不思議な館
一体どのくらい眠っていたのだろう。目を覚ますと、太陽は沈んでいた。
長時間寝ていたせいか頭がうまく回らない。
起き上がろうとしても、体はピクリともしない。
まるで誰かに上からおさえつけられているかのように。
しばらくすると、下から私を呼ぶ声がする。
「里美。ひとみちゃんから電話よ」私はその呼びかけに答えようとしたが、声が出ない。
なんで‽声が出ないの体も全然動かないし。
「里美寝てるの?」
私は力いっぱい体を動かした。
しかし、何度体を動かしても結果は同じ。
それどころか、意識がだんだん遠のいてゆく。
暗い海の底に沈んでゆくように。
気が付くと、そこは見知らぬ場所だった。
あたり一面には、ろうそくが立ち並んでいる。
「ここはどこ?とりあえずここから出なきゃ」
私は出口を求め走りつづけた。
だが、ひたすら一本道が続くばかりで、出口なんてどこにもない。
「私これからどうしたらいいの?このまま、かえれないの」
気が付く私はこの状況に絶望し、地面に膝から崩れ落ちていた。