65 竜皮のマントの評価
「うひゃー、うひょー、うへえいー」
前回僕が作成した竜皮のマントを纏ったミカちゃんは、なぜかマント1枚だけ着て、あとは全裸で走り回っていた。
「変態騎士参上!」
「さんじょー!」
……全裸にネクタイの変態紳士、それの中世バージョンってところか?
中世にはネクタイはなかっただろうから、マントだけ着て変態騎士ね。
ただミカちゃんだけでなく、その後にレオンまで続いてるんだよ。
この前までショタ少年だったが、脱皮した今の外見でこれをやると、完全にお巡りさんの御厄介になってしまう。
まあ、僕らはこの世界で未だにお巡りさんなんて見たことないけど……。
――ガン、ゴンッ
とはいえこの惨状の放置は許されないので、ミカちゃんの頭に鉄槌を下しておいた。
「レオン、この変態の真似はしないように」
「は、はい、わかりました。レギュ兄さん……」
僕が殴ったミカちゃんの頭からは煙が立ち上がっていて、ミカちゃんは絶賛気絶中。
僕がちょっと微笑みながらレオンを説得をすると、物わかりのいい弟はそれだけで頷いてくれた。
いい弟だね。
「兄さんの暴力に怯えている。ミカちゃんもダメだけど、兄さんの暴力支配が日々確実に強化されていってる……」
なんかユウが小声でブツブツ呟いてるけど、さて何のことだろう?
レオンは寒かったのか、ちょっと体をブルブルさせている。
尻尾も垂れ下がって地面についているけど、それもきっと寒いせいだからだろう。
マント1枚に全裸じゃ、そりゃ当然寒いよね。
まあ、僕らは人間に比べて暑さにも寒さにも非常に強いので、アイススケートリンクと化している冷蔵庫部屋で、厚着をしなくても全然寒くないけどさ。
ところで、マントを作ったのはミカちゃんのおねだりを聞いた以外にも、僕たちの身を守る頑丈な防具になると思ったからだ。
……思ったのだけど。
――バサバサッ
「このマントが邪魔になります」
「レギュラスお兄様の手作りですが、確かに羽を動かすと邪魔ですわね」
リズとフレイアの2人から、いきなりのダメだしをもらってしまった。
――なぜ不評なのかだって?
それは僕らの背中には、人間についていない羽と尻尾がはえているからだ。
脱皮前までは羽を動かすことはできなくて、ただの飾り状態だった。けれど脱皮した後から、背中の羽を自分の意思で動かすことができるようになってきた。
確実に脱皮の影響で動くようになったと考えるべきだろう。
まだまだ成長途上のせいで、自分の思いのままに羽を動かせるわけでない。でも、日に日に羽を、自分の意思の通りに動かせるようになっていくだろう。
今は空を飛べないけど、この調子なら案外早く、羽で空を飛べるようになるかもしれない。
ただ、羽が動くようになってきたので、マントを着ると羽を動かせなくなって、物凄く邪魔になる。
「……」
「雨が降った時に、レインコートの代わりにでもできるといいですね」
「ユウ、フォローのつもりか?」
せっかく苦労して作ったのに、ただのいらないものになってしまった。
マントを着て喜んでいるのは、変態のミカちゃんくらいだ。
「GULULULU……」
なお、ドラドは脱皮したことで体のサイズがかなり変わってしまったので、脱皮した皮でマントでなく、頭に被る帽子を作ってやった。
マントと違って帽子は全然邪魔にならないようで、ドラドは竜皮の帽子を大変気に入っていた。
作るのに苦労したんだから、必要としてくれるドラドがいてくれただけでも良しとしておくか。
あとがき
レギ「ミカちゃん、ミカちゃん」
ミカ「なんだ、レギュレギュ?」
レギ「ブラジャーすると筋肉が衰えて、垂れやすくなるってコメントが来てたけど」
ミカ「……俺の、俺のフレイアの乳が垂れるわけがないだろう!」
レギ「あ、はい……」
ミカ「それに俺たちはドラゴニュート。たかがブラごときに負けるほど、惰弱な体はしておらんわー!」
レギ「あ、うん……そう(ああ、滅茶苦茶どうでもいいー)
ミカ「それに俺は垂れ乳でもOKだ!垂れるためには、それだけのデカさがないと無理だからな(キリッ」




