62 レギュレギュ落ち込む
「うひょおおおーーー、フレイアちゃーん」
おっさんが次女フレイアの豊満になった胸に、顔を埋めている。
「あ、あひぃー。ダメ、ダメですわ、ミカちゃん」
エロい声を出すフレイアだけど、以前は幼女だったのに、一回脱皮しただけでいろいろと立派になってしまった。
中高生並みの背丈になっているので、これはもう完全に犯罪だ。
姉妹どうしの戯れとはいえ、一方は見た目が幼女姿でも、中身がおっさんだ。
「これがボインボインなんだねー」
「シャラップ、レオン!貴様などが触れいててものではない!」
「ヒギャー!」
フレイアにセクハラを働いているおっさんが、同じくセクハラを働こうとしたレオンをふっ飛ばした。
どっちもどっちだね。
というか、レオンは完全にミカちゃんの影響でああなってしまった。
シクシク。
済まない、弟よ。
お前をまともな大人に育てるのは無理そうだ。
「羨ましいです。私は大きくならなかった……」
あと女の子のリズは、フレイアの巨乳を見ながら、自分のまったいらな胸に手を当ててガッカリしている。
リザードマン外見のリズなので、巨乳になったところで、ミカちゃんは見向きもしなかっただろうけど。
「GAYYYOOOOーーー!」
あとドラドも、フレイアの胸を見て羨ましそうにしている。
というか、ドラドは以前と比べて、とんでもなく大きくなってるので、鳴き声まで大きくなっていた。
まだまだドラゴンマザーに比べれば豆粒サイズだけど、僕ら兄弟全員を背中に乗せられる大きさになっている。
マザーは規格外の超巨大ドラゴンだから仕方ない。
でも、将来ドラドがマザークラスのでかさに成長する可能性があるのか……。
「……」
「兄さんどうしたんですか、1人で黄昏て?」
しばらく兄弟たちを見ていた僕だけど、ユウが近くに来た。
「別に黄昏てるつもりはないけど」
「でも、凄く落ち込んでません?」
「……」
落ち込んでないよ。
お、落ち込んで……なんか……ない。
「クフフフフ。ユウよ、それ以上レギュレギュを追い詰めてはならないぞ」
なんてところに、フレイアと一緒にやってくるミカちゃん。
ミカちゃんの頭の上にはちょうどフレイアの胸があって、頭が胸置きと化している。
「……フレイア、それはやめなさい」
「?」
「ミカちゃんと合体しちゃダメだ」
「でもこうして胸を支えないと、形が崩れてしまうってミカちゃんが」
――ガシッ
ミカちゃんがフレイアの胸から離脱し、すぐさま逃げようとするが、それより早く僕が頭を掴む。
「この変態エロ親父は!お前はどうして兄弟をそういう方向に育てていくんだよ!」
「イデデデデ、レギュレギュ痛い。手加減プリーズ」
「やかましい!」
「ヒギャー!」
悪は成敗した。
もういろいろ手遅れだけど、それでも倒しておかなければならないから仕方ない。
あ、そんなこと言ったら前世の僕も魔王だった。まあ、悪いことをする魔王じゃなかったから、別にいいよね。
僕が前世でしたことっていえば、支配している大陸に素晴らしい労働天国を築いただけだから。
資本主義に社会主義?
ハハハ、何言ってるの。
資本主義は資本家どもが怠けるし、社会主義は報酬が平等なせいで労働意欲のないダメ人間どもを、大量に排出してしまうだけ。
もっと、とっても楽しい労働天国を作っておいたから。
「フレイアに、今度チチバンドを作っておくれ。ゲフッ」
僕に退治されて気絶する直前、悪の化身ミカちゃんがなんか呟いていた。
チチバンドって、ブラの事だよね。第二次大戦まで日本の統治下にあったパラオでは、今でも通じる言葉らしいけど。
でも女の子……いや、今では乙女になったフレイアには、確かに形を崩さないために必要な物か。
しかしそのことを真っ先に気付くとは、この変態親父に、計り知れない変態レベルを感じる。
「やっぱり、兄さんいつも通りですね?」
「うん、落ち込んでなんかないよ……」
ミカちゃん相手にはいつも通りにしたけど、再び思い出してしまった。
うっ、別に、落ち込んで、なん、か……
「レギュラスお兄様、お顔が優れませんがどうしましたか?」
「レギュラス兄上、元気を出してください」
なんだか、フレイアとリズに心配されてしまった。
――GULULULULULU。
あと、ドラドにベロで舐められる。
体がでかくなったものだから、一回舐められただけで、僕の体全体が唾液でベタベタになる。
いやさ、もう慣れているんだけど……唾液まみれは、少し勘弁して欲しい。
でも、
「……お前ら、なんで俺よりでかくなるんだよ」
僕は、そう呟かずにいられなかった。
「へっ、もしかして兄さんが落ち込んでる原因って……」
「べ、別に僕は身長の事なんか気にしてないんだからな!」
「あ、はい」
僕の叫び声に、ユウが呆れた返事を返した。
でもね、君らマジででかすぎ。
なんで僕だけ、背が小さいんだよ。
脱皮して大きくはなったけど、お前ら全員背が高すぎ!
唯一救いがあるとすれば、ミカちゃんも僕と大して身長が変わらないことか。
あれに上から見下ろされるようなことがあったら、滅茶苦茶嫌だ。
しかし、あの変態とだけ身長が同じか……。




