表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したら七つ子の竜人(ドラゴニュート)兄弟だった  作者: エディ
第6章 (仮題)ドラゴニュート兄弟とゴブリン村
278/281

272 ゴブリンの人工進化

 僕、ゴブリンは大嫌いだから。



 さて、ゴブリンをホブゴブリンへ進化させる作業をしている僕だけど、まずは最優先でメスゴブリンをホブゴブリンへ進化させる作業から始めた。


 メスゴブリンはオスに比べて生まれる数が少ないものの、その繁殖能力はすさまじく、2、3か月に1回は子供を産むという、とんでもない生き物。

 しかも、その時に生まれる子供の数が、一度に10体以上。下手すれば2、30体も子供を産むという、空恐ろしい繁殖を持っている。


 おかげでメスゴブリンが1体いればたちまち数が増えていき、1年で50体以上に増殖してしまう。

 10年も放置しておけば、メスゴブリンから別のメスゴブリンも生まれてしまい、その数は千どころか、下手をすれば万に至ることさえある。



 前世で魔王をしていた頃はね、ゴブリンは国の統治において宿敵の一つだったんだ。

 奴らはすぐに数が増えて食料を食いまくり、食べる物がなくなれば徒党を組んで大移動し、周辺の土地を荒らし回る。

 そのくせ、労働力としては役に立たない。


 戦争がある時はいいんだ。

 ゴブリンだけで100万ぐらいの数を集めて、それを敵に向かって突撃させておけばよかった。

 数が多くても所詮最弱モンスターなので、勝手にバタバタ死んでいって、我が国の食糧事情を改善してくれたから。

 ゴブリンの口減らしができて、戦争があると大変ありがたかった。

 おまけに、敵を疲弊させることもできたしね。


 ところが平和な時代になると、戦争で数を減らせなくなってしまう。

 ゴブリンが増えないよう、ゴブリンを専門で狩る狩人(ハンター)が必要になってしまう。

 でもゴブリンは弱いくせに、数が多い。

 倒しても骨と皮だけで、肉はクソマズイときた。

 体をミンチにして、畑の肥料にするくらいしか使い道がなかったね。


 おかげで民間で対応するには、利益がなくて大赤字になってしまう。

 結果、国が仕事を斡旋して、ゴブリンをハンターに狩らせるのだけど、その政策のために、どれだけ国庫の赤字が増えたことか。


 ふうっ、僕が前世で治めていた国は労働至上主義で、経済はその次だったけど、だからと言って赤字財政を容認していたわけじゃない。

 経済が破綻すれば、いくら労働市場主義を掲げていても、仕事がなくなって、街中に失業者があふれ返ってしまう。


 そうなっては、理想の労働至上主義国家も破たんしてしまう。

 どこぞの共産主義国家みたいに財政無視して国家運営していたら、気が付いた時には貧乏国になって、国が崩壊していました。

 なんてことに、させるわけにはいかない。


 つまりゴブリンとは地上より滅され、消えるべき種族である!

 だが奴らはどれだけ駆除しても、ゴキブリみたいにどこからともなく湧いてくるので、種として根絶することが不可能な害獣だった。


 だから、ゴブリンなんて大嫌いだ!




 さて、話を現在に戻そう。


 ゴブリンは大嫌いだけど、ホブゴブリンになれば一度に生まれる数は2、3体になり、出産回数も1、2年に1回になる。

 とても常識的な数で、人間とあまり変わらなくなる。

 これなら大繁殖問題がなくなるね。


 ――ゴブリン死すべし。種族として滅すべし!

 そんな暗い思いを宿しつつ、僕はメスゴブリンをホブゴブリンへ進化させていった。


「あ、あんれまー」

「か、体が変わった!?」

「生まれ変わったの!?」


 そして進化したホブゴブリンたちは、自分の体に起きたことに驚いている。


 その後なぜか、

「偉大なるお方」

「魔族の王よ」

「万歳万歳、万々歳ー!」

 と、僕に向かってひれ伏して拝み始めた。


 こんなことが過去にもあった気がするね。

 僕がドナンをリッチにした時も、こんな反応してなかったっけ?



「はいはい、邪魔なので君らはあっちに行ってようか。おーい、次のゴブリンを連れてこーい」

 まったく、こっちは村にいるゴブリンを全部進化させるつもりなんだから、君らの相手をしている余裕はないの。


 シャドウとダークスケルトンが、次に進化させるゴブリンたちを連れてきたので、僕はその頭に手を置いて、魔力を注ぎ込んで進化させてやる。


「ギャアアアアアー!」

「グギャアアアアー!」

「ヒデブラフォワー!」


 しかし進化するたびに、ゴブリンたちが変な雄叫び上げてるね。


「あの、兄さん。これって大丈夫なんですよね?」

 あまりに連続して上がる悲鳴が壮絶だったせいか、ユウにそんなことを聞かれてしまった。


「大丈夫じゃなくてもいいよ。どうせ相手はゴブリンだから」

「……」

「この(ドラゴニュート)、鬼だ……」

 ユウが沈黙し、オーガにしてやったリゲルからは、鬼扱いされてしまった。


 何言ってるんだろうねぇー。

 僕は鬼じゃなくて、ドラゴニュートだよ。

 逆にオーガは鬼の一種なので、鬼はリゲルの方なんだけどなー。


 そこを間違えないように!



「偉大なるお方ー」

「魔族の王よー」

「神よー」


 この後、進化させた元オスゴブリン……現ホブゴブリンたちも、なぜか鬱陶しい声を出しながら、僕の事を拝み始めてしまった。


「はいはい、作業の邪魔なので、君らどっこかに行っててくれ」

 まったく、ミカちゃんよりはましだけど、こいつらもこいつらで鬱陶しいね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ