その時・彼は覚醒した
背中の痛みを訴えた少年。彼はどうなる。
「ぎゃー」
少年は叫んだ。
びり、びりびり。
背中が破れて中から何かが出てくる。
ともに血液が流れでて、白いシーツを真っ赤に染める。
「くはっ。」
痛みで声が出なくなる。
そこへ、悲鳴を聞いた母親が部屋へ駆け込んできた。
「あんた何やってるの。」
二度目の流血に母もパニックになっている。
なんとか焦りを落ち着かせて、救急車を呼んだようだ。
「クッ。」
なんとか痛みに耐えるも苦痛に声が漏れる。
救急車がやっときて、担架にうつぶせに乗せられ救急車に乗せられた。
車内で救急隊員がガーゼで血を吸い取っている。
病院に着くとすぐに手術が始まった。
しかし、医者が傷をふさごうとしてもなぜかふさげない。
そして深い切り傷が背中に縦に二本も入っているのにもかかわらず、
血液が流れでるのが止まっていること、
最も不思議なのが翼のような痣が左右に黒色の翼、白色の翼が生えているようだった。
少年が目覚めたのは次の日だった。
背中に新たな感覚がある。無意識にベッドから立ち上がると、屋上へ向かった。
人気のない屋上へたどり着くと、背中を確認した。
すると、背中の左側に黒い漆黒の翼、右側には純白の翼が生えていた。
これが運命か。少年はそう思った。
黒色と黄金色の眼と翼で、その姿はまるで彼は左に悪魔を纏い、右に天使を纏っているようだった。