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異世界転生したら七つ子の竜人(ドラゴニュート)兄弟だった  作者: エディ
第6章 (仮題)ドラゴニュート兄弟とゴブリン村
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266 どう見ても魔王軍の出陣式

 待ちに待った狩りの旅。

 今回はいつもの狩りでなく、前回見つけたゴブリンたちの装備品を作ったゴブリンを捕まえに行きたいと思う。


 僕が目指す文明化のためにも、頭脳労働者をなんとしても確保しなければ。

 フフフ~。



「ま、魔王軍じゃー!魔王軍じゃー!」

「うわー、これはどこからどう見ても、魔王軍ですねぇ……」


 なんだけど、なぜかミカちゃんとユウが失礼なこと言いだした。


「レギュラス様のご命令により、アンデット軍団2千の兵力を用意いたしました」

「ご苦労ドナン」

「ハハッ、もったいなきお言葉」


 なお、今僕たちがいるのは第二拠点近くの荒れ地。

 この辺りには小高い丘がぽつぽつあるだけなので、場所が余りまくっている。

 建物で埋まってしまった、土地のない日本の都市部とは大違いだ。


 僕たちの前には、鋼鉄製の盾と鎧を装備し、それぞれに剣や槍、斧などの武器を持ったダークスケルトンたちが勢ぞろいしている。

 最前列に立つのは、アンデット軍団の指揮を執るシャドウ1号から3号。

 ドナンが第二拠点の管理を担当しているなら、シャドウは現場部隊を指揮ポジションだからね。


 あと、おまけでクロゴブの奴もいるが、こいつは本当におまけなのでどうでもいい。

 前回の狩りで海賊刀をあっさり折ってしまったので、今回の武器は金棒に新調されていた。

 金棒は鬼が持っている武器で、オーガは鬼種系列のモンスターなので、見た目によくあった武器だ。

 これならオーガの力でブンブン振り回しても、そう簡単に折れることがないだろう。


「スケルトンとはいえ、これだけ数が集まると壮観ですわね」

「ワアー、たくさんいるねぇー」

「ふむっ、戦いは数とレギュラス兄上が言われる理由が、少しわかった気がします」


 大量に集ったダークスケルトンたちを見て、フレイア、レオン、リズは感嘆の様子。


「……おやつ」

「ドラド、頼むから食べないでくれよ」

「わ、分かってるよ、レギュ兄」


 ドラドだけ的外れなことを言っているけど、仕方がないかな?

 お腹が減ったら、こいつらをおつまみ感覚でちょっと食べるのもありかもしれない。


「てかレギュレギュ。スケルトン2千体とか、こいつら使って何するつもりだ!?」

「まさか世界征服?い、嫌だ、僕たちは魔王軍なんかになりたくない!」


 ミカちゃんとユウは、相変わらず失礼なことを言い続けていた。

 全く、心外だ。


「イヤだなー、たった2千ぽっちで世界征服なんてしないよ。さっきも言ったけど、今回は以前見つけたゴブリンの装備品を作った奴を勧誘しに行くだけだから」

「勧誘?誘拐とか拉致だろう?それとも恫喝か脅迫の間違いだろ!」

「こんな数で迫ってこられたら、ノーという選択肢なんてないですよ!」


「まあ、脅迫あたりは否定できないね。でも、優秀な頭脳労働者を確実に確保したいんだ。クククッ」


 頭脳労働者確保の夢に胸を躍らせて、つい嬉しくなって笑ってしまう。


「レギュレギュの笑いが黒い!悪党だ、魔王だー!」

「うううっ、兄さんの思考方式が相変わらずぶっ飛んでる。どうして話し合いとか、もっと平和な方法を選べないんだろう」


 ミカちゃんとユウだけ、相変わらずこんな感じだ。


 でも、この2人が今更ギャーギャー言ったところで、やる事は何も変わらない。


「それでは皆、西の森(ウエストフォレスト)へ向かう。今回の目的はゴブリンの確保なので、間違っても殺さないように」


「「「ウオオオーーー!!!」」」


 僕が命令を出すと、シャドウたちを筆頭に、ダークスケルトンたちが武器を掲げて一斉に雄たけびを上げた。

 2千体の数が揃っての雄たけびなので、大地が揺れているんじゃないかと錯覚するほどの、音が響き渡る。


「ウオオオッー」

 その雰囲気に乗せられたのか、リズもハルバートを掲げて雄叫びを上げる。

 リズは女の子だけど、男らしいねぇ。

 見た目が人間でなくリザードマンぽいので、違和感がほとんどないし。


「おおーっ」

 あとレオンも雄叫びっぽいものを上げているけど、いつもマイペースなレオンの雄たけびは、聞いてるとなんだか力が抜けてくる、まったり感があった。

 相変わらずだね。


「あら、なんだかくせになっちゃいそう」

 そしてフレイアは、並み居るスケルトンたちの雄たけびを聞いて、目細めて心地よさそうにしていた。

 女王様気質が極まってきているフレイア。

 軍団の雄たけびを聞いてくせになりそうとか……この子がどんな大人に育ってしまうのか、僕としてはいろいろ心配になってしまう。


「……」

 あとドラド。

 無言で尻尾を振ってるけど、心の中で「美味しそうだなー」とか思ってないよね?

 スケルトンをおつまみで食べるのはいいけど、あまり食べ過ぎないように。


「勇者様、助けてえー」

「どう見ても魔王軍の出陣だ……」


 最後にミカちゃんとユウだけ、なぜかガクブルしていた。



 でも大丈夫。

 勇者とかいう雑魚なら、僕は前世で何度も()ってるから。




 この出陣式を経て、僕の率いるスケルトン軍団は一路西の森(ウエストフォレスト)目指して移動を開始した。

 "進軍"と言ってもいいけど、今回はあくまでも頭脳労働者のスカウトが目的だ。

 出来る事であれば武力を使わず、大人しく目的の労働者を確保したい。




 なお余談だけど、出陣式の前に僕とドナンの間で、ちょっとしたやり取りがあったことを追記しておこう。


「レギュラス様、申し訳ございません。採石場や鉱山、製鉄所など各地に派遣しているスケルトンを現場から外すことが出来ず、わずか2千しか用意することが出来ませんでした。できれば6千は用意したかったのですが……」

「たかがゴブリンを捕まえ(スカウト)に行くだけだから、2千でいいよ」


 今回集めたダークスケルトンは2千だけど、実は第二拠点外で働いているダークスケルトンも大量にいて、全部集めれば8千くらいになるそうだ。

 とはいえ、拠点外でさせている仕事も大事なので、そこで働いているダークスケルトンを呼び寄せる必要はない。

 この世界には敵対的なモンスターがいて、施設の警備にも数を割いているので、2千という数字が、今回自由に動かすことができる数の上限だった。



 それにしてもミカちゃんやユウは、魔王軍なんて言って騒いでいるけど、たった二千ぽっちの小部隊を動かすのが限界なんだから、この程度で魔王軍なんて言ってたら恥ずかしいよ。


 少なくとも、僕の感覚では魔王軍(笑)にもならない兵力だ。


 まあ、この中に13魔将を入れれば、数はともかく戦闘力としては魔王軍になってしまうかもしれない。

 あいつらは個人で、軍団に匹敵する能力があるからね。

 もっともあいつら連れていくと、放出している死霊系の魔力のせいで森が枯れそうなので、今回は絶対に連れて行かないけど。


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