88 飲まず食わず眠らなずでも、死ぬこともなく働き続けられるぞー
「ハグハグ、バグバクバク」
土狼50体に襲われた僕たちだけど、返り討ちにして全てご飯にした。
僕たちは人間みたいに基本的に1日3食食べる必要がなく、一度の食事で数日分の食事を貯め込める体をしている。
ドラゴンを爬虫類に分類していいのか謎だけど、爬虫類の場合冬眠をするので、それに必要な栄養を貯めこんでから冬眠にはいる。
それに哺乳類でもトラやライオンなどは、数日に一回の食事でいいらしい。
一度食べる分で、数日分を貯め込んでおく。
自然界では1日3食の決まった食事なんて無理だから、僕らの体もそんな風になっているようだ。
それに子供の頃から自分の体以上の量をいつも食べていたので、倒した土狼を全部食べることだってできる。
でもさすがに50体は大量で、それを食べきるのにお昼頃まで時間を費やしてしまった。
「ゲプッ、満腹満腹ー」
ミカちゃんがゴロゴロと地面に横になる。
ドラゴニュートはいくら食べてもお腹が出っ張らないのが特徴だけど、それにしてもよく食べた。
「筋が多かったですが、噛み応えはなかなかの物でした」
リズのグルメリポート。
「GYAOー」
ドラドも満足げな声を上げる。
でもたくさん食べたからか、ミカちゃんと似た感じで地面にゴロリと横たわる。
「満腹ー」
「結構なお食事でした」
レオンとフレイアも、横になるドラドにもたれかかる。
満腹になったからか、皆若干ウトウトとした表情になっている。
このまま昼寝タイムに突入かな。
「皆戦えてるのに、僕だけ……」
そんな中1人だけユウが呟いてる。さっきの戦いはユウ1人だけ酷い物だったからね。
そんなユウの肩を、僕はポンと叩いた。
「不死者を自分の意思通りに動かす訓練をしてみる?」
そう言いながら、僕はさっきの戦いで作った土蜥蜴スケルトン軍団でユウを囲む。
「……死霊術って、術者の意思通りにアンデットを動かせるようになるんですか?」
「できるよ。
特に『働け、お前ら働きまくれ、死んでるんだから、飲まず食わず眠らなずでも、死ぬこともなく働き続けられるぞー』って念じると、奴隷より効率よく動くようになる」
「……」
これが僕流のアンデットの作り方兼動かし方だ。
アンデットは下手に作ると、生者を見境なく襲いだし、下手をすると術者にだって襲い掛かることがある。
そんなバカな奴らは、労働力としては使えないからダメだよね。
「No、ブラック労働No……」
向こうの方でミカちゃんが青い顔して呟いてるけど、なんでだろうね?
「兄さんの死霊術の掛け方って、絶対におかしいですよ。というか、僕が真似するのは無理です」
「そう、残念だな……」
ユウが死霊術を学びたがらないとは、大変残念だ。
僕は兄弟たちが食べ終わった土狼の骨にも死霊術を掛けて、アンデットスケルトンを作っておいた。
土蜥蜴が15体に、砂狼が20体のスケルトン軍団の完成だ。
兄弟たちが骨を齧った結果、全身の骨が足りなくなっているものが多かったので、倒した数イコールスケルトンの数とはならなかった。
「整列っ」
僕が命令すると、スケルトン軍団は軍隊のようにきびきびと動き、整列をした。
「あああっ、ブラック労働戦士だ……」
ミカちゃんが頭を抱えている。
「兄さんってすごいけど……怖い」
ユウも、そんなことを言う。
「フフッ、ほら一応僕って前世が魔王だからね」
忘れちゃいけないけど、僕は元魔王様なのです。




