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異世界転生したら七つ子の竜人(ドラゴニュート)兄弟だった  作者: エディ
第6章 (仮題)ドラゴニュート兄弟とゴブリン村
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265 自宅での日常

 青銅の剣を作った奴は、なんとしても"確保"しなければ。


 とはいえ、今回の狩りの旅はそろそろ帰らないといけない。

 長い時間家を留守にし続けると、マザーがやってきてまた口に咥えられて、自宅まで強制的に連れ帰られてしまう。


 ヴッ、イヤだ。

 また身内の口の中に放り込まれるとか、過去のトラウマが。

 ヴ、アアッ、ウアアアアー!



 というわけで、後ろ髪を引かれる思いを残しつつ、今回の狩りの旅はここまでだ。

 次回は、青銅の剣を作った奴を探し出して、"確保"することにしよう。


 なお、自宅に戻る前にいつものように第二拠点を経由して帰ることになるけど、その際ドナンに、

「次の狩りの旅では人狩りをするから、人数を集めておけ。できれば、戦闘力がある奴を揃えておいた方がいいな」

 と命令しておいた。


「ハハッ、我がアンデット軍団において、可能な限りの数を用意しておきます」

 ドナンは恭しく僕に頭を垂れた。



「"人狩り"って……ああ、兄さんが確実にヤバいことを企んでる」

「ノンノン、ただの人探し……この場合はゴブリン探しになるかな?いずれにしても、相手は人間でなくモンスターだから、何も気にすることはないよ」

 ユウが何やら良心の呵責っぽいものに苛まれていたけど、相手はモンスターなので、そんなこといちいち気にする必要ないよ。


 フフフフフッ。




 そうして指示を出した後、僕たちは自宅へ帰った。

 僕としては次回の狩りの旅が非常に楽しみだけど、家にいる間でないとできないことがあるので、今はそれをやっておこう。

 僕がやるのは、主に森で採集した植物の研究。

 自宅の離れにある研究部屋に籠り、食物の繊維を抽出して、試しに紙を作ってみた。


 作った紙は、日本では当たり前のプリンタ用紙どころか、習字で使う和紙より繊維の目が粗い。


「パピルス紙みたいなものか?木に文字を書くよりはマシかな?」

 初めて作ったにしては、マシな方だろう。


 紙は情報の保存媒体として欠かせない、文明に必須の品の一つだ。

 これから改良を加えていって、品質を上げていきたいものだ。


 それ以外にも、転位魔法陣を使って第二拠点に出向いたりして、僕は忙しい毎日を送っていった。


 基本2、3日徹夜しながらの労働だけど、充実感があって毎日とても楽しいよ。

 こんな生活をミカちゃんやユウが、「ブラック、過労死待ったなし」とか言ってるけど、訳が分からないなー。




 そしてこの間、僕の兄弟たちも自宅でそれぞれ訓練したり、勉強したりしている。


「フンフンッ、ハッ、ハアッ!」

 リズは相変わらずの自己鍛錬で、ハルバートを手に素振りを続ける。


 薙ぎ、突き、振り下ろしからの切り上げに、ハルバートを振り回しての大回転。


 たまにユウと一緒になって、2人がかりでミカちゃんに戦いを挑んでいるけど、

「ヌホホホホッ、その程度では俺を捕えることはできんぞ。ウハハハハ~」

 変態パワーがなせる技か、はたまた超野生児の本能故か、相変わらずドラゴニュート兄妹の中でもチートレベルのスピードで、2人の攻撃を回避しまくっていた。


 リズとユウが繰り出す攻撃を前にしても、剣でのつばぜり合いすらさせず、回避していく。

 ただしミカちゃんが跳び跳ね、四つん這いになり、天井に飛び移り……傍から見ているとゴキブリみたいな動きだ。


「ミカちゃん、本当に早すぎますね」

すき焼き(すきあり)ー!」

「ギャッ!」


 行動はゴキブリでも、余裕綽々なミカちゃん。

 変なことほざいて、ユウの頭に練習用の剣を叩きつけていた。


「そこですっ!」

 しかし、ユウを攻撃した後の隙をついたリズが、ハルバートの一撃を繰り出した。


「フ、攻撃の後を狙うとは、リズも工夫をしてきたな。だが、まだまだ甘いぞ。ヌハハハハ~」

 しかしそれすら後ろに飛んで、あっさりと回避するミカちゃんだった。


 こと近接戦闘において、ミカちゃんの戦闘力は圧倒的だ。



 もっとも、

「ミカちゃん、私の宝物が見つからないんですけど、もしかして勝手に持ち出してないですわよね?」

「フレイアたーん。俺がそんなことするわけないじゃん!」

「本当ですの?」

「本当本当。青銅の剣で遊んでたら、レオンの頭を殴た拍子に曲がって、土の中に埋めて隠したりなんかしてないぜぇ~」

「……」

「フゲボラファー」


 フレイア相手には、あっさり敗北していた。

 これは強さどうこうでなく、相性の問題だろう。


 何しろフレイアにぶん殴られながら、ミカちゃんは物凄く嬉しそうな顔をしていた。


「おっぱい、プルンプル~ン」

 バッチイので、アレには近づきたくないね。

 変態菌に感染したら大変だ。




 変態ミカちゃんはともかく、訓練だけでなく、

「えーっと、掛け算を先にして、それからプラスとマイナスの計算で……」

 ユウ先生による勉強会も、毎日行われている。


 四則演算の優先順位に、カッコを使った計算など、小学校高学年でする勉強していた。

 レオンが指を使いながら計算をしているけど、2歳児でこれだ。

 我が家の兄妹は、学習速度が速いね。


「えっ、先に掛け算しないといけないんだっけ?……こ、こんなのやってられっかー!」

 そして野生児ミカちゃんは前世日本人のはずなのに、この段階で早くもリタイアしていた。


 身体能力はチートでも、頭はダメだね。

 というか、この程度の問題で躓くとか、本当に前世で経理の仕事してたのか怪しい。

 大丈夫か、前世大卒のオッサン?


 そしてミカちゃんが働いていたという警備会社だけど、よくこんなバカを経理に雇ったものだ。

 計算ミスで、会社潰すんじゃないか?

 もしかすると、今頃潰れてるかもしれないよ。



 それはさておき。

 こんな感じで兄弟たちは、毎日訓練や勉強の生活を送っている。

 もちろんそれ以外でも趣味に没頭したり、ミカちゃんがいつも通り訳の分からないことを仕出かして、勝手に自爆してたりする。


「ミカちゃんのバカ。ドラドの胸は大きくなるんだもん!」

「ブゲラバーッ!」


 何をしたのか知らないけど、両手を胸に当てて涙目なっているドラドに蹴られて、ミカちゃんが空中を大回転しながら、吹っ飛んでいくなんて出来事もあった。

 兄弟随一のパワーの持ち主がドラドなので、ミカちゃんが漫画かアニメみたいに、回転しながら空を飛んでいく。


 まったく、人の妹を泣かせないで欲しいね。

 あのオッサンは、ろくなことをしないんだから。



 しかしミカちゃんを吹っ飛ばすようになったとか、ドラドもかなり逞しくなったものだ。

 いまだにユウやレオンは、ミカちゃんのオモチャにされて泣かされてるので、我が家では、女性の方がかなり強くて逞しい。



 なお、ミカちゃんに関しては見た目が幼女、中身が変態おっさんなので、性別に関しては"ミカちゃん"ということにしておこう。

 あれは男や女の枠外にある、変態野生生物だ。


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