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5 襲われる三男坊

「メシーッ」


 本日5個目の卵が孵って、中から青い髪と目、それに翼と尻尾も青い色をした男の子が出てきた。

 相変わらず生まれたてだというのに、赤ん坊サイズでなくショタサイズのボーイだ。


 どうでもいいけど、僕と長女以外、生まれた段階で髪の毛が生えてやがる……。

 世の中は理不尽だ。



 で、生まれたのが男だと確認した瞬間、長女の奴がメシ宣言して突撃していった。


「ギャー」

 そして無残にも、涎を垂らした長女に噛みつかれてしまう男の子。えーと、この青い男の子は三男と呼ぶとするか。

 噛まれた三男坊は涙目になって、食欲魔人である長女から逃げ出した。

 しかし、その後を容赦なく追いかける長女。


 その長女の姿を、黒髪の次男が呆れたように眺める。

 一方、赤髪の次女は、長女に影響され、一緒になって逃げ回る三男を追いかけ始めた。


「「メシーメシー」」

 声までそろえて、仲のいい姉妹だこと……



「ウワアアーンッ」

 追いかけられる三男の涙声が、とても哀切だねー。


「弟よ、頑張って強く逞しく生きるんだ」

 そんな姿に、僕は自然界で生きていくための強さを、滔々と語ってあげた。


 まあ、実際に口から出ている言葉は、「ダーダー、アーアー」という赤ちゃん言葉だけど。



 で、そんな追いかけっこがひと段落した後、疲れてしまった妹たちと三男坊は、地面の上に寝っ転がって、ゼーゼーハーハーと荒い息を吐いた。


 生まれたばかりとは思えない身体能力を持っている僕たちドラゴニュート兄弟だけど、それでも生まれたばかりなので体力はそこまでないようだ。



 床の上に大の字になって激しく息をしている弟と妹の3人。


「イケメン、シ。オトコ、テンチュー」

 なんか、長女の奴が荒い息を吐きながらも、そんなことを口走っていた。


「うわっ、こいつの前世は非モテの重度のオタク野郎か」

 見た目は幼女、中身がおっさん転生者の長女。

 いろんな意味で大丈夫かと、僕は頭痛がしてきた。


 そのくせ、生まれたばかりなのに、僕より滑舌よく日本語を話せてる。


 やっぱり世の中は理不尽すぎる。



 とはいえ、そんな長女の言葉を、生まれたばかりの他の兄弟たちは理解できない。

 生まれたばかりでは、日本語なんてそもそも理解できるはずがないからね。


 そう思って兄弟たちを眺めていた僕だけど、よく見ると黒髪の次男坊だけが、微妙な表情をしていた。


 あれ、もしかして次男の奴は日本語を理解しているのか?

 だとすると、こっちも転生者か?


「おい、次男。お前はもしかして転生者か?」

 僕は尋ねたけれど、残念なことに次男の奴は首をかしげるだけだ。


 そりゃそうだよね。

 何しろ僕は日本語で尋ねているつもりでも、実際に口から出ているのは「ダーダー、ワヤヤー」なんて赤ちゃん言葉だから。



 ああ、意思疎通ができねー。

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