。もう1人いる?
…暗幕の向こうにいるな。
笑いこらえてやがる。ありゃ、天使か?
だとすると、この1人と1匹は神様か?
ともかく、あいつとはいい酒が飲めそうだ。
……待て。暗幕なんてはじめからあったか?
…………筋肉のせいで、
記憶があやふやになっていやがる。
『天使はもういない。移動させた。装内――内装は勝手に変わる。気にしない方がいい』
「お父様!! 脳筋と言われた事をお気にかけてくださいっ。配下の天使に笑われたこともです! 常人と異なる考えをお持ちでも、それぐらいはお願いしますよ!!」
親子かよ!!!
マジか。
どうやったら『アレ』から、この女神ができるんだ。人間の神秘だな──人間かあれ?
まあいい。それよりも、
「それ、脳筋って認めてるようなもんだぞ」
親族公認で脳筋て………。
「そうで、しょうか? って、そ、そんなどうでもいい話をしている場合ではないんです。」
自分の親が脳筋疑惑はどうでもいいのか
「無駄話をする時間は創っていませんから」
? どういうことだ。
"時間がない" では無く、
"用意をしていない" とは?
「説明は後です」
……さっきから、ちょくちょく思考をナチュラルに読んでくるな。お前ら。
えっ、なに、これ聞こえてんの?
「ええ、聞こえていますよ」
へーじゃあ
〔―――――――――――――――――――――――――――――――〕
ハハッ。
見事なほどに、ゆでダコみたいに赤くなってらぁ。
下向いちゃってぇ。
〔で、時間がねえんだろ。ほら、はやく主題に入れよ。〕
「だったらそんなこと言わないでください!!」
〔俺は思っただけなんだけどねぇ。どう思います?クソ脳筋〕
「我が娘ながら、やはり可愛い」
〔……話題が少しズレているが、あんたともいい酒が飲めそうだ。言うまでもなく、肴はあのお嬢さんだがな〕
さっきまでは、散々言って悪かった。……クソ脳筋には触れないのか
しかし、
実の娘が困っているところを見て、可愛いとはなかなかいい性格してんな、親父さん。
「困らせているのはどこのどなたですか!?」
〔お前の親父じゃねぇの?〕
「いいかげんにしないと、怒り――」
〔どこって、俺はここがどこか知らないし、そもそも俺誰だ?〕
「その説明をしようとするたびに邪魔してくるじゃないですか?!」
〔俺の覚えてる限りだと1回こっきりな気がするんだが、まあいい。〕
〔手足の先端が光ってるし、感覚がないから手短に説明頼む。〕
「ああっ!? 馬鹿なことをお二人がやっているからタイムリミットが! 後で説明しますから、一番重要なことだけ尋ねます!」
馬鹿なこと、ね
「あなたは生まれ変わりたいですか?」
〔いや、いい〕
「えっ?」




