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83 天空の城の動力グラビ鉱石

 マザーなしでの狩りの旅2日目は、砂蜥蜴を30匹近く仕留めて終わった。


 砂蜥蜴の肉は自宅にも持ち帰りたいけれど、僕たちだけで運びきれる量じゃない。

 なので、この場で解体して食べていく事にする。


 野生の場合、血が流れればそこに肉食動物が集まってくることがあるけれど、その場合は集まった動物を、さらに僕たちが狩って行けばいい。


 こっちとらドラゴニュート。

 生半可な肉食獣ごときが襲ってきても、返り討ちでなく、逆に御飯にしてやればいいだけだ。

 クックックッ。



 とまあ、そんなことは置いといて、2日目の夜も簡易テントを張って野営の準備をしていく。


「モガー、ウマー、モグモガー」

 ミカちゃんは仕留めた獲物を口いっぱいに突っ込んで食っていく。


「パクパク、自分で仕留めた獲物っておいしいねー」

 と、レオンは目を輝かせる。


「どうしましょう。これも焦げてますわ……」

 火球とファイア・ブレスを使いまくったフレイアは、仕留めた獲物が焦げているのに少し涙目。

 炎の属性竜の性質を持っているだけあって、炎での攻撃力が半端ない。けど、強すぎる炎で、食べ物が黒焦げなのはいただけないね。

 フレイアも、さすがに黒焦げの獲物は食べられないし。


「恵みに感謝です」

 リズは瞑目をして、哲学者か宗教者みたいな事を口にして、砂蜥蜴を食べている。


「GYAOOー」

 ドラドは踏み潰して、ミンチやペースト状態になった砂蜥蜴の肉をパクパク。

 なんとなくだけど、マザーの作るおふくろの味を彷彿とさせる。


 マザーの場合、口の中で噛んで唾液交じりのミンチ肉にしているけど、攻撃力過多で、たまに潰れた肉とかも持ってきたから、それを思い出させた。



「……」

 そんな楽しそうな兄弟たちとは違って、ユウは沈黙している。

 自分の戦い方のダメっぷりを反省しているのか、または別の事を考えているのか。




 そんな兄弟たちと共に、僕も仕留めた砂蜥蜴の肉をパクパク食べる。

 若い体なので腹ペコには勝てない。

 食べられるときに、食べられるだけ食べとかないとね。


 と、口を動かしながらも、僕は本日採集した鉱物を手の上で転がして遊んでいた。


 手の中で魔力を込めてみる。

 すると鉱物は、僕の手の上で微かに浮かび上がった。


「レギュレギュ、なにこれ?」

「魔力を込めると、空中に浮かぶ石」

「ファッ!?」

 ミカちゃんが驚いた顔をする。


 たださ……

「驚くのはいいけど、食べてる物を吹き出さないで欲しいな」

「はい、すみませんです。だからその左手はやめてください。グーはダメ。痛いの嫌です、ごめんなさい、レギュ様」

 ちょっと脅したら、ミカちゃんは素直になってくれた。


 よしよし。


「多分、魔力を込めると無重力状態にできるんだろうね。でも、この鉱物の面白いところは、魔力を蓄えることができる性質で……」

「無重力、空を飛べる石か。スゲー。天空の城の動力炉だな」

 なんてミカちゃんは言う。


 そう言えば架空の物語の産物とはいえ、天空の城の動力炉は、空飛ぶ石だったね。

 あの城は最後には、宇宙空間ギリギリまで飛んで行っちゃうし。



「それよりも魔力を蓄えられる性質が凄く便利だよ。電池の魔法版みたいなものだから、これを使えば色々と魔法の道具を作れて……」

「魔法の道具!夢が広がるなー」

「そうだよ。だから、これを使って……」

 その後僕は考え着く魔法の道具について説明していったけど、説明が長かったせいか、すぐにミカちゃんがげんなりとした顔になった。


「骨っ子が俺を呼んでいるー」

 そんなことを言って、ミカちゃんは砂蜥蜴の骨へ逃げるようにして食いついていった。


 最後まで説明できないのは残念だけど、まあいいか。

 それよりこの石をもっと集めて、自宅に帰ってからいろいろ実験してみよう。



「フフフ、夢が広がるなー」


 なお、この日手に入れた鉱石の事は、無重力状態を作れることから、グラビ鉱石と名付けておいた。


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