表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/281

78 マザー同伴の狩りは……

 ドラゴンマザー同伴の狩りだけど、草原を3日間歩き回っても、獲物1匹出くわさなかった。


 そして3日間何も食べずでは、僕たちの腹が持たない。


 仕方がないのでマザーともども、僕たちは一度自宅へと戻った。

 そしてマザーは、いつものように遠くまで狩へと出かけた。



 しかし、マザーが帰ってくるまでは御飯なしの状態だ。

「お腹空いた……」

 ユウが地面にグッタリと寝転んでいる。


「ひもじい」

 レオンもグッタリ。


「ああ、お腹がすきましたわ」

 フレイアもフラフラ。


「……」

 リズは無言だが、目が獲物を狙うリザードマンの瞳になっている。

 その視線の先にあるのは、ドラドの姿。


『マザー、お腹空いたー』

 ドラドも悲しげな鳴き声を上げていた。



「ハグハグ、ハム」

 そんな中、1人だけ口をモゴモゴ動かして、何かを食べているミカちゃん。


「ミカちゃん。何それ?」

「蛇を見つけた。ククク、お前らにはやらん……フゲバアッ!」

「皆ー、少ないけれどこれでも食べて、マザーが帰ってくるのを待ってようか」

 腹を満たすには小さすぎるけど、目ざといミカちゃんが獲物をしとめていたので、それをみんなで分けることにした。


 この野生児、暴れまわるだけでなく、食べ物を見つける勘も鋭いな。

 やはり野生の勘なのか、食い意地が張ってるから、食べ物の場所が本能で分かるのか。



 そんなことがありつつ、ほどなくしてマザーが獲物を持って帰ってきた。

 僕たちはなんとか餓死せずに済んだ。

 やっぱり僕らのマザーは偉大だね。





 ところで食事をしながら思ったんだけど、

「思ったんだけど、マザーがいたらモンスターも含めて、大抵の生き物が逃げ出すよね」


 狩りでは3日間歩き回って、兎サイズの生物にすら出会わなかった。


 どこで見つけたのか知らないが、ミカちゃんが蛇を1匹確保したのが、唯一の成果だ。


「確かにマザーがいたら、どんな生き物でも逃げるのが普通ですね……」

 ユウも食べながら、すぐ傍にいるマザーを見る。


 身長120メートル。

 そんな巨大怪物を前にして、近づいていこうとする生き物はいないはずだ。

 地球だったら、スマホ片手に写メを撮りたがる人間がいるかもしれないが、踏み潰されたりする危険に気づけない、危機感の抜けてる人だけだろう。


 そして僕たちに見つめられたマザーは、

『……あ、あらやーね。お母さんいつも空から獲物に襲い掛かっていたから、全然気づかなかったわ』

 と、のたまった。


 偉大なマザーだけど、暢気で抜けてるかもしれない。


「なら、次は僕たちだけで狩りに行ってみようか」

「えっ、本気ですか!」

『ええっ、レギュちゃん!それは危なくないかしら、お母さんも一緒じゃないと心配よ』

 日本語ではないけど、意思疎通はできている僕たち。


 マザーがいると獲物が出てこない。これでは狩りにならないと思ったから提案したのだけど、なぜにユウとマザーは反対するかな?


「狩りの仕方を覚えるためだから、狩る前に肝心の獲物に逃げられるのは困るでしょう」

『それは、そうだけれど……』

「……」

 その後、僕とマザーの間で会話を続ける。

 そしてユウはそんな僕たちを黙って見つめていた。



 マザーと僕はしばらく話し合ったけど、

「おうううっ、メシじゃー。飯を狩るのじゃー」

「狩りー」

 僕たちの会話を聞きつけたミカちゃんが変なテンションになり、レオンがそれに調子を合わせる。


「ウフフ、大丈夫ですわお母さま。レギュラスお兄様が一緒なんですから」

 とは、フレイア。


 リズは無言で槍を構えて、それを振り回していた。

 ()る気満々のようだ。


「GYAOOOー!」

 ドラドもマザー抜きで大丈夫だと吠える。



『……いい事、危ない場所に行っちゃだめよ。もしあなたたちを襲うような奴がいたら、私を呼ぶのよ。すぐに飛んで行って、そいつを潰してあげるから』

 見た目のでかさに比べて、子煩悩で心配性なマザー。

 子供たちの熱意に負けて、僕たちだけでの狩りを認めるのだった。




 こんなわけで、僕たちはマザー抜きで再度狩りへ向かうことにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ