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4 次女誕生

 暴君の妹と哀れな弟の関係性が、生まれた直後に定まってしまった。

 そしてそんな事をしているうちに、さらに巣の中にある卵が孵っていく。


 ――バリバリバリッ


 孵った卵から出てきたのは、赤い髪と瞳。そして背中の翼と尻尾も赤い女の子。

 なお生まれてきたばかりなので、当然一糸まとわぬ全裸。性別の判断は物凄く簡単にできた。


 物がついてるかついてないかが、直接見えるからねー。



「ンナー、オンー!」

 そして我が妹――妹が2人になったから、先に生まれてきた性格のふざけた妹の方は、長女と呼ぶことにしよう――は、生まれてきた次女に向かって興奮の声を上げる。

 さっきまでいた弟の肩の上からひらりと飛び降りて、次女の方へ突進。


 変な叫び声を上げていたけど、あれって絶対「女」って言ってたよな。


 ……ところで長女の奴は、ほぼ確実に転生者だけど、絶対に前世は男だ。

 それも確実におっさんだ。



 長女の奴は、生まれたばかりの次女に突撃していくと、その胸にいきなり両手を押し当てた。

 生まれたばかりなので、当然胸はぺったんこだ。


 だけど、次女のまったいらな胸を両手でモミモミし揉み始める。


「ン、アンッ」

 胸を揉まれる次女。


 次女よ、お前は生まれたばかりなのに、一体何を感じてそんな声を上げてる!

 あと長女。お前の方は顔がおっさんの下卑た笑みになってるぞ!

 元の愛らしい幼女顔が崩壊して、エロおっさんの顔になってるぞ!



 ――ガンッ


 これ以上はまずい。

 というわけで、僕は生まれたばかりの次女の胸を揉む変態長女の頭を拳で殴っておいた。


「フゲー」

 殴られた長女はそんなことを口にしながら、口を大きく開けて気絶。だが、同情など必要ない。

 この中身が変態おっさんの転生者には、これぐらいの懲罰が必要だ。


 いくら女に生まれ変わったからって、胸をもんで喜ぶな、ド変態!



 で、そんなことをしていると、黒髪の弟。……僕が長男になるから、黒髪の弟の事は次男と呼ぶことにしよう。


 次男は呆気にとられた表情をした後、気絶した長女の体を指で突きだす。


 それから「ダーダー」言って、心配そうに気絶している長女に声をかける。


 うわーっ、次男よ。お前はどこまでもいい奴なんだな。

 生まれたばかりで長女の奴に強制肩車をさせられ、さらに腹ペコで頭を齧られたのに、そんな相手を心配するなんて、なんて健気な奴だ。


 で、次男が気絶している長女の事を心配そうにしていると、生まれたての次女も、それを真似て気絶している長女の体をペタペタと触り始めた。


 一応、微笑ましい光景と言っておくべきかな?

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